21色 語りかけてくるモノ
夜が深い時間帯。僕は実家の本屋で出た売れ残りで返品予定の本を読んでいた。
「まあ、少しだけ面白いがお金を払うかと云われたら微妙な作品だね」
そう一人で感想を述べながら本を閉じる。
時計を確認すると針が二時過ぎをさしていた。
「しまったな…夜ふかしをしすぎた」
たまにこういった本は掘り出しモノがあるから返品確認の際はつい夜ふかしをしてしまう。だけど、これといったモノはそうそう見つからないけどね。
「これを除いてだけどね」
僕は鞄から一冊の本を取り出す。
その本は辞典の様な図鑑といった方がいいかな分厚い黒い本だった。その本は親も発注した覚えのない本だといっていて返品しようとしていたが僕が引き取ったのだ。始めはその本の禍々しさに止められたが僕はなんとなくその本に呼ばれている気がして半ば無理やり本を引き取ったのだ。
そして、引き取って正解だった。本の中身は全くもって読めない字が書かれていたが読み返していく内に少しずつ『読める』様になっていった。その本の内容は解読した分も含めると恐らく『闇魔法書』とでもいうべきかな。変わった魔法が書かれていた。
「時期的にもうそろそろかな」
僕がそう呟くと本が光だした。
「やっぱりね」
口の端を上げながら呟く。
この本は定期的にこの様に光だして少しずつ本の文字が読める様になるのだ。その現象の意味ははっきりとは分からないが推測するに少しずつ『解凍』しているといった方がいいかな。
「今度は何が解凍されたのかな」
僕は少しわくわくしながら本を開く。
「ん?これは?」
本に新たに追加された文字をみて首を傾げる。
「『テイクオーバー』?」
『テイクオーバー』って確か…。
(そのカラダワタシがいただく)
「!?」
その声が聞こえた瞬間本から黒い何かが僕の体を覆った。そして、僕の意識はそこで途切れた。




