2−14再誕、防御脳筋の真髄
(誤字脱字のご報告をお願いします)
グラシエルの機嫌も直ったし、そろそろ強化期間に入ろう。レベリングと言えば脳死で魔物を狩り続けるだけのこと、この森には魔物が沢山生息しているから狩り尽くす心配はなさそう。
ちなみに今のステータスでも十分に強いと思うけど、終王というわけの分からない存在に狙われるのなら、これ以上に強化しないといけない。ぶっちゃけ暗殺者のリーダーの話なんて脅しにしか聞こえなかったけど……一応警戒した方がいいと判断した。
そしてどうやらこのアルカナムの森の一番西側に危険な魔物が沢山いるらしく、そこに行ってレベルを上げることに決めた。
道中はゴブリンとかオーガとかの雑魚魔物しかいなくて、戦闘は全部一撃で終わらせている。最初の頃の天空ゴブリンとの戦いが懐かしいな。
しばらく森の中を進むと、今までの魔物とは一味特性が違うのが出てきた。
「あれは……カメ?」
それはどう見ても巨大なカメだった。
恐らく魔物だろうけど、見た感じ温厚そうだし、襲ってくる気配もない。いや、嘘だった。攻撃する気満々だあれ。
カメは口を開き、いきなり俺たちに向かって水ビームを撃ってきた。
「下がって」
俺は前に出てビームを防いた。全身に叩きつけられた衝撃はグリフォンほどではないけど、持続的にビームを撃っているから俺は動けない。
「グラシエル、攻撃を頼む!」
「分かった」
グラシエルがカメに向かって水弾を数発放った。しかしこのカメは水属性の魔物、水魔法に対する耐性も高いようだ。水弾はダメージこそ入らなかったものの、攻撃を止めさせるには十分だ。
「助かる!」
すぐに『空力斬』を放った。そしたらカメは判断が早く、頭を甲羅の中に入れて斬撃を無効化した。
硬い……。やはり防御力のあるヤツはやりづらいな、俺もそれを目指しているからなんとも言えないけど……。
『空力斬』が効かないのなら使う意味がない。俺は手を突き出して、魔力量を抑えつつ魔力を圧縮する。一度感覚掴めば次もやりやすい。
「竜星」
エネルギー球がカメに向かって一直線に飛んでいった。カメはまた頭を甲羅の中に入れて攻撃を受ける。
ドゴォォンッ!!
竜星は甲羅に直撃して爆発した。
「これで無傷かよ」
カメは倒れなかった。甲羅の表面こそ多少焦げたものの、本体は無事だ。
「……やはり内部を攻撃しないと」
「それなら私がやる」
ダメージを入れる方法を模索している時にグラシエルが言ってきた。
「方法はあるの?」
「うん、見てて」
そう言って、グラシエルは片手を突き出し、カメに向かって魔法を放った。それは小さな水の粒、そしてゆっくりとカメの甲羅の中に入った。
「操水――凍嵐」
グラシエルが魔法名を唱えた後、カメの甲羅の中に何かが起きた。カメは目に見えない形で何かに対して抵抗している、時々甲羅の穴から冷気が見える。
「何をした?」
「魔物の中を凍らせている」
なんともないように話すグラシエルだが、俺から見たら相当えげつないことをやっている。内部に魔法が暴れているカメは段々と抵抗の力が弱まり、そして動けなくなった。
《討伐ミッションを達成――アクア・タートルを討伐する(SP+2)》
《レベル31になりましたので、SPが1増えました》
なんとも簡単な戦いだった。
その後も同じカメの魔物が何体か出てきた。ここはカメの森かよってほどカメがいる、そし出てくる度にグラシエルがあの魔法を放ってやっつけている。うん、俺要らないよね。今のところ全く役に立っていない。
そして魔物を討伐してレベルが35になったところで俺たちは一番西側のエリアに到達した。ちなみに魔物を討伐した際にグラシエルもレベルが上がっていて、俺と違ってレベルが上がってもSPは貰えないみたい、そもそもレベルが上がったとしても気づかないらしい。
そのまま森を突き進んでも何も出会わなくなった。おかしいな、『地図』を見ても魔物の情報がない、そしてなぜか『地図』が歪んでいる。
『これは……』
バハムートは何かに気づいたらしい。
「バハムート、どうした?」
『主、前方に強大な魔力を感じました』
「強大な魔力?」
言われてみれば……確かにさっきから急に閉塞感というか、圧迫されているような感じがする。グラシエルも同じく何かに気づいたようだ。
『警戒するべきだと思います』
バハムートが忠告してくれた。バハムートが警戒するような魔物だから、間違いなく強いだろう。戦いが起こる前に、今の内にステータスを振り直すべきか。
今のステータスを確認した。久しぶりに確認したけどやっぱ俺のステータスって情報量多いな。ま、今から整頓するから、このステータスともお別れだな。
「グラシエル、周囲の警戒を頼む」
「分かった」
グラシエルに周囲の警戒と俺の護衛を任せ、俺はアイリアの依頼達成報酬で貰った『再誕の石』を手に握り、ステータスの振り直しのために使用した。
使った瞬間に赤いオーラが俺を覆い、目の前が真っ赤になった。深き温かみの中、俺はスキルが全部消えたことを感じた。ここからが本番だ、要らないスキルを全部分解してSPに戻し、付けるべきスキルだけを残す。
振り直しにそこまで時間は掛からなかった。そしてスキルを整頓して振り直した俺のステータスは、こうなった。
[名前]アラタ
[年齢]18歳
[種族]人間
[レベル]35
[魔法適性]
火適性:E−
水適性:E−
地適性:E−
風適性:E−
光適性:E−
闇適性:E−
[スキル]
補助:『スキルショップ』『地図』『鑑定』『空間収納』『魔物討伐経験値上昇』
特殊:『空力斬』『転移』『起死回生』『防魔結界』『魔物召喚』『飛行』
能力:『瞬足E−』『打撃耐性E−』『斬撃耐性E−』『毒耐性E−』『呪い耐性E−』『物理耐性E−』『風圧耐性E−』『筋力倍増D−』『回復魔法技量E−』『魔法耐性E−』『石化耐性−』
一般:『回復魔法E−』『魔物使役C−』『守護障壁E』『御者術D−』
EX:『竜星E−』『天空竜の威圧D−』『急速回復D+』
耐性系が全部E−になった!? 今までの努力がっ!! というのは冗談で、これはわざとスキルランクを下げたから大丈夫。
こうして見るとスキル一覧が大分スッキリした。しかしまだ終わってない、俺が耐性スキルをE−にした理由は一つだけ。レベル35になると同系統のスキルが四つあればスキルを統合できるようになったんだ。
だから遠慮なく俺はまず『毒耐性』、『呪い耐性』、『風圧耐性』、『石化耐性』の四つを統合する。
《スキルが統合されました。スキル『異常状態耐性E−』を習得しました》
やはり、予想通りにスキルを統合することによってスキルランクが最低値になった。あらかじめにスキルを分解したのは正解だった。しかしこれで四つのスキルが一つのスキルに統合されたことによって最大強化までに必要なSPを節約できる。
そして俺は更に『打撃耐性』、『斬撃耐性』、『物理耐性』、『魔法耐性』の四つを統合する。
《スキルが統合されました。スキル『ダメージ耐性E−』を習得しました》
これで八つのスキルを二つまでに減らし、リサイクルしたSPを全て捧げる。
「よし、できた」
そしてこれが新生した俺のステータス。
[名前]アラタ
[年齢]18歳
[種族]人間
[レベル]35
[魔法適性]
火適性:E−
水適性:E−
地適性:E−
風適性:E−
光適性:E−
闇適性:E−
[スキル]
補助:『スキルショップ』『地図』『鑑定』『空間収納』『魔物討伐経験値上昇』
特殊:『空力斬』『転移』『起死回生』『防魔結界』『魔物召喚』『飛行』『転換』
能力:『瞬足A−』『筋力増加B+』『回復魔法技量B−』『ダメージ耐性S+』『異常状態耐性S+』『防御力増加A+』
一般:『回復魔法B−』『魔物使役A−』『御者術D−』
EX:『竜星B+』『天空竜の威圧B』『急速回復C−』
さりげなくスキルショップを確認したら『防御力増加』があったから、俺は無言で交換した。こうして見ると、ようやく俺のステータスがチートらしいチートになってきた。まだ成長の余地があるのが恐ろしい。ま、これでダメージを負うことはもうないだろう、フラグじゃないよ。
後、忘れてはいけないのがこの『転換』スキルだ。なんとこのスキルは俺の耐性値、防御力値を参照に攻撃力に変えてくれる優れもの、これがあれば俺は攻守両立ができて、攻撃手段に困ることは無くなった。
準備が整ったので俺たちはバハムートの導きによって魔力を感じた方に向かった。大体一キロメートル進んだところで俺たちはさらにその圧力を感じるようになった。
「凄まじい魔力の波動だ」
「うん」
魔法適性最低の俺でも分かる。これは今までの魔物とはレベルが違う、恐らく他の魔物はこの魔力源から逃げたのだと思う。
悪意とかそういう類のものではなく、単純に存在するだけでここまで強烈な魔力を発する生き物が近くにいる。
俺たちは静かに進み、やがてこの魔力の主が姿を表した。
「あれは……馬?」
正確的にいうと馬に似た魔物だ。
見た目に関してこの馬の魔物は普通の馬より少し大きいが眼の色は赤い、額に一本角が生えていて、鬣の付け根の両端と尻尾に紫の炎が燃えているという異様な姿をしている。
俺は『鑑定』を使ってこの魔物の情報を確認した。
[種族]冥星の戦馬
[レベル]93
[魔法適性]
火適性:E−
水適性:E−
地適性:E−
風適性:E−
光適性:E−
闇適性:SS
[スキル]
能力:『冥星の審判B+』『紅雷撃S+』『闇属性耐性S−』
一般:『突進A+』
[備考]冥府の門番とされている伝説の馬。皇獣種、危険度はSSランク。一つの軍隊を壊滅させるほどの力を持つ。
とんでもないステータスだ。全盛期のバハムートより多少劣るが間違いなくこの魔物はこの世界の中でもトップクラスに強いだろう。
「これは勝てるのか……?」
『主の今のステータスであればダメージを負うことはないと思います』
それを聞けて安心だよ。逆に考えるんだ、この魔物の攻撃を受けて無傷だったら、俺はこの世界において死ぬ心配はなくなるってことだ。
「ブルルルッ」
気づかれた。冥星の戦馬は俺たちに向き、その鋭い視線は俺らに向けていて、威嚇の唸り声を上げながら魔力を直接当ててきた。
見た目のインパクトはもちろんだが魔力の質からもコイツは他の魔物と一線を画す存在であるのは理解できる。
試してみよう、防御と耐性の暴力をーー。
俺は前に出た。グラシエルは後ろの方で待機するよう指示を出した。
「クゥィィィィン!!」
冥星の戦馬は甲高い咆哮を上げ、その角に魔力が集中し、パチパチと赤い雷を発生させ、それを俺に向けて放った。
俺はただ立っているだけで、何もしない。まるでジェットコースターが落ちる寸前のドキドキ感だ。大丈夫、きっと大丈夫。
ドォォォンッ!!
そして赤い雷は俺に直撃した。
「何も感じない……」
やはりダメージを負うことはなかった。どうやら俺の防御脳筋は至った。もはや何も恐れる必要はなく、俺は少しずつ前進する。
先程の攻撃によって周りの木々が薙ぎ倒され、草花も吹き飛ばされた。空間にはスパークがまだ残っており、魔力の残滓が空中に漂っているのが分かる。
はは……こんな攻撃を喰らって無傷か……いよいよ俺、人外レベルになってきたぞ。でもこうこなくちゃ、俺の防御脳筋の伝説は今日、始まる。
「空力斬」
反撃として無形の斬撃を放った。筋力が増大した分斬撃の威力も上がり、破壊力も増した。だけどそれがこんな化け物に有効なのかどうかはまた未知数。今は早く決着をつけるべき、周囲に被害が及ぶ前になんとかして討伐しないといけない気がする。
そして斬撃は届き、直撃する。しかし有効打にはならなかったみたい。
ならば肉弾戦と行こう。まさかこんな化け物相手に素手で戦うとはな、絵面としては最高に滑稽だ。
「行くぞ、準備はいいか」
『瞬足』で一気に距離を詰める。回避する必要がなくなった今、一方的に殴らせてもらうぜ!
「オラッ!」
『転換』で攻撃力を上げて拳で殴る。力入れすぎたのか、衝撃によって大気が揺らぐ。
「力加減が分からない……」
微調整が必要だ。でないと森を破壊するのはコイツではなく俺になってしまう。まさかここまで力が増したとは思わなかった。やはり防御脳筋は最強か?
とにかく力をセーブすることを意識すること。そしてまた接近して攻撃を入れる。対抗するように冥星の戦馬も動きが機敏になり、時々赤い雷を俺に打つが俺は全部弾き飛ばす。
流石にマズイと思ったのか、ヤツは暗闇のオーラをその身に纏った。
恐らく本気の一撃だろう。身に纏うその暗闇の中に星が現れた。光り輝く星々を具現化し、俺を囲うかのように周りに出現する。とてつもなく幻想的で綺麗だが、今はそれを見惚れている場合ではない、その星々が一つ一つ膨大な魔力を持っていることぐらい分かっている、ここで発動させたら森全体が消えてしまうだろう。
そうなる前に俺は間を詰めた。そしてここで、決める!
「喰らいやがれッ!」
ヤツを目掛けて攻撃したが、俺のパンチはヤツに届くことはなかった。何故ならば攻撃が届く前に冥星の戦馬は戦いを放棄した。命の危険を感じたのか、ヤツは星々を消し、俺の前で頭を下げて服従の姿勢を見せたのだ。
「ブルルル」
急になんだ? あれだけ攻撃してきて、今度は投降か? 何か伝えようとしている気がしなくもないけど、残念ながら俺は魔物の言葉を理解する力はない。
『なるほど……どうやらこの魔物は主に配下になりたいそうです』
バハムートが翻訳してくれた。助かる。
「配下って、テイムされたいってこと?」
「ブルルル」
俺の疑問に対して肯定の意思を示すように冥星の戦馬は返事した。
「……あっさりと負けを認めるのだな……分かった、歓迎するよ」
前回の轍を踏まないように、『魔物使役』のスキルランクもS+まで上げよう……。そして冥星の戦馬に対してスキルを発動し、ヤツは光となって俺の中に入っていた。スキルランクは最大となったから、今回は弱体化されずに使役できたようだ。
こうして、激しい戦いは決着付かず、なんとも言えない結果となってしまった。そして俺はバハムートに引き続き、二体目の化け物の主となった。
自分の書いた文章を読むと、自分の表現力の無さと物語構成力の無さに絶望しています。なんというか、想像力に文章力が追いついていません。うまく書ける作者さんは本当にすごいと思います。私ももっと勉強して、頑張りたいと思います。




