1−3初戦闘 VS 天空ゴブリン
俺は一気に木の枝から飛び降り、ゴブリン共の背後を取る。『体術』スキルをゲットしてから体が少し軽くなったような気がする。
「グギャ!?」
突然現れた俺に対してゴブリン共は驚き、しかしすぐに棍棒を手に取って俺に近づいてきた。
この世界のゴブリンはなんというか……普通のゴブリンだな。語彙力がなくてすまない、説明が難しんだ。見た目はそうだな……肌色が緑で体格は小学生並、耳が尖っていて目が白い、身についているのが腰に巻いている破れた布のみ。いわゆる創作物に登場するようなゴブリンだ。
「近くで見るとちょっと怖いな」
「ギャ、グギャ」
ゴブリン共は叫びながら棍棒を振りかぶる。
「ふっ!」
『体術』のおかげで身軽に攻撃を躱しながらゴブリン共から距離をとる。
なかなか便利なスキルだ、体が思い通りに言うことを聞いてくれる。日本にいた時と比べて身体能力がかなり上昇しているみたい。
「おっと、危ないじゃないか」
一体の攻撃を躱した次にまた別のゴブリンが攻撃してきた。少しギリギリで避けたため、少しヒヤッとした。
やはり三体相手はちょっとやり辛いな。各々の動きに気を配りながら動かないといけないから、戦い慣れしていない俺からすると少しばかりハードな戦闘チュートリアルになっている。
幸運にコイツらは予想通りあまり強くない。動きが単純な上鈍いし、お互いの連携も全然取れていない。それでも気を付けないといけない、なぜなら今の俺のステータスは最弱だからな。
そして多少の知性はあるようだ。俺が一筋縄ではいかない相手だと判断したのか、ゴブリン共は攻撃を仕掛けずに様子見している。
「埒があかないな」
俺から仕掛けるべきか? このまま戦闘が長引くとよろしくない。あの怪物を呼び寄せてしまう可能性もあるから、逃げるための体力はなるべく温存したい。そもそもゴブリン如きに苦戦してられっか!
「グギャ!」
痺れを切らしたのか、一体が俺に棍棒を振り回しながら突進してきた。
ドコン!
「クッ、ミスった」
少し油断して棍棒に殴られた。しかしあまり痛くない、これもスキルの影響だろうか……。
「グギャ? グギャギャ!」
痛がらない俺を見て、ゴブリンは少し動きを止めて不思議そうに首を傾げた、だがすぐに気を取り直して奇声を上げて棍棒を振る。
痛くないのなら何も怖くない。俺は再度ゴブリンの攻撃を避けて、今度は蹴りをゴブリンの腹に入れてみた。
ドン!
するとゴブリンが蹴りによって飛ばされて地面に倒れる。
思ったより飛んだな。しかしこれはこっちにとって好都合だ。距離が離れた以上、他のゴブリンに邪魔される前にまず一体を始末する。
ダウンしたゴブリンに一気に接近してパンチを入れる。
「おりゃ!」
「ガァ!」
「うわっ、きったな……」
ゴブリンは吐瀉物を口から出して動かなくなった。辺りに充満するキツイ匂いに、俺は思わず手で鼻を覆った。
しかし起き上がる気配がない、これは殺せたのか。やはり最低ランクの魔物なだけあって、耐久力が低い。
「ありがたく使わせてもらう」
武器と呼べるか分からんが、俺は倒れたゴブリンから棍棒を拾った。これで武器ゲットだ。
他の二体は倒れた仲間を見てギャギャと騒ぎ出す。
「騒ぐ暇があったら自分の身を案じろ」
その隙を見逃さずに二体に棍棒で攻撃する。
「グギャ!?」
ドコン!
よし、しっかりと命中した感触があった。これで大ダメージを入れたはず。すかさずもう一体のゴブリンにも攻撃を入れる。今度は頭部に命中し、最後のゴブリンも地面に倒れた。
反撃される前にトドメをさそうとしたが、一向に起き上がる気配がない。
「これは死んだ……のか?」
あっけなく戦闘が終わったところでログが流れた。
《討伐ミッションを達成ーー天空ゴブリンを三体討伐する(SP+1)》
どうやら無事に倒せたみたい。ていうか天空ゴブリンってなんだよ、ただのゴブリンじゃないか。あれだろ、浮空諸島にいるゴブリンだから天空ゴブリンだろ。そのまんまじゃないか、何が天空だよ、特別感皆無だったぞ。
《レベルが2になりましたので、SPが1増えました》
コホン、前言撤回だ。よくぞやってくれた、ゴブリンよ。まさかゴブリンのおかげでSPも稼げてレベルも上がったとは、一応感謝はするぞ。これで魔物を倒すことによってレベルが上がることが分かった、ステータスに変化はないようだが、これはどういうことだろう? 一レベル上がっただけでステータスは変わらないのかな?
『スキルショップ』
現在あるSP:2
現在交換できるスキル一覧
補助:『鑑定(SP2)』
特殊:なし
能力:なし
一般:『格闘術E−(SP1)』『伐採E−(SP1)』
スキル一覧を更新:SP1
また補助スキルが入っている。補助スキルはその名の通り便利なスキルだから優先してゲットしたい、その分使うSPは多いけど。まあ他のスキルはどうでもいいから今回は『鑑定』を交換しよう。
《スキル『鑑定』を獲得しました。これによりスキル所有者は生物、アイテムに対して鑑定できるようになりました。特定の対象を鑑定したい時は心の中で『鑑定』と念じれば鑑定することができます。》
これはまた超エキサイティングなスキルだな。
早速既に死んでいるゴブリンに使ってみよう、『鑑定』と。
[種族]天空ゴブリン
[レベル]1
[魔法適性]
火適性:E−
水適性:E−
地適性:E−
風適性:E−
光適性:E−
闇適性:E−
[スキル]
一般:『棒術E−』
[備考]通常ゴブリンのレア種、危険度はE−ランク。強さは通常ゴブリンよりも弱い。
「……マジモンの雑魚じゃねえか!」
思わずツッコミを入れた。
少しでも期待していた俺がバカだった。天空ゴブリンは実は強い魔物で、それを倒した俺も本当は強いのではという夢を見ていた。
「現実は残酷だ」
通常ゴブリンよりも弱いのかよ、俺こんな魔物に苦戦してたのか? 心折れそう……。
「はぁぁぁ」
……ともかく、これで様々なものに対して情報を確認できるようになった。天空ゴブリンの時は仕方なかったけど、今後新しい敵と出くわす時には『鑑定』スキルを使えば戦うか逃げるか判断できる。
そうだ、本来の目的を忘れるところだった。初戦闘でちょっと浮かれていたが、やるべきことに戻ろう。
次はなにをしようかな。一番現実的なのが木の実探しだな、『地図』を使って探し『鑑定』を使って食べられるかどうか確認すれば、完璧。
「方角はどうするか……」
『地図』によると、俺が現在向いている方向は東のようだ。つまり俺は今浮空本島の西側、そして恐らく島の一番外側のエリアにいるだろう。設定通りであればこの本島には三つのエリアーー外エリア、中エリア、内エリアの三つに分けられているはずだ。
ここからでもチラッと見える巨大な山は内エリアの一番中心に位置する天空山に間違いない、それを目印に新しい植物を見つけるためにも島の中エリアに進んでみる。




