モコモコ君をみつけたよ!
この家にはモコモコ君がいます。モコモコ君は、家族がなくしたものを見つけるのが得意です。普段は姿を隠していますが、たまに見つかることも……。
◇◆◇
パパもママも困ってる。「しんこんゆびわ」が見つからないって言ってる。実はボクも困ってる。大事なかいじゅうのオモチャが見つからない。
プンスカ怒ったボクは、手元にあった積み木を部屋の角っこに投げた。
「痛い!」
なんか、聴こえてきた。お化け?
気になったボクはハイハイしながら、音のなった方に近づいた。
(あ!)
しんこんゆびわ──をむしゃむしゃしてる、白いモコモコした埃みたいないきものがいる!
「ママーパパー、変なの見つけたよ!」
ボクはそいつを手の中に閉じ込めて、パパとママに見せた。でも、ボクの手には、しんこんゆびわしかなかった。
「たーくん見つけてくれたのね。ママ嬉しいわ!」
「ありがとうな」
うーん、うーん。
あのお化けみたいな埃みたいな奴は何だったんだろう──?
◇◆◇
「ビックリしたー!」
埃に例えられたモコモコ君は、目立ちにくいテレビの奥に隠れている。部屋中を探し回っている、たーくんに怯えつつ、また新しいものを見つける。ミニチュアの座布団だ。
「ふわふわー♪」
モコモコ君は、しばらく眠りこけてしまいました。
◇◆◇
「見つけた!」
「!?」
モコモコ君が目覚めたときには、たーくんが透明なコップを下に向けて、捕まえられてしまいました。油断大敵。ピンチです。
「出してー! 出してー!」
「それボクの座布団だから返して!」
「すぐになくすのが悪いんだよーだ!」
コップをベシベシ叩くたーくん。参った。と、モコモコ君。
(どうせ今まで忘れていた物なのに……)
モコモコ君は心のなかでそう思いましたが、素直に座布団を返しました。そして、
「物は大切にしてね!」
そう言って、モコモコ君は、その場から去りました。実はこのモコモコ君。たーくんの先祖様なのです。いつも見ている、大切な存在です。
あなたの家にもいるかもしれませんよ。モコモコ君が……。