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過去の想い

6の鐘の少し前にオリビアが迎えに来たので、モモルナはメリサを連れて移動した。

広間に入ると国王陛下と王妃だけでなく、王子達も一緒に居た。

第一王子のルディアス、第二王子のセオディア、第三王子のフェルオット。

そこだけ世界が違うように思えるほどキラキラ輝いてる。


(この光景は…舞踏会で見たのと同じ)


驚きを表情に出さないよう気を付けて挨拶する。


「お招きありがとうございます。

 モモルナ・フォンダ・シャルリーでございます。」


モモルナは優雅に一礼してから、オリビアに案内された席に座る。

令嬢達の挨拶が終わり全員が着席して、ほどなく料理が運ばれてきた。

食事と会話を楽しみながら和やかに時は進む。


セオディアとフェルオットは楽しんでいるのが見て取れたが、

ルディアスは冷めた目でつまらなそうにしている。


(あの冷ややかな目…懐かしい)


ほろ苦い想いがモモルナの胸に広がる。

3年前に開催された特別教育でルディアスは誰とも婚約しなかったため、

今回の特別教育で婚約者を決める可能性が高いと言われていた。


1度目のモモルナは、ルディアスと婚約する事に意欲を燃やしていた。

いずれ国王陛下になるであろう『第一王子』という存在が魅力的だったのもあるが、

舞踏会で初めてルディアスを見た時に心が惹きつけられた。


あの手この手とモモルナはルディアスを誘ったが、公務を理由に断られ続けた。

他の王子達とは違いルディアスは公務に就いていたので忙しいのは確かなのだが、

令嬢達との関りを拒絶しているのではないかとモモルナは思う。


(だって…今回もルディアス殿下は誰とも婚約しない)


モモルナが過去の事を思い出していると、隣に座っていた令嬢クレアがこちらを見て声をかけてきた。


「モモルナ様は明日からの事を考えると緊張しませんか?」

「クレア様。ええ、とても緊張します。

 特に明日の舞踏会の事を考えると、胃がキリキリしてきます。」

「まぁ!モモルナ様も?私だけかと思っていましたわ。」


クレアは大きな瞳をまん丸にして驚いた後、くすくすと可愛く笑った。

クレアの笑顔を見ていると、モモルナもつられて笑顔になった。


「モモルナ様は特別教育のどの授業に興味がありますか?私は音楽の授業が楽しみです。

 歌うのも演奏するのも、どちらも好きなのです。」

「音楽!素敵ですね。クレア様の奏でる音楽をお聴きしたいですわ。

 私は環境学と女神学の授業に興味があります。」

「環境学と女神学ですか?」

「ええ、領地の収穫が年々悪化しているような気がするのです。

 微量ですので気のせいかもしれませんが、環境面でも女神のご加護の面でも、

 いろいろ学びたいと思っております。」


ルディアスの眉がピクリと動いた気がした。

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