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お兄様はヤンデレチョロイン

「あのクソガキ、私の可愛いディーに色目を使いやがって……っ」


帰宅した私はあの時にお兄様の顔が忌々しげに歪んでいた理由を知って通常運転だったか、と安堵のため息をつく。

前回の時に後宮に行くね。って伝えたら成人済みだったどころか父から多くの業務を引き継ぎ、もう実質宰相として働いていたというのに床に大の字になっていやだいやだと子供のように駄々を捏ねたお兄様だ、王子が私を見ただけでそうなるのは十分想定の範囲内だ。


「お兄様」


「あぁ、私の可愛いディー。

地上に舞い降りた唯一の天使。

今日の素敵な衣装と可愛いお顔をお兄様によく見せておくれ」


とても機嫌の悪いお兄様に声を掛けるとすぐにとろけるような甘い笑顔を浮かべて私を手招く。

そっと傍によると壊れ物を扱うように優しく頭を撫でられる。

温かくて大きな男の人の手である。

これが3年後の後宮入りを決めた時にはその場で大の字になって床を叩き回っていたのだ、信じられない。


「ディー、私の可愛いディー。

あのクソガキどうしようか、消しちゃうと他にご兄弟もいらっしゃらないし、陛下達にもほかの跡継ぎは望めないだろうし……

王家の種だけあれば良い訳だし、ディーを見れないように目を潰して、近寄れないように足を落として、触れないように腕も落とす、くらいなら許されると思うんだけど、どうかな?」


優しい笑顔のままどうかな?って明日のおやつはマドレーヌにしようか。みたいなノリでお兄様がとんでもない事を言い出したので一瞬遠い目をしかける。

私、殺されたし、復讐としてそれくらいやっても許されると思うけど、時間巻き戻ってるっぽいし、そうなると王子はまだアホなことはしてないわけで、そうなると私の復讐はただの乱心以外の何物でもない訳で……


「お兄様、お兄様が私を大切に思ってくださっているのはとても嬉しい事ですが、私、お兄様のそのお気持ちだけでとても幸せですわ。

お兄様の妹として愛される私は世界一の幸せ者に間違いありませんもの」


あのまま黙ってたら本当に翌日には王子がだるまになりそうなのでお兄様の暴走を止める必殺技、お兄様大好きスマイルを投げつけおく。

笑顔の直撃を受けたお兄様は途端に膝から崩れ落ち尊い……しか鳴かなくなる。

これで怒れる暴君は鎮まるので、私のお兄様、とてもチョロイ。

どんな時でも私の笑顔でコロッと機嫌を直してくれるお兄様にはチョロインの称号を差し上げたい。


「お兄様は私が死んじゃったら国を滅ぼしてしまいそうですね」


「それは……ディーの居ない世界なんて間違ってるから仕方ないよね?」


兄の様子に前回の時はどうしただろうかと思いを馳せながら口にした言葉に凍りついた顔のお兄様が世界を滅ぼして1からやり直すしかないよね。と真顔で言い出してお兄様、病んでいらっしゃる……?とちょっと血の気が引く。

ヤンデレチョロインお兄様はヤバすぎる。

文武ともに優れたお兄様の事だ万が一の時には本当に世界を滅ぼす魔王になり兼ねない。

……お兄様が世界を更地にしてやり直したから私がここに居るとか、ないわよね……?

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