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新調したドレス

モモルナは朝からとても機嫌が良かった。

今日、シャルリー家が贔屓にしている仕立て屋が、ドレスを持って屋敷にやって来るからだ。

最新のデザインのドレスを取り寄せたと聞いていて、モモルナは期待に胸を膨らませていた。


(あーー!!もう楽しみですわ!!)


時間を持て余していたが、ドレスに思いを馳せて過ごしていた。

仕立て屋が到着したとメリサが部屋に呼びに来た時には、

楽しみすぎて部屋から飛び出していく勢いだった。


メリサに案内された部屋には、所狭しと煌びやかで素敵なドレスが何着も並んでいて、

モモルナは目を見開いた。


「お母様!とても素敵ですわ!!」


素敵なドレスに囲まれて、興奮しない方がおかしい。

モモルナは一気に全てのドレスを着たい衝動に駆られたが、

一着ずつ楽しむようにゆっくりとドレスに袖を通した。

仕立て屋が身体に合わせて調整している間は、ドレスについてお母様と語り合った。


どのドレスも素敵だったが、中でも金色の刺繍が入った赤いドレスが一番胸が高鳴った。

一目見た時から心を奪われていた。


(この素敵なドレスを着た私をみたら、きっと第一王子は私に求婚するわね!)


『第一王子と婚約』という決意を心に秘めて…

いや、心に秘めきれずモモルナは闘志を燃やした。



***



(懐かしい…このドレスだったわね。

 残念ながら第一王子とは婚約出来なかったんだけどね…。)


金色の刺繍が入った赤いドレスを身に纏い、1度目の自分を思い出して懐かしい気分になった。

一緒に苦い思いもじわじわと蘇ってきて、それを振り払うように、

ふるふると頭を振る。


(それにしても…つ、疲れた…あと残り何着なの…)


普段着るようなドレスから、パーティーなどで着るようなドレスまで、

十数着が用意されていた。

モモルナがドレスを着て、仕立て屋が黙々と調整するという作業をずっと繰り返している。

さすがに長すぎだ。モモルナはたまらず声をかけた。


「お母様…、あと何着で終わりますか?」


『こんな楽しい時間の終わりを知りたいなんて信じられない』という顔をして

次が最後だと教えてくれた。


衝立の奥で待っていると、最後のドレスが運ばれてきた。

そのドレスを見た瞬間、モモルナはドレスに引き込まれるようだった。

夜空のような深い紺色に煌めく星のような宝石がちりばめられていて、

まるでモモルナの銀髪のためにあるようなドレスだ。


(ドレスに興味を持ったのは、1度目以来かも)


なんだか急に楽しいような嬉しいような、そんなふわふわした感じが身体を包む。


2度目はドレス新調を放棄し、3度目と4度目はこの時間を無で過ごした。

5度目も同じだと思っていたのに。

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