1−9起死回生の転移
(誤字脱字のご報告をお願いします)
『面目ないです……』
なんとかバハムートを慰めることはできたが、今度は身体が小さくなったことから魔力量も大幅に減少してしまった、その影響で今のバハムートは自身の魔力で身体を構築することが難しい……そのせいでまた落ち込んでいる、まあ原因は俺だけど。
というわけで今バハムートは俺の中にいて、非常に申し訳なさそうに俺に謝ってくる。
まあ、それはさておき、バハムートを使役したことにより、なんと俺はバハムートのステータスとスキルの一部を受け継いで物凄いパワーアップを成し遂げてしまったようだ。
[名前]アラタ
[年齢]18歳
[種族]人間
[レベル]18
[魔法適性]
火適性:E−
水適性:E−
地適性:E−
風適性:E−
光適性:E−
闇適性:E−
[スキル]
補助:『スキルショップ』『地図』『鑑定』『空間収納』『魔物討伐経験値上昇』
特殊::『空力斬』『転移』『起死回生』『防魔結界』『魔物召喚』
能力:『瞬足E−』『打撃耐性C+』『斬撃耐性C+』『毒耐性E』『呪い耐性E』『生命力上昇D−』
一般:『採取E−』『体術E−』『棒術E−』『伐採E−』『回復魔法C』『魔物使役D−』
EX:『竜星C−』『天空竜の威圧D+』『急速回復D』
新しくスキル一覧の方にEXカテゴリーが追加された。そしてあのバケモノレベルを受け継いだ割にステータス自体はあまり伸びなかったな。まあ、それでも十分に強くなった。相変わらず魔法適性の方は低いままだけど。
問題はスキルの方だ、何個か新たなスキルをゲットしたけど、『竜星』と『天空竜の威圧』は絶対俺が使っていいスキルじゃないだろ! そして一つ謝らなくちゃいけないことがある。俺はに逃げてしまった! 防御脳筋とか謳ってたにも関わらず俺は生命力スキルにSPを振ってしまった! 防御の力を信じきれずにその信頼を裏切ってしまったんだ。二度とそのような過ちを犯さないように誓う。
『なるほど、主はご自身の能力を確認できるのですね』
ちなみに、バハムートは俺の中にいる時限定で俺のステータスが見えているらしい、もちろんそれ以外の『地図』とかも見えている。そしてバハムートに話を聞くと、どうやらこの世界にはステータスの概念はあるみたい、しかしスキルは学習によって習得するものだから、スキルショップで交換できるのは俺のオリジナル能力らしい。
ますますチート疑惑が出てきたけど、もう今更の話だし、俺も気しない方針でいく。
『主、これからどうしますか?』
バハムートが今後の予定を尋ねてきた。
「そうだな……今日はできれば地上に降りたい」
『えっ? 聖地から離れるのですか?』
バハムートは意外そうに返事した。そうか、バハムートは浮空諸島の守護者だったな……。
「ああ、俺はこの世界を旅したい、だから一緒に来てくれると嬉しい」
最後の言葉は俺の本心だ。
『……』
やはり長い年月この島にいて、思い入れもあるのか、俺のお誘いに対してバハムートは沈黙した。
「……ダメか?」
『あっ、いえ、ただ嬉しすぎて感情を整理していました』
「あっそ」
なんやねん。結構覚悟を決めて説得しようと思ったけどどうやら必要なかったみたい。
『それでその『転移』という能力で移動するのですか?』
「そうだ。何か準備とかあるのか?」
『いえ、いつでも大丈夫です』
「よーし、もうこの島にいる理由ないし、今から転移するか」
予定とは大分ズレたけど、異世界に来て初めて仲間ができて、強敵と戦って色々楽しかったぜ。二日間で経験したとは思えない様々な出来事を振り返ってーー俺はようやく『転移』を使った。
眩い光に包まれて、俺は期待を胸に目を閉じた。
――そして。
なんかおかしい、転移は成功したはずだがーーなぜ俺は浮遊感を感じているんだ? 下方向からの風も凄い……これはもしや……。
『主……目を開けた方がいいですよ……』
バハムートに言われた通りに目を開けた。
「……」
俺は空中にいた、そして現在進行形には落下中である。うん? 落下?
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
『主、落ち着いてください!』
落ち着いてられるか! パニック、これはパニック! ふざけんなぁ! なぜ俺は空中にいるんだよ!
『転移』
現在いる座標からランダム方角、距離、高さの場所に転移する。
あっ、完全に高さのことを忘れた。
「ひ、ひっはいほうふへは(いったいどうすれば)」
風圧で喋れん! そして地面が段々と近づいてくるぅぅぅぅ!!!
『主、魔力を使って我を召喚してください!』
そうか、バハムートを呼べばいいのか、ナイスアイデア! 出でよバハムート! 召喚!!!
魔力がゴッソリ使われ、俺の目の前で漆黒の魔力に変わってゆく。その魔力が竜の頭部、胴体、翼、そして尻尾を造形し、バハムートが姿を現した。そしてすぐさまに俺を拾った。
「た、助かった……」
高所恐怖症に空中落下はアカン! さっきので気絶しなかっただけで褒めてほしいぐらいだ。
『あっ、これマズイかも……』
バハムートがなんか呟いた。
『主、悪いお知らせです』
嫌だ、聞きたくない。あー、なんか……バハムートの体がゆっくりと光の粒子と化し、消えてしまった。俺は再び落下を始めた、一難去ってまた一難とはこう言うことか。
「なーぜーだぁぁぁ」
『すみません、忘れていました! あの魔力だと数秒しか維持できません!』
それ先に言え! もうだめだ、地面がすぐそこだ、俺はここで死ぬんだぁぁぁ!
『あるじぃぃぃ!』
グシャッ
バハムートの俺を呼ぶ声と体が潰れた感覚と共に、俺は意識を失った。
『……じ、……るじ』
なんか……聞こえる……そうか……俺……死んだのか……。
『起きてください、主!』
「はっ!?」
バハムートの叫び声で一瞬で起き上がった。
「俺死んだ?」
『いや、生きてますよ』
あれ? 俺死んだはず……なんで生きてんの?
「俺肉塊になったんじゃ?」
『あっ、一応肉塊にはなりましたよ。ただその後すぐに元通りになりました』
一応なったんかい。そもそもあの感覚えぐっ! 思い出すのも嫌だ。全身の骨が粉砕した感覚と全身の肉が潰れた感覚……多分それを知ってる人は多分俺が初めてじゃないか?
ていうか俺はどうやって元通りになったんだ?
『起死回生』
一日に一回のみ発動します。スキル所持者は死亡した一時間後に身体を再構築します。毒死、呪死、病死には発動しません。
あー、そういえばこんなスキルあったな……防御脳筋の延長線、早速役になったようだ。
『主って凄いですね。我でもあんな風にグチャグチャになってしまうと復活できませんから、流石は我が創造主』
ははー、死んで生き返ったことで褒められても嬉しくはないぞ。
「そうだ、ここはどこだ?」
思い出したかのように周りを見る。
死んだのはいいとして、目覚めたこの場所がどこなのか全くわからない。見た感じ、辺り一面木だらけ、雰囲気は少し暗めだけど、まさかあの島に返送されたとかないよな?
『我にも分かりません。一つ言えることはここは聖地の森ではないのは確かです』
「そうだ、地図使えば……」
俺は早速『地図』を開いた。
『ふむ、どうやらここはオルアレンの森という場所ですね』
「そうみたいだな」
『地図』を見るに、どうやら俺たちは地上の森に着いたようだ。