1−7危機は突然訪れる
(誤字脱字のご報告をお願いします)
――次の日。
俺は島の内エリアを目指す。
あの死爪熊と激闘を繰り広げてから、俺はまた森の探索を再開した。
死爪熊に勝てると知ってからはのんびりと時間を沢山使ってあの森を探索した。途中も天空ゴブリンなど弱い魔物にも出会ったが、当然全部倒した。
そしてその努力は実り、俺の現在のステータスは以下の通り。
[名前]アラタ
[年齢]18歳
[種族]人間
[レベル]8
[魔法適性]
火適性:E−
水適性:E−
地適性:E−
風適性:E−
光適性:E−
闇適性:E−
[スキル]
補助:『スキルショップ』『地図』『鑑定』『空間収納』『魔物討伐経験値上昇』
特殊:『空力斬』『転移』『起死回生』『防魔結界』
能力:『瞬足E−』『打撃耐性D+』『斬撃耐性D+』
一般:『採取D+』『体術D−』『棒術E+』『伐採D』『回復魔法D−』
うむ、かなりの成長だ。一日で4レベルも上げられたのは俺が成長した証だろう。もはや途中のログが多すぎて全て紹介するのが難しい。
SPはもちろん『打撃耐性』と『斬撃耐性』に振った。
ちなみに、レベル5の到達効果はスキルショップに表示されるスキル数が3から4に増えたというものだった。地味だけど普通に嬉しいことだ。
特筆すべきなのは『回復魔法』スキルだ。異世界といえば魔法という所があって、俺も魔法を習得したかったのだ。最初に習得する魔法が回復魔法はどうなのという部分もあるけど、回復手段がなかったと考えると回復手段を増やすのはまず間違いないだろう。
そしてかなり移動してより内部の方に進んだが、それでもこの島の内エリアに到達していない、唯一分かったのは中エリアの幅ですら二キロメートルぐらいもあるということだ。マジでどんだけ広いんだこの島は……。
あの森に植物、ほとんどは薬草の類が沢山生えていたから、今後役立つのであろうと『空間収納』に入るだけ入れた。
唯一驚いたのが、ゴブリンを討伐してもまだレベルが上がることだ。死爪熊を討伐した時もレベルが上がったけど、意外と『魔物討伐経験値上昇』の効果はバカにできない。
説明はこれぐらいにして、いよいよ本題に戻ろう。
実は今日中にこの島から脱出することを計画してある。理由は単純、この島の内エリアに到達してミッションを達成したいからだ。それ以外は難しそうのと無理そうだから、達成出来そうなミッションは全部やっておきたい。
正直、バハムートは怖いけど、山さえ近づかなければ気付かれないと俺は考えた。
歩き続けて二十分、俺は中エリアと内エリアの境に辿り着いた。そして最後の一歩を進み、この浮空本島の一番内側の場所――内エリアに踏み入れた。
すると案の定すぐに目の前でログが流れた。
《行動ミッションを達成ーー浮空本島の内エリアに到達する(SP+1)》
記念にスキルショップをチェック!
『スキルショップ』
現在あるSP:2
現在交換できるスキル一覧
補助:なし
特殊:なし
能力:なし
一般:『威圧E−(SP1)』『魔物使役E−(SP1)』『剣術E−(SP1)』『拳術E−(SP1)』
スキル一覧を更新:SP1
いつも通りだった。
『魔物使役』はまあ言い方が変わればテイムだな、今の所まだ使い道ないけど取っておいた方が良さそう。『威圧』と『剣術』と『拳術』は……使い道ないからいらないな。
《スキル『魔物使役E−』を習得しました》
せっかくだし、生存力のためにもう1SPは『打撃抵抗』の能力を上げよう。
《スキル『打撃耐性D+』が『打撃耐性C−』になりました》
どんどん強くなっていく俺、このレベルの『打撃耐性』なら天空爪熊もう余裕じゃないかな?
ドンッ!!!
「……ッ!?」
突如地面が大きく揺れて、背後から強い風に煽られた。
『こんなところに生物が訪れてくるとは。我の住処に何の用だ、人間よ』
背後から落ち着いた低い声が聞こえた。おかしいな、なぜ冷や汗が止まらないんだ……この威圧感は一体……。
俺は恐る恐る後ろに振り向いた、すると目に映ったのは巨大な黒い竜だった。
「ば、ばば、バハームト!」
そこにいたのはこの島の主――天空竜バハムートだった。
『ほう、これは珍しい、人間が我の名を知っているのか』
バハムートは念話で俺に伝えている、ていうか喋れるのか……!?
『もう一度聞こう、我の住処に何の用だ』
何か言わないと!
「お、俺はただ、こ、この大地の素晴らしい、ふ、風景を、み、見たいために、こ、この山を登ろうと、し、しただけです……」
『……』
やばい……体の震えを押さえられない、口を開けることすら難しい! い、今の返答は不味かったのか、なんかずーと無言だけど!
あっ、バハムートが急に震え出した。こ、これは完全に怒らせた。俺、死んだな……。
俺は目を閉じて死を待つ、しかし一向に審判は起きない。な、何が起きっている!?
するとバハムートから嬉しそうな声が念話を通じて伝わってきた。
『わ、分かるのか! この大地の素晴らしさを!』
……思ったのと違う反応が返ってきた。
『お主もそう思うか、そうかそうか』
なんかスゲー上機嫌だけど!?
『いや、頑張った甲斐があったのであるなー』
た、助かったみたい……。とりあえず、もっと喜ばせることを言って何とかこの場から逃げないと……。
「え、ええ。この大地は本当に美しいです!」
『うむうむ』
「えーと、世界のどの言葉も完璧に表現できないほど完璧だと思います!」
俺が褒めるとバハムートは見る見るうちに機嫌が良くなって、後ろの尻尾を振る勢いが凄まじくなっていく。
『ほほ、そうかそうか。よし、分かった』
これは、見逃してくれるのか!?
『我がお主を山頂まで連れて行ってあげよう』
「えっ……」
なぜそうなるんだぁぁぁぁーーーー!!!
いよいよ浮空諸島のお話が終盤になります。