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空想世界の転移旅 ー防御脳筋こそ最強ー  作者: 寝ないネコ
第一幕 始まりの冒険編
17/41

1−14ガラ村到着

(誤字脱字のご報告をお願いします)

 大角野牛グレート・ホーン・バイソンを担ぎながら、俺はオルビアさんと一緒に村に向かう。俺は自分の何倍もの重さを持つ肉塊を担いているのに全く疲れない。あまり想像できないけど、今の俺は日本の通常男性の何倍もの力を持っている。秘密はあるスキルだ。俺はさっき『筋力増加』というスキルを習得した。それのおかげで超力持ちになった。


 数十分も歩いてまだ村が見えない、『地図』ではすぐ先にあるはずだけどな。村の方を拡大すると何やら人が村の広場に集まっているようだ、こんな昼間に何かの祭りか? ちなみに『地図』はやはり俺とバハムート以外には見えないみたい、堂々とオルビアさんの隣で展開しても気にする様子はなかった。


 そこから更に歩いて数分、ようやく村の入り口が見えてきた。さっきから『地図』で確認した人の集まりも見えてきて、そしてなにやら騒がしいようだ。


「これは何の集まりですか?」


 オルビアさんに聞いてみた。


「何なんでしょうか……今日は何もなかったはずですが……」


 オルビアさんは怪訝の表情を浮かべる。


 とりあえず俺たちは村の入り口に入る。すると一人の大男が俺たちを見ると慌てた様子で走ってきた。それは熊に似た男だった、髪色はオルビアさんに似た赤色で、屈強の体格をしていて歴戦の戦士のような風貌をしていた。


「よ、良かった。無事で何よりだ」


 その男は口を開けるとオルビアさんを心配していた。


「お父さん、これは何の騒ぎですか?」


 何と、熊はオルビアさんのお父さんだった。熊……オルビアさんのお父さんの話を聞くと、どうやら村の人が数人森で狩猟していたところで魔物に襲われて、そのうち一人が重傷を負ったらしい。オルビアさんが森から戻ってこないから、もしかして襲われたのかと心配していたらしい。


「まさか、あの森の王がこの近辺に現れたとは……」


 オルビアさんのお父さんが絶望して頭を抱えている。


「ともかく、お前が無事で安心だ」

「あのー、お父さん。実は私も暴食熊(グラトニー・ベアー)に襲われました」

「何だと!? それは本当か?」


 オルビアさんのお父さんが驚く。そしてオルビアさんの発言に別の意味で俺も驚いた。俺が倒した暴食熊(グラトニー・ベアー)って森の王だったのか?


「うん、そして私は襲われていたところに隣にいるアラタさんに助けられたの」

「ほう、お前さんが俺の娘を助けてくれたのか! って、その担いているのはなんだ!?」


 気づくの遅っ! さっきから俺ずーといるんですけどね、今まで俺空気だったのか? オルビアさんのお父さんは俺が担いている大角野牛グレート・ホーン・バイソンを見て目を限界まで見開く。そして何かを思い出したかのように頭を激しく横に振った。


「いや、そんなことよりもだ。オルビアよ、お前は薬草の知識があるだろ? ちょっとバランの容態を見てもらいたいんだ」

「えっ、怪我しているのはバランさんですか!?」


 オルビアさんは急いで重傷人の元に駆け寄る。俺も担いていた大角野牛グレート・ホーン・バイソンを『空間収納』にしまって、オルビアさんのお父さんと一緒にあとを追った。集まっている村人の間を縫うように進んで、見えたのは地面で横になっている包帯が巻かれている男だった。その呼吸は弱々しく、今でも命の灯火が消えそうにしている。


「!? これほどの傷は……」


 オルビアさんは男の包帯を解いたら絶句した。男は胸部から腹部にある大きな三本の斬られた傷が目立つ。これは……真正面から斬られたな、あの熊の爪に……。


巨牙虎(ファング・タイガー)すら討伐できる男だったのに……」 

「村の一番の戦士でも勝てない魔物なんて、俺らはどうすれば」

「この村も終わりだ……」


 村人たちは暗い顔をして男を見つめている。どうやらこのバランという男は村の中では一番強い人らしい。


[名前]バラン

[年齢]25歳

[種族]人間

[レベル]15

[魔法適性]

 火適性:D−

 水適性:E−

 地適性:E−

 風適性:E−

 光適性:E−

 闇適性:E−

[スキル]

 一般:『剣術D+』『体術D』『狩猟D』『伐採D−』『火魔法D−』


 確かに巨牙虎(ファング・タイガー)とはいい戦いになりそうなステータスだ、剣術に至ってはDを持っていて、熟練度が高いと言えるだろう。


「この傷はもう……助かりません……」


 オルビアさんは悲しい表情を浮かべてそう告げる。オルビアさんのお父さんはそれを聞くとまるでその事実を拒絶するかのように目を瞑った。


 そして沈黙が流れる中、オルビアさんのお父さんが再び口を開けた。


「回復魔法さえあれば……」

「回復魔法……回復魔法!?」

「うお、どうしたんだ、急に大声出して」


 急に大声を出したオルビアさん。彼女はパッと後ろにいる俺の方に顔を向いて、頭を下げた。はい、ここに回復魔法が使える人がいますよ。


「お願いします、アラタさん。どうかバランさんに回復魔法を使ってくれませんか」

「分かりました」


 最初からそのつもりだったが……使うタイミングがなかったから……。


「お前さんは回復魔法が使えるのか! 頼む、バランを救ってくれ!」


 オルビアさんのお父さんも頭を下げた。


「試してみますが、助かるかどうかは保証できません」

「それは承知の上だ」


 保険だけ掛けとく。重傷に回復魔法使ったことないから、効果があるかどうかはやってみないと分からない。


上位治癒(ハイ・ヒール)


 魔法を使ってみて、とりあえず様子見。唱えた回復魔法は緑のオーラーを放ちながら、バランの体を治していく。オーラーが収まると、大きな傷はさっぱり無くなって、バランの呼吸も安定してきた。発動はちょっと雑だったけど、これは成功したみたいだ。


「おぉぉ、これはまさしく回復魔法だ!」

「恐らくこれで大丈夫なはずです、それでも安静させた方がいいと思います」

「そうか、感謝する」


 ふー、何とかなった。


 容態が回復したバランという男はどっかに運ばれていって、残された俺たちは群衆から少し離れた所で話の続きをする。さっきから三人の男らに睨まれてるけど、俺なんかした?


「しかし、問題はあの森の王だ。あれがあの森にいる限り俺たちに安寧はない」


 オルビアさんのお父さんが話を切り出した。するとオルビアさんはすぐにそれに反応した。


「お父さん、もう一つ伝えたいことがあります」

「……何だ?」

「実は、暴食熊(グラトニー・ベアー)はすでにアラタさんに討伐されました」

「それは本当か!?」

「はい、この目で確かに見ました」

「その死体はどこだ? まだあの森に残されてるのか?」

「それは……ごめんなさい、覚えていません……」


 実を言うと、あの熊の死体は今俺の『空間収納』の中にいる。オルビアさんにバレずに一瞬で収納した、彼女は気を取られていてそれに気づいてなかったと思う。


 オルビアさんとそのお父さんがまだ二人で会話を続けていると思ったら、今度オルビアさんのお父さんが俺に真剣な眼差しを向けた。


「お前さんと……少し話がしたい」




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