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空想世界の転移旅 ー防御脳筋こそ最強ー  作者: 寝ないネコ
第一幕 始まりの冒険編
8/41

1−6 VS 天空爪熊

(誤字脱字のご報告をお願いします)

 ゲーマーの性とも言うべきか、達成できそうなミッションは全部達成したい。この森で野宿するのは確定として、戦いにおける防御もそうなのだが安全に夜を過ごすためのスキルも入手しときたい。百獣の王と称される獅子も寝る時は無防備になるんだ、夜の安全は一番確保しないといけない。


 とりあえず俺は今森の中で全力疾走している、『地図』を開きながら。


「森を抜けられそうだ」


 『地図』を見るとこのまま進めばもうすぐ反対側の森の境目に到達する。


 そしてさらに数分走り続けたらついに森を抜けた。


《行動ミッションを達成ーー浮空本島の中エリアに到達する(SP+1)》


 エリア到達系のミッションもあるのか。


 そしてどうやら中エリアは草原エリアだ。一望する限り平たい緑の大地が広がり、それが天空山の麓までずーと続いている。


「本当に……島とは思えないな」


 この風景を切り取るとまるで地上にいるような感覚に陥る。


 SP稼ぎも順調だな。


 なんか新しいスキルないかな。


『スキルショップ』

 現在あるSP:2

 現在交換できるスキル一覧

 補助:なし

 特殊:『防魔結界(リジェクト・バリア)(SP2)』

 能力:なし

 一般:『気配消しE−(SP1)』『魔物使役E−(SP1)』

 スキル一覧を更新:SP1


防魔結界(リジェクト・バリア)?」 


 聞き慣れない単語だな。


防魔結界(リジェクト・バリア)

 半径二メートルの結界を展開する。この結界の中では魔物に気付かれることはない。展開中は常時魔力を消費する。


 願えば来るもんだな、サンタクロース? 安全に夜を過ごすためのスキルって言った次にこんなスキル来るとは、俺もしかして介護されている?


 ま、ネチネチ言い過ぎるとまた怒られるから、ここは素直にありがとうございます。


《スキル『防魔結界(リジェクト・バリア)』を習得しました》


 神は言っている、夜は安全に過ごしなさいと。この島に来て最初はハードモードだったけど、段々とイージーモードに変わりつつある……。


 ちょっと日が暮れてきたようだ。空が夕日の色に染まり、この大自然に俺は一人ポツンと立っている。


 少し早いけど、今日はここで過ごす。


 魔力を回復するために大量にある天空梨を取り出して食べる。質素すぎる晩飯に涙を禁じ得ない。


 そろそろ寝ようか。

 

防魔結界(リジェクト・バリア)展開」


 自分の安全地帯を作る。おー、ドーム型バリアが展開されて俺を包み込む。これで大丈夫なはず……。


 肉体の疲れを癒やされてもやはり精神の疲れが溜まってるわ、目を閉じたらすぐに夢の世界へと旅立った。




 ――次の日。


 快眠とはいかなかったものの、とりあえず一睡はできた。一晩結界を展開していたから朝起きると魔力がガッツリ減っているのを感じる。魔力回復がてらに朝食を取る、もちろん今日も天空梨だ。


 『地図』を確認するとこの近くに川があるらしい。


 俺は森の中に入った。


 川は透き通っていて、魚類はいない。川の流れを見るとこの川は天空山の雪解け水からできているらしい。飲んでも害はなさそうから、俺は両手で水を掬って飲んでみた。


「ぷはー、生き返る」


 新鮮な水ってこんなに美味しいのか……今まで日本では当たり前だと思っていたことがこの世界ではこんなに難しいとは、本当に大切にしないといけないな。


「ん?」


 『地図』に赤い点が出現した。


「げっ、あの怪物かよ」


 人が幸福感に浸っている時にあの怪物が近づいてくる。とりあえず近くの木に登って様子見をする。


 どうやら怪物も水飲みをしにきたらしい。相変わらず醜い様相をしていて、ナイフのような鋭い牙を出しながら豪快に水を飲んでいる。


 せっかくだし、この怪物を鑑定してみるか。


[種族]天空爪熊スカイ・クロー・ベアー

[レベル]7

[魔法適性]

 火適性:E−

 水適性:E−

 地適性:E−

 風適性:E−

 光適性:E−

 闇適性:E−

[スキル]

 一般:『引っ掻きE』『噛み付くE+』

[備考]熊種魔物の下位種、危険度はE+ランク。


 ステータスを比較する分、ヤツの方がレベル高い、そしてヤツには厄介なスキルもある。防御脳筋ではコイツには勝てない気がする、だが俺の速度は前回よりも少し上がっているし『空力斬(エアー・スラッシュ)』もある。


 一回は試す価値はある、あの時は逃げれたんだからヤバかったらまた逃げればいい。なーに、死ななければどうということはない。どの道一回死んでも復活できるからバックアップは万全だ。


 木から降りて、慎重に怪物、いや死爪熊(デス・クロー・ベアー)にゆっくりと近づく。あの時はよくもやってくれたな、いざ恨みを果たさん!


 狙いを定める。


「喰らえ、空力斬(エアー・スラッシュ)!」


 シュッ!


 透明の斬撃が命中する。しかし当然とも言うべきか、一撃で天空爪熊スカイ・クロー・ベアーを倒すことはできなかった。


「グォォォォン!!!」


 のんびりと落ち着いているところで背後から急に斬られた痛みで天空爪熊スカイ・クロー・ベアーは雄叫びを上げる。


 迫力ぱねえー……。やはりこの巨体を前にして恐怖心を抑えることはできない。荒々しい息、憤怒する顔、真っ赤な眼光、そして鋭い牙と爪。


「グォォォォン!!!」


 森が震える咆哮を上げて、突進してくる天空爪熊スカイ・クロー・ベアー。俺を殺さんばかりの速度だ。


 事前に『空間収納』から取り出した棍棒を手に持ち、俺はカウンターの準備をする。やるべきことは一つだけ、攻撃を避けて棍棒で殴る。


「ここだ」


 間一髪に天空爪熊スカイ・クロー・ベアーの突進を避けて棍棒を振り下ろす、全力で。ヤツは俺の動きに追いつかず、反応する前に殴られる。


 ドコン!


 棍棒は狙い通りに頭部に命中する。固い物に当たった音が聞こえ、天空爪熊スカイ・クロー・ベアーはバランスを崩した。頭蓋骨に当たって脳震盪を起こしたのか、ヤツは俺の方に振り向くもフラフラしている。


 これはチャンスだ、回復される前に攻撃を入れる。


空力斬(エアー・スラッシュ)! 空力斬(エアー・スラッシュ)!! 空力斬(エアー・スラッシュ)!!!」


 木こりで特訓した『空力斬(エアー・スラッシュ)』を三発放つ。天空爪熊スカイ・クロー・ベアーは避けようとしても避けきれず斬撃に切り刻まれる。


「グォォォォォォォン!!!!!!」


 あまりの痛みに咆哮を上げる天空爪熊スカイ・クロー・ベアー。身体中から夥しい血の量が溢れ出て、地面一帯を赤く染めた。そして自身を支える力すら失い、地面に倒れた。


 あの巨体から想像もできない弱々しい呼吸が漏れる。


 俺が、勝ったみたいだ。このスキル強えー。


 事切れそうな天空爪熊スカイ・クロー・ベアーに近づき、苦しみから解放しようとする。


「すまない、これが弱肉強食だ」


 弱者は狩られ、餌食になり、支配されるしかない。


 ならば強者は……。


空力斬(エアー・スラッシュ)


 弱者を蹂躙し、支配する。


「今回は俺が強者だ」


 こんなセリフ言ってみたかったぜ。


 いい経験になった。感謝する、我が好敵手(ライバル)。防御脳筋で勝ちたかったが今回ばかりはしょうがない。


 一気に静かになった空間にログが流れる。


《討伐ミッションを達成ーー天空爪熊スカイ・クロー・ベアーを討伐する(SP+2)》

《レベルが4になりましたので、SPが2増えました》


『スキルショップ』

 現在あるSP:4

 現在交換できるスキル一覧

 補助:『魔物討伐経験値上昇(SP2)』

 特殊:なし

 能力:なし

 一般:『気配消しE−(SP1)』『魔物使役E−(SP1)』

 スキル一覧を更新:SP1


『魔物討伐経験値上昇』

 魔物を討伐した時にもらえる経験値が50%上昇します。


 これはますますゲームぽくなってきたな。


 使えるスキルありがたく交換しよう。


《スキル『魔物討伐経験値上昇』を習得しました》


「朝っぱらから疲れた……、風呂に入りたい」


 

 

なんかラスボスに勝ったみたいなセリフを言っていますけどまだ序盤ですから。


死爪熊のステータスを変更しました。

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