1−17三人のピンチ
色々設定変更して申し訳ございません。
まずは主人公のスキルについてです、初期スキルである『異世界転移補正』を『スキルショップ』に置き換えました。理由としましては、やはりチート感を出すためには『異世界転移補正』ではインパクトが弱すぎるのと、『スキルショップ』の方がスキルの拡張自由度が上がるからです。
そして条件をミッションに呼称変更し、レベル上げはモンスター討伐のみになりました。ミッション達成した際に新たに『スキルショップ』に使えるSPを導入しました。
ステータスメニューに魔法適性を追加したのは主人公に魔法を使わせないためです(脳筋の方がオモロい、ぶっちゃけ魔法使って無双する主人公はテンプレすぎる)。
その他には各種ステータスを分かりやすくするために数字制からアルファベットのランク制に変更しました。
(誤字脱字のご報告をお願いします)
「おい、ダン、何とかしろ!」
「はぁはぁ、お、俺はもう無理だよ……」
「三人で固まるんだ、離れるな」
巨牙虎に翻弄されて満身創痍となった三人は一箇所に固める作戦にした。三人は体力的にも既に限界を迎えているが、巨牙虎はまだ本気を出していない模様。遊んでいる風に見えるけど、これはあえて相手を疲れさせて、体力の消耗をさせてから確実に仕留めるというやり方だ。
現に三人はもう攻撃する余力が残っておらず、逆に守りに徹したのがその証拠だ。三人はもう逃げることは不可能だ。
「そろそろやるか」
『結局助けるのですか?』
元々は助けるつもりはなかったが、よくよく考えるとここで見殺しにしたら後々面倒なことになりそう。一応コイツらもあの村の住人だから、俺は部外者な訳だし、俺の一存でコイツらのことを処分できない、コイツらの処分は村長に委ねよう。
「えっ?」
嫌々助けてやろうと思った矢先に予想外のことが起きた。守りに徹していたダンとアルフがお互いに頷いて、そしてナイフを取り出して、後ろからナイフでブレッドをーー刺した。
「ダン……アルフ……どうして……?」
「悪く思うなよ、ブレッド」
「このままだと俺たちは全滅だ、お前は足が遅ぇからどの道逃げられねえ、ならここで餌となって注意を引いてくれた方がまだ使い道あると思わねえか?」
「お、俺たちは……仲間……じゃなかった……のか」
「はっ、いつでも見捨てられる仲間として覚えてやるよ」
小太りのブレッドが後ろから刺され、刺された箇所から血を流しながら地面に倒れた。自分が信じていた仲間からの裏切られ、彼は絶望の顔を見せた。
とんでもない外道野郎だな、平気と仲間を裏切るとは。いや、最初から仲間とみなしていなかったのかも知れない。
ともかく、俺としては死なせるつもりはないから、その前にまずは巨牙虎を片付けないと。
「空力斬」
少し離れた場所から軽めの斬撃を放った。しかし、斬撃は察知され、巨牙虎はそれを避けた。それでも斬撃は前足の片方を斬り、巨牙虎はそれによりバランスが崩れた。
三人は一体何が起きたのかという表情になりながら、目の前の突然何かに切られて転んだ巨牙虎を見つめている。
「さて、終わらせるか」
俺は『飛行』を使って三人の前に降り立った。
三人は俺を見るなりと様相を変えた。
「テメェーはあん時の余所者か!」
「お、俺は助かったのか」
「……なぜ貴様がここにいる」
アルフは怒り、ブレッドは安堵、ダンは驚き。三者三様の反応である。おいおい、ダンとアルフよ、そんな風に睨んでくるなよ。
「お前たち、命の恩人に対してそれだけか?」
「ふん、貴様の力を借りなくても俺たちだけであの魔物は倒せた」
「そ、そうだ、そうだ。テメェーがいなくても倒せたんだぞ!」
「貴様こそ、俺たちの狩りの邪魔をしたのではないか」
「なぜそうなるんだよ……」
面倒くせぇー、助けてもらってそれかよ、コイツらに良心というもんは存在しないのかい?
「はぁぁぁ、お前たち二人がそこの太っちょに何をしたのかを見たし、お前らが暴食熊を探しに来たのも知ってる」
「な、何のことだ!」
アルフは分かりやすいように動揺している。
「惚けても無駄だ、素直に吐いたほうが楽だぞ」
もう問答無用に捕らえた方がいいのかな、明日の朝になったら村長に説明しないといけないし、本当に面倒くさい。
「おっと、危ない」
喋っていたら巨牙虎が襲いかかってきた。まあ、『地図』で常時身動きを見てたからそこは問題じゃないけどね。万が一襲われたとしてもダメージはないから。
俺は襲いかかってきた巨牙虎を逆に掴み、背負い投げで地面に叩きつけた。
「空力斬」
パパッと巨牙虎の首を斬った。
「い、一撃だと……」
「貴様は一体……何者だ?」
「俺の言う事を聞かないと聞かないとどうなるか……分かるよな?」
「きっとハッタリだ! テメェーを殺す!」
早まるなよ……。アルフは剣を持って俺に突っ込んできた。
「は、刃が通らねぇ……」
その攻撃力じゃ俺の防御脳筋は破れないよ。
「実力差を分かったか? 武器を捨てろ」
二人は俺には敵わないと判断したのか手に持っている武器を捨て、戦闘意思を無くしたようだ。
「そうだ、上位治癒」
回復魔法がブレッドの傷を治していく、失った血は戻って来ないから、まだ立てないと思うけどな。
《行動ミッションを達成――悪人を治癒する(SP+1)》
文字だけ見ると俺が悪人じゃないか、これは不可抗力だ!
ともかく、気を取り直して、ここからどうしようか。朝までまだ時間あるし、だからといって今から村長を叩き起こすのもなんか違う。
なんかいいスキルないかな……。スキルショップをチェックする。
『スキルショップ』
現在あるSP:13
現在交換できるスキル一覧
補助:なし
特殊:『不傷の契り(SP3)』
能力:『回復魔法技量E−(SP2)』『火耐性E−(SP1)』
一般:『植物学E−(SP1)』『奴隷術E−(SP1)』『氷魔法E−(SP1)』『風魔法E−(SP1)』『地魔法E−(SP1)』
スキル一覧を更新:SP1
おー、SPが13もあるぞ、いつの間にこんなに稼いだんだ? おっ、『奴隷術』があるじゃないか、これがあればコイツらも悪さはできないだろう。
他のスキルはそうだな……能力カテゴリーの二つは交換しよう、他はスルーで、SPも無限ではないからな、ていうかこの『不傷の契り』はなんだ?
『不傷の契り』
対象が了承した場合におみこの契りを交わすことが可能。この契りを交わされた対象は解除されるまでいかなる方法でも他者にダメージを与えることはできない。
これ、使い道……あるのか? 対象が了承しないといけないからまず魔物には使えないだろ、そして当然敵にも使えないから戦闘中に不意を突いて使用できない、交換にSP3も消費するし、いいとこなくない? 一応好奇心で交換はしてみるけどさ。
《スキル『奴隷術E−』とスキル『回復魔法技量E−』とスキル『火耐性E−』スキル『不傷の契り』を習得しました》
これを使うには……よし、脅すか!
「よく聞け、今からお前たちに奴隷術と不傷の契りを使う」
俺の言葉を聞いて三人は怪訝の表情を浮かべた。
「なぜ旅人のテメェーは奴隷術が使えるんだ?」
「……何となく?」
「はぁ?」
キレるなよ、わざわざ教えてやる義理なんてないんだから。
「とにかく、今から使うから逃げるなんて考えるなよ、あと不傷の契りを交わす時にちゃんと了承しろよな」
「……その不傷の契りとはなんだ?」
「他人へのダメージを全て無にするスキルだ」
「そんなスキル……聞いたことがない」
「ま、信じるかどうかはお前たち次第だ」
俺を殺そうとしても無駄だ、用心には用心をだ。三人とも死んだ顔になったのは気のせいだろう。
「ということで今から使うからそこで並んでくれ」
「テメェーの奴隷になってたまるか! 俺は逃げさせてもらうぜ!」
「往生際の悪いヤツだな、空力斬」
シュッ!
斬撃は逃げようとするアルフの頭――の上を通り過ぎ、彼が逃げている方向の向こうにある大木を斬り倒した。
「――ッ!!」
「これでも手加減してる方だ、次はない。また逃げようとすれば……木ではなく、お前の首を切り落とすことになるぞ……」
少し威圧的な言葉をかける。アルフは恐怖から腰を抜かし、地面に座り込む。きっと自分の首が斬り落とされることを想像したのだろう。
さっきの光景を見たもう二人も素直に言う事を聞いてくれるようになって、奴隷術と不傷の契りはすんなり終わらせることができた。三人とも死んだ顔になったのは気のせいだろう。
その後、俺たちは村に戻り、三人に変なことをするなと命令を下して俺は再び夢の世界へと旅立った。残りのことはまた明日に考えよう……。




