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四。悪役の暗躍と王

「誰ですか?って冗談だろ?!俺だ!直樹だ!」


間違いなくこいつは彩だ。何年も一緒にいた彩だ。

まさかこんなときにドッキリをしている?

いや、それくらいは流石にわきまえているはずだ。

つまり綾は事故の衝撃で記憶喪失に…

そんなの…


「酷すぎるだろ…」


あまりのショックに混乱している俺を見て彩が口を開く


「…どなたか存じ上げませんが貴方が魔王だと聞いてます。…ヴィルセディス国王陛下!何故この者を殺さないのですか!」


彩はきっと真剣なんだろう。

彩が俺を覚えてないからこそ殺せと…

誤魔化そうとしてもショックが隠せない。

するとヴィルセディスは少し唸った後に、


「…ほう?我に逆らうか。女だろうが叩ききるぞ?」


その場にいた全員が凍りついた。

その視線はこれまでの威圧とは比べ物にならない。

これが蛇に睨まれたカエルと言うやつだろうか。

別に目を向けられてない俺でさえ足が震えてる

何がそこまでヴィルセディスを怒らせたのだろうか?

ただ彩はそんな脅しに怯むことはなく…


「いえ、申し訳ありませんでした。ですけどやはり魔王は今のうちに討伐するべきでは無いでしょうか?」


確かに彩の意見にも一理ある。

もし立場が彩と逆なら俺も同じことを言うはずだ。

もちろん記憶が無ければの話だが。

なんて考えているとヴィルセディスは凶悪な笑みを浮かべた。

それは先程までの怒りの表情とはまた違った威圧がある。


「…ところで我は貴様を勇者だと言ったことがあるか?」


「い、いえ…それは」


確かに彩が必ず勇者である確証はない。

多分、彩は見た感じ魔王じゃないから後から来るやつが魔王だろう的な考えだったんだろうな。


てか彩、敬語喋れたのか…なんて場違いなことを考えてたら王が突然…

いや、さっきまでの話を聞いてたら分かるけど。


「我が考える真の勇者は…」


ヴィル王はゆっくりとこちらに優雅な笑みを浮かべ


「真の勇者は貴様だ。カトウナオキ。貴様から聖の気を感じる」


はいぃ?

確かに彩が魔王じゃないとなると自動的に俺だろう。

なんか、こういう異世界的展開も嫌いじゃない。

ただ、勇者と言うのは俺には荷が重すぎる。

かといって魔王扱いされるのも…


その瞬間家臣(?)達がざわつき始めた


「このような者が今宵の勇者なわけ…」


「サカモト殿の方がよっぽど勇者らしい…」


もっともです。

確かに前世の彩と俺なら、俺の方が勇者向きだろうが現世の俺と彩ならおどおどしている俺よりも豪華なドレスをまとい王にも畏怖することなく発言する彩の方が勇者向きと言えるだろう。


それに彩が魔王だったとしたら俺は絶対に倒せない。

たとえ彩に記憶がなかったとしてもだ


そもそも、それ以前に


「俺、多分一般人と戦力変わりませんよ?」


「だろうな。そのようなこと承知のうえだ。」


ならなんで俺が勇者だなんて…

まぁそういう話なら彩も俺と戦力は変わらないだろうけどね。


と、ここでそこまで黙っていた彩が突然、


「…2人に1人が魔王なら…私は?ねぇ!私は何者なんですか!!」


確かにそれは同感だ。

俺が勇者なら当然彩は魔王だろう。

ただ魔王っぽくはないというか…


「彩…」


あれだけうざくても彩は小学生時代からの友人だ。

当然心配になる。


「貴様が魔王なんだろうな。…普通に言えば」


再び家臣がざわつき始める。

ただ、今のヴィルセディスの言葉には妙に引っかかるものがある。


「…普通に言えば?」


彩の絞り出すような声。


「そうか。ここに居るものだと我とジークしか知らないはずだな。」


「さようにございます」


ヴィルセディスの言葉に反応したのは立派なあごひげを蓄え、見た目の年齢にしては随分とがっちりした体形のおじいさんだ。

この人がコールと言う人だろう。



「先日、ルシフェルが消えた。…。彼は我に仕える陰陽師である。…そして貴様らが来ること、貴様らのうちどちらかが魔王でどちらかが勇者と嘯いた。」


逃げ出したって…それではまるで


「嫌なことから現実逃避したってことか…」


「そういうことだ。貴様らは2人とも力を保有している。しかしサカモトにはまた別の力が宿っている。カトウのことを覚えていないのもそのためである。…まぁ、あくまで推測だがサカモトは2人いる。」


「…と言いますと?」


「勇者の力を持つサカモトと魔王のサカモトがいるということだ。」


再び家臣みたいな奴らが騒ぎ出す。

モブキャラ感が半端ない。


「何故そんなことが…」


「あぁ、この世の終わりだぁ」


つまり魔王の彩が前世での記憶を握ってるのか。

それでこっちの彩には記憶が無い……と。

これって結構絶望的じゃないか?


「…我からカトウナオキ、サカモトアヤに命ずる!今宵の魔王討伐を貴様らに任せる!」


「「………」」


「返事はどうした?」


「「はい!」」


俺と彩が彩を倒す……

想像してみたらなかなかシュールだがそれで記憶が戻るというなら…

人は失ってみて初めて失ったものの大切さが分かるものと聞いたことがある。

俺は別にドMではないが彩がいたずらしてこないなんて、言葉で言い表すのは難しいがなんだか日常に穴が開いたようで寂しい…


「…ちなみに魔王を倒したとしてもサカモトに危害は加わらない!記憶が戻るだけだ。」


おお!なんて便利な世の中だろう。俺らに都合が良すぎる。

いや、彩の記憶が無いことはあれかもしれないけれど


「あと、ここで聞いたことを口外しないように」


「「はい!」」



…ということになって俺と彩(記憶なし)との冒険が始まったのだ。

ちなみに俺たちが勇者であることは同じパーティーの人間以外には言ってはならないらしい。

まだ俺たちの戦力では魔王にかなうはずがない。

つまりまだ弱い俺たちを殺してしまえば、魔王側からすれば都合が良いからである。


まぁなんやかんやで俺、


勇者になっちった。


〜王城から出てから〜


「さっきはごめんなさい…その、勝手に魔王扱いして…」


やっぱり記憶が無いんだなぁ…前の彩なら絶対謝ったりしなかったし


「いや、いいんだ。俺こそ怒鳴って悪かった。記憶が無いなら仕方ないよな。」


彩はそれでも申し訳なさそうだ。





こんにち!

今日は少し長めにしました!

そろそろこの章の内容を大体決めてきました。(語彙力低くてすまん)

この後仲間は数人増えます。個人的には男キャラを増やしたいんですけど全員女子キャラですね。予定ですけど。

あと2章もどんな内容にしようかなぁとか考えてました。一体何話まで続くんでしょうね(笑)

さて。今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

2020年4月 明日課題提出と言う現実から逃げるために妹に泣きつきながら

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