間話 天空の王の日課
(誤字脱字のご報告をお願いします)
我は天空の王なり。
偉大なる我が創造主の命により、この空浮く聖地を守護しておる。
はぁぁぁ、はっきり言って退屈である。毎日聖地を巡回しても巡回してもほとんど何も起きないのである。いつからかは覚えておらぬが、我の日課はもはや寝ることになっておる。
もちろん、我は寝ている間にも聖地に気を配っておる、なぜなら我にはこの聖地を守る義務があるのだ。
今日も聖地を巡回する時間となった。まあ、巡回と言っても我のただの散歩ではあるが……そこは気にしないで欲しいのである。
寂しい、我は我が創造主に会いたいのである。我が創造主と共に戦い、共にこの世界を旅したいのである。我はそのために天空の王という名に相応しい力を持っておるから。
そういえば、数時間前に一人の人間が我が聖地に入ってきたようだ。人間がどのようにしてこの空高く浮く聖地に辿り着いたのかは分からぬが……まあ、人間如きで我が出向く必要などない、所詮我の知っている範囲の中、人間も弱者であるからな。その人間がこの聖地の生態系の一部になりたいのであれば我も拒まない、我は優しいのである。
ん? 微かではあるが遠方にいる侵入者の気配を感じ取った。
暇つぶしに確認しに行くとしよう。
なんと、白き竜が我が聖地を荒らしておる! この忌々しい生物め、我が黒き炎で焼き払ってくれるわ!
ふん、我の炎に恐れをなしたか。白き竜は尻尾を巻いて逃げおった。
ふー、久しぶりに良い運動になったのだ。たまにはこういった身の程知らずを成敗するのも我の使命、神聖なるこの大地を汚されるワケにはいかんのだから。
そう言えばあの人間はどうなったであろうか? おっ、どうやら追いかけられているようだ。うむ、じゃれ合うのもいいことだ、弱者たちは仲良くするのだぞ。
さて、お散歩……いや、巡回の続きとしよう。我が創造主が与えてくれたこの聖なる島々は思いの外広い、我が一周回るのも数分かかるのである。
今日も平和であった。
巡回から戻るとどうやら人間の追いかけっこは終わったようだ、遊んだ後はしっかりと休憩するのだぞ。
ガァァァァン!!!
おっと、いかん。思わずあくびをしてしまったのである。少し恥ずかしい、天空の王たる我がこのような醜態を晒すとは、我が創造主に申し訳ないのである……。
眠気に耐えながら我は住処である天空山に戻った。岩肌しかないこの場所は実に殺風景ではあるが、我が創造主が大切にしていた場所を勝手に変えるの気が滅入るのである。
いつか我が創造主と再会するのを夢見て、我は再び深い眠りについたのである。
我はこの天空山に鎮座する天空竜バハムートなり、天空の王の名を懸けていかなる者もこの聖地を侵入させはせん。
実はあの咆哮、ただのあくびでした。




