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空想世界の転移旅 ー防御脳筋こそ最強ー  作者: 寝ないネコ
第二幕 王国冒険編
41/41

2−18ダンジョン探索

(誤字脱字のご報告をお願いします)

 俺たちがダンジョンに入ってからしばらくの時が経った。


 第一層は魔物が弱く、スライムとかゴブリンのような低ランク魔物しか出現しない。まだ序盤だからダンジョンからの悪ふざけもなく、そのまま二層目に降りた。


 二層目から少し変化があった。明らかに一層目との壁の作りに違いが確認できる、そして魔物の量が増えた。基本的に出現する魔物は変わらず、今のところ危険性はない。


 そして十層目、明らかにボスがいそうな広いエリアに到達した。重厚そうな扉を開け、中には神殿内部のような作りになっていて、中央には明らかにボス戦用のフィールドがある。


 これ……前に進めばボスが勝手に出てくるパターンだよな。


 とりあえず前に行ってみる。ある程度の距離を進むとフィールドの中央に黒いモヤが現れて、その中から三体の魔物が出てきた。


[種族]ゴブリンウォーリア

[レベル]15

[魔法適性]

 火適性:E−

 水適性:E−

 地適性:E−

 風適性:E−

 光適性:E−

 闇適性:E−

[スキル]

 一般:『剣術D』『棒術D』

[備考]通常ゴブリンの下位種、危険度はDランク。ゴブリンの中でも剣術や棒術のスキルを持ち、陣形を取ることができる。


「Dランク魔物三体か」


 ゴブリンの強いバージョンが三体出てきた。ゴブリンだから弱そうだけど、普通に巨牙虎(ファング・タイガー)と同等かそれ以上の強さを持っているんだよな。一般の人からしたら結構脅威だと思う、しかも三体となると冒険者でも初級者なら結構キツいじゃないのか。


「さっさと終わらせよ」

「頑張って」


 俺は真っ先に飛び出して、ゴブリンウォーリアに接近した。


「パンチ」


 ゴブリンウォーリア三体にグーパンを入れた。ちなみに攻撃の技名は考えていない、考えるのも面倒くさいし俺にはネーミングセンスがないからこうなった。まあ技名なんてどうでもいいし、倒せばいいから。


「グギャ!」


 あまり力を入れてない普通のパンチがゴブリンウォーリアに当たる。


「えっ……」


 パンチが当たったゴブリンウォーリアが爆散した。上半身が吹き飛ばされ、血飛沫が宙に舞う。はっきり言ってグロい、まさか俺の普通のパンチがこんなに威力出るとは思わなかった。


 ケチャップを撒き散らしたゴブリンウォーリアの一体は光の粒子となって消えた。無駄に神々しい……。


《討伐ミッションを達成――ゴブリンウォーリアを討伐する(SP+1)》


 ともかくゴブリン相手に火力過剰だったみたい。しかしこれで分かったのは、防御力とはすなわち攻撃力である。『転換(コンバート)』のおかげで俺はとんでもない攻撃力を手に入れた。


 普通のパンチですらこれだから、もっと力を抑える必要がある。例えば撫でるようなパンチとか……それってどんなパンチだ?


「他の二体も片付けるか」


 撫でるようなパンチをするように、俺は距離を詰めて殴った。


「グギャ!」

「ギグァ!」


 今回は上手くいった。残ったゴブリンウォーリア二体は爆散せずに倒れた。


 これでボスは倒したはず。倒れたゴブリンウォーリアは消えて、向こうの大きな扉が開いた。


 扉に近づくとそこは下に向かうための階段があった。降りてみると、そこは新たの通路があった。


 十層目までは普通だったが、十一層目からダンジョンのコンセプトがまるっきり変わったようだ。


 この層からは広いエリアが現れるようになり、無機質な石壁しかなかった十層までと比べて、より自然な洞窟に近づいたような雰囲気になっている。


 それからしばらく進むと魔物はちょくちょく中ランクの魔物が現れるようになり、今まで出会ってこなかった魔物もいた。


 そんな中でも十三層に現れたゴーレムには少し感動した。動きは遅く、反応は鈍い、自然で発生したとはとても思えないような生命体を自分の目で実際に見た時は凄かった。攻撃力はまあ、普通だった。


 中級者向けの層だから魔物の量も増えている。狭い通路で蜘蛛型魔物に追いかけられた時は流石に鳥肌が立った。グラシエルの魔法で一網打尽できたけど、あれは精神的にキツい。


 そして俺たちはそのまま進み、十五層に辿り着いた。


「これは……外?」


 俺がこのような反応をするのも仕方ない。洞窟を抜けた先にはなんと森が広がっていた。


 今になって俺は理解した。このダンジョンが王国最大のダンジョンと言われている所以を……。まさかこんな地下にこれほどの大空間が広がっているとは思ってもいなかった。これほど探索しても他の人を見かけなかったのも頷ける。


 洞窟の出口の隣に丁寧に階段が用意されている。もしかして先人達が作ってくれたのかな。ありがたく使わせていただく。

 

 俺たちは階段を慎重に降りたら森に入った。


 この森は普通の森だ。何を言ってんのか俺にも分からない。何もかも地上の森と瓜二つで、ダンジョンの中にいるような感じがしない。


「アラタ、魔物接近中」

「了解」


 『地図』が使えない俺の代わりにグラシエルが索敵してくれてる。魔物の詳しい情報までは分からないけど、魔力による位置関係を把握してくれるそうだ。


 本人もやる気があって、非常に助かる。


「もっと褒めて」

「はいはい」


 ご要望です。グラシエルから求められたので頭を撫でた。撫でられた彼女は目を細め、気持ちよさそうにしている。こう見ると、本当に猫みたいだな……。


 サービスを終えると多少不満そうな顔をしていた。後でまた撫でるからとりあえず魔物を倒そう……。


「なんだこの魔物は……」


[種族]ロックベアー

[レベル]22

[魔法適性]

 火適性:E−

 水適性:E−

 地適性:C−

 風適性:E−

 光適性:E−

 闇適性:E−

[スキル]

 能力:『重岩武装C−』

 一般:『地揺れC−』『重殴りC−』

[備考]熊種の中位種、危険度はC−ランク。熊型魔物の中でも防御力に特化していて、攻撃力がない代わりにその硬い肉体で獲物を仕留める。


 その外見は熊とはかけ離れている。全身の岩が身を守る鎧となり、その巨大な腕も岩によって固められていて、第一印象は熊というよりゴリラに見えた。その脚よりも太い両腕で体を支え、ゴリラのように歩行している。


「こっちに気づいたな」


 ロックベアーは俺たちの方に向けた。


「ゴオオォォォォ……」


 明らかに警戒している様子で俺たちを観察していて唸り声で威嚇してくる。


 ステータス見ると強さはそこまでではない、ただ硬いだけの熊は脅威ではない。


「今度は私がやる」


 戦闘は交代制にした。俺たちが同時に攻撃したら、それこそオーバーキルだよ。


重氷墜ヘビー・アイス・フォール


 グラシエルは目標の上方向に巨大な氷の塊を生成し、それを落とした。


 ゴンという音を鳴らして、氷の塊はロックベアーを潰した。落とした氷は砕け散り、落とされたロックベアーも粉々になった。あれ……内部も岩だったのか……。もはやスキルも機能することなく潰され、俺は少しその魔物に同情した。


 これで森に降りて最初の魔物を倒したし、俺たちの次の目標は次の層の入り口を探すことだ。ここで改めたいのが俺たちの目標は金稼ぎではなく、このダンジョンを攻略することだ。


 攻略には色々な定義があると思うけど、大抵の場合は最深層に到達してラスボスを倒すことだと思う。まあ最深層が何層になるのかは分からないけど、そこは気長に探索するしかない。


「しかしこれは困ったな」


 まさか十五層からこんな広いフロアになるとは、下手したら一層の探索に一日以上かかるのもおかしくない。今までの傾向からして出口は壁際にあったから、まずは森の端っこを目指してそこから壁を沿って歩けばいつかはたどり着くと思う。


 道中に現れる魔物を薙ぎ倒し、俺たちはとにかく真っ直ぐに進んだ。その途中に何度か『飛行(フライ)』を使って周囲を確認したけど、上空からじゃ木に遮られている壁を見ることができない。


 あともう一つ分かったことはこの森が存在する空間にも夜らしき現象が訪れるようだ。本当にどういう原理か分からないけど、星空まであるのは素直に驚いた。まあ、昼夜のおかげで休むべきタイミングが分かるから、俺たちは適切な時間で休むことができた。


 とりあえずこれで一日目の終わりを無事に迎えることができ、俺たちは事前に購入したテントを立てて、森の中で一晩を過ごした。




 次の日、相変わらず森の中。グラシエルが水魔法が使えるから、朝の顔洗いとか水分補給が非常に助かる。


 朝ご飯は事前に準備した携帯食。こういうのは大抵の場合は不味いのが定番だけどこれは違うようだ。普通にインスタント食品のようで、水を入れて火を通せば普通に美味しい食事の出来上がり。


 異世界は思ったより発展してたし、旅生活は思ったよりも快適だ。朝の支度をして、テントとかを『空間収納』に入れて俺たちは出発した。


 流石に今日中には次の層に行きたい。




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