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02.あっちからこっちから てんやわんや


「「「デカ女め!!」」」

 ルオーノの声が響く。


「なっ! ルオにぃ、酷いよ!!」


「なんだよ!! お前泣かされたんだろ?! なんでオレ達に怒ってんだよ」

 予想外の言葉にジオンはジュディを覗き込む。



「ち、ちがうよ、ボクが悪かったんだっ」


「何言ってんだ、気の弱いお前が悪さなんかしないだろ、サハン。いいから、いいから。このジオン様と相棒のルオーノに任せろって」



 話がどんどん進んでるわ。このままだとまた違う争いが起きてしまうかも。何か言わないと。

「ちょっ、ちょっと……まっーー」



「こらこら、やめなさい。落ち着きなさい、子供たちよ。フォフォ」

 新たに入ってきた声の主は、村長のルーテック。

 立派な髭が自慢らしい。


「ジオン、ルオーノ、キミ達の勘違いじゃよ。ホステルはジュディを泣かしたりしてないぞ。フォッフォッ」


「テックじぃ! じゃあ誰が泣かせたんだよ。他にいないだろ」


「大体、テックじぃさんいま来たとこじゃないか! なんで分かるんだ??」



 ルオーノとジオンが捲し立てるように喋るが、マイペースに答える。

「日が出る前からずっーといたぞぃ。そこの芝生で寝転んでいたんじゃよ。フォフォフォ。だからの、全部知っとるわい!」


「日が出る前から……すげーな。よく飽きないな……。で! ジュディを泣かせたのは誰なんだよ?」


「そうじゃなぁ……分かりやすく言うなら、風にイジワルされたんじゃな。 フォフォフォ」


「風? イジワル? なんだそれ! 意味わかんねえ!」



 テックおじぃさんが入ってくれたから黙ったけど……。このまま待ってても更に話が拗れそう。

 ジオンとルオーノ、きっとサハンを叱るわ。

 もう済んだ話だから止めなきゃ。

「ストーーーーップ!! おわりーー! もう、おわりーーーー!」



「ルゥお姉ちゃん、でも……可哀想……ひどいよ」

 優しいジュディはそう言い泣き出してしまった。


「ジュディ、ありがとう。私は大丈夫、全然気にしてないのよ?」


「でもでも! いくらなんでもデカ女なんて……」


「ふふふ、デカ女で良かった。じゃなきゃジュディの帽子取れなかったもの! たまには役に立つものねっ」


 ジュディの涙を拭いながらニコニコと優しい笑顔で笑いかけるホステル。


 そのやり取りを見ていたジオンとルオーノ。

 そして自分たちの間違えに気付く。

 みんなの視線がホステルとジュディに向いてるのをいい事に、小さくなりこっそり、この場から逃げようとした。



 ーーゴツンーー


 鈍い音に目をやるとジオンとルオーノの頭にゲンコツが落ちたらしい。


「ジオン、ルオーノ! 見てたぞ! お前たちの父親の代わりに俺がゲンコツさせてもらった。なんでされたか分かるな?!」


 彼はジュディ ナナラの父スドック。

 ナナラがハンカチを取りに帰ったところ話を聞き

心配になって付いてきたのだ。

 そしてルオーノの「大女」発言から見ていたのだった。


「はい……。ちゃんとホステルに謝るよ……」

 重いげんこつが効いたらしく素直な2人。


「ホステル 悪かった」

「ごめんな」


「はい、いいよ。」

 あっさりと快く許す。



「全く。逃げようとするなんて言語道断だ!それとホステル、ジュディとナナラが世話になったみたいで。ありがとう」


 今度こそ話は丸く収まり、時刻はまもなくお昼時になろうとしていた。



さあて!お昼は何にしようかな スープにパンに……。


「ーーーーあっ!!」


 ホステルの大きな声にみんなの視線が集まる。


「わっ! なんだよ びっくりした」

「ヒョイッ! 驚いて目がこう、クカッとしちまったわい。フォフォフォ」


「忘れてたわ……。お願い、ジオン、ルオーノ手伝って?」


「げっ……。これからお昼なのに?! ま、しょうがねぇ、いいよ。ルオーノは??」


「あ、そうよね。食べ終わってからでもいいんだけど……」


「いいよ。さっきのお詫びだ。先に手伝うよ。」


「本当? ありがとう。」


 2人の助っ人と共にどこかへ向かって行ったーー。

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