王都へ出発
「お父様、お母様。いってまいります。」
見送りに来た両親に挨拶をして、モモルナは馬車に乗り込む。
5度目の目覚めから慌ただしい日々が過ぎ、ついに出発するのだ。
エルカナ王国の王都シトレーンへ。
晴れて気持ちの良い朝、ゆっくり進む馬車には心地よい風が入る。
流れる景色を見ながら、出発を朝にして良かったとモモルナは心から思った。
休憩の度に馬車を降りて景色を堪能したり、日記帳に書き込んだりしていたため、
予定より遅くなったが、昼頃には王都へ到着した。
王都の街に隣接する門で、王都への通行許可証を見せる。
すぐに門が開くと、まっすぐ続く道の先に王宮が見えた。
王宮へ続く道をゆっくりと馬車が進み、窓からは活気があふれる街並みが見えた。
(なんて素敵なの!)
瞳をキラキラと輝かせて、モモルナは街並みを眺める。
今までの人生で街に来ることはほとんどなかったので、今度の人生では街にも来てみたい。
そのような時間が取れるのか、街にまで出ることが出来るのか、色々と考えていると馬車から見える景色が変わり始める。
賑やかな街並みから閑静な住宅地になり、大きな屋敷などが立ち並んでいて、王宮へ近づいていると感じさせた。
王宮を守るための門に到着し、警備している騎士に特別教育の参加証とシャルリー家である事を告げる。
確認のためしばらく待たされたと記憶していたが、思ったより早くに門が開いた。
(いよいよ来たのね)
これから何が起きるか分からないが、精いっぱい抗うつもりだ。
死の運命を変えるため、モモルナは強い決意を持って王宮へ足を踏み入れた。
門から少し進むと大きな噴水があり、その先に大きな扉が見えた。
大きな扉の前には執事とメイドが待機していて、モモルナ達を出迎えてくれた。
「シャルリー家のモモルナ様。ようこそいらっしゃいました。
執事のオリビアと申します。」
オリビアは手をおなかに添え深々と頭を下げると、
後ろに控えているメイド達も合わせて頭を下げた。
顔を上げたオリビアは「お部屋に案内します」とモモルナ連れて移動した。
案内された部屋は、相変わらず豪華で落ち着かない。
シャルリー家では弁償出来ないような品々が飾られていて、
過去にうっかり壊しそうになった時には生きた心地がしなかった。
馬車の疲れもありボーッとソファでくつろいでいると、
王室のメイドが軽めの昼食を運んできてくれた。
疲れて空腹を感じでいなかったが、少しだけでも食べることにした。
食事を終えて紅茶を飲んでいると、窓にポツリと雨が当たった。
雨が降り出したんだと思い窓を眺めていたら、たちまち激しい雨変わった。