二。チート系魔王
「直樹ー。おーい、直樹ー?いつまで寝てるのー?」
「ん。……ふぁ…。おはよ」
エルドルからアルク大迷宮行きの列車に乗り、そろそろ1時間くらいだろうか。
ちらとかかっていた時計を見ると予想通り1時間が経過していた。
冬の割に暖かい列車内にいると、ついつい眠くなってしまった。
窓の外を見てみる。
空は太陽はまだ高く、南中している。
そこから目線を下げると、高い山、広い牧場、表面が凍った湖が見える。
「ナオキ、そんなに寝ていたら太ってしまうよ?」
「残念だったなぁ、アルリエ。俺は太りにくい体質なんだ。」
「へぇ…それは羨ましいね。」
こういうことを言っても、私も太りにくいし。とか、あっそ、だから?とか言ってこないあたり、アルリエって彩とは違って良い子なんだよなぁ。
本当に、どうして彩はこうなんだろうか。
まったく……彩ってツンデレだもんな。
「何その目。喧嘩する?」
「いやしねぇよ。ただ、1人の綺麗な心に感服してただけだって。」
しかしこの状況。前世の俺じゃありえなかった。
魔王討伐とかじゃなくて、こんな美少女3人と大冒険してるってことな。
前世の俺は男子とは誰とでも話せたけど、女子とは話せなくて。
彩は小っちゃい頃から話してたから例外。
こっちの世界来てからは、女子と話すのが恥ずかしいなんて考えていられなかったからなぁ……。
……かといって嬉しいな展開は
…アルリエとの一件があったのだが、あの時は出会って初日だ。
ほぼ初対面の人に対してそういうことは流石に……
今考えてみると、ちょっと損した気分になるな。
でも、あれはきっとからかってただけだ。うん、きっとそうだ。
……にしてもあれだな、これ…
「ギャルゲーの主人公みたいだ」
「直樹、やっぱ喧嘩売ってたんだね!」
何故か、彩が怖いくらいの笑顔で俺の靴を踏みつける。
俺は何もしていないのにあんまりだ。
「ぎゃるげー……ってなんですか?」
「ボクもさっぱり分からないや。」
あ、あれ。口に出ていたのか?
心の中で言っていた気でいたんだけど。
…困ったな。ギャルゲーの意味を知られるのはまずい。
彩は知っているようだから手遅れだとして、エアとアルリエは……。
止まない彩の笑顔に寒気が走る。
多分、彩はギャルゲーの意味をエアとアルリエにばらそうとしている。
くっそ、こうなったら…
「アイス。」
「……が、どうしたの?」
「奢ってやる。…言いたいこと、分かるよな?」
そう。物で釣る作戦だ。
昔の彩……俺との過去の記憶を持ってる彩なら、大体これで折れてくれる。
…こっちの世界のアイスはお値段がかなり高いんだから折れてくれ……
「へ~、気が利くね~。じゃぁ買ってきてー」
「彩だけ羨ましいです!……エアのもお願いできますか?」
「じゃぁ、ボクのもよろしく。」
▼△▼
結局3人分奢らされてしまった…
以前、この列車に乗った時、エアに買ってあげたのだが、やはりこちらのアイスは値段が高い。
クリスタルスケイルの報酬は、アルリエも入って4分の1。つまり、俺以外のお嬢さん方も大金を持っているはず…いや、そんなけち臭い事は考えない方が良い。
だってこいつらの笑顔はお金で測れない程の価値をもっているからだ。
なんかかっこいい事言えた気がする、俺。
<一方、2日前の魔王城>
「レベルアップ、レベルアップ……レベルアップが止まらないね~」
その日も私……魔王・坂本彩は仮想世界で魔物を一掃していた。
本当に、こんなに効率の良いレベル上げ、他には無いと思う。
魔王になって日が浅い頃は下級、中級、上級の魔物を一掃して経験値を稼いだものだけど、レベルが上がってくると必要な経験値が増すのでこの程度の魔物では、大量殲滅を行ってもレベルは上がらない。
……ということで、最近は主級、超級Ⅰ、超級Ⅱ、1部隊級、災害級、聖獣「降誕」の魔物にリニューアルしてみましたっ!
コール曰く、一般冒険者なら主級でも複数人でやっと勝てるかどうかの強さらしい。
一応、私の魔法を使えば聖獣「降誕」までは軽々と範囲殲滅魔法で蹴散らせる。
他に、聖獣「壮齢」、聖獣「地獄」、神話級の魔物が存在するが、そこまでくると範囲攻撃では仕留めきれないので効率が悪い。
そういえば、以前とは一掃の仕方も変わった。上級くらいの魔物なら炎で森ごと焼けば良かったが、主級を超えると炎耐性を持つ魔物が現れてきたので、全属性全方位拡散弾を撃っている。
こっちの方が全滅させる時間も早いし。
ちなみに全属性全方位拡散弾は私が勝手に作った魔法なので名前は無い。詠唱もめんどくさいからしていない。
そもそも「全属性攻撃」というものが、この世界では使われていないらしい。
一度に火、水、木、土、雷の魔法を安定させながら練り、それを実体化させることの出来る技量を持つ術師がまずいない。
魔法の神髄を極めたコールでも無理だとか。
そんなに難しくはないんだけれど。
……というか、この世界って魔法が結構少ない。
ただ、他の魔法を組み合わせたり、新しいのを作ったりは可能っぽいから不自由はしてない。
さてさてアリアの方は大丈夫かな。
今朝から王城の舞踏会を壊滅させに行っているはずだ。
…ちなみに、今回は初めから直樹達に勝とうだなんて考えていない。
今回の目的は舞踏会の壊滅だけだからね。
千里眼を発動させ、アリアの状況を確認する。
……うーん、思ってたよりも苦戦しているみたい。
アリアのソウルエネルギーはそろそろ底を尽きそうだ。
無理もない。エルドルの王城には結界が張り巡らされており、生命を維持するためだけでもソウルエネルギーが消費されていくからね。
まぁ、壊滅はしてくれてるみたいだから目的は果たせた。
先日、幹部のレザール君がユニコーンをこっち側に引き込んでくれたし、活動はなかなか順調。
青龍は失敗したけれど、他の神話級は何体かこちら側に引き込めそうだし。
面倒な青龍はユニコーンが排除してくれるらしい。
…そうなったら神話級の枠が1つ開いちゃうなぁ。
神話級の称号は数に決まりがあり、枠に余りが出ると別の魔物に継承される。
んー、レザールは一応現在、聖獣「地獄」だから神話級に昇格できるかもしれないなぁ。
幹部の中でレザールだけは人じゃないから、魔物用の称号持てるんだよね。
……さて、とりあえず私個人としては、直樹と一緒に行動している私。勇者の坂本彩が気に食わない。
直樹を弄っていいのは私だけだ。何故、新参者のお前がその立場を担ってるんだよ。
本当に相応しくない。死んでほしい。
お前に直樹の何が分かるって言ってやりたい。
「だめだめ」
熱くなりすぎてはいけない。
私がキレると世界が終わりかねない。冗談抜きで。
今現在の私のレベルは426。討伐した魔物は……数万になるんじゃないかな。
最近は地獄級5体倒してようやくレベルが1上がっている感じ。
……で、ステータスはカンストしてエラー表記。
攻撃面では韋駄天やアグニ、バルナと言った、ステータス上昇アビリティが色々。
他にバフ・デバフ無効、物理攻撃無効、魔法・呪術攻撃無効を初めとして、空腹にならない、眠くならない等の必要ないアビリティも持っている。
つまり私はなろう系小説とかでよくある、チート系キャラになっちゃったということかな。
……ここまで強くなれたのは嬉しいけど、何故私の見た目は幼いままなんだろう。
どんな魔法を使っても成長だけは何故かできない。
まぁとりあえず生前言ってた通り、直樹は異世界でも私に勝てないってことだね!
…そんな哀れな直樹君を早く殺して洗脳を解いてあげたいんだけど……
魔王である私が勇者を攻撃するためには魔王連合幹部の全滅、または休止状態にしないといけない。
そうじゃないと攻撃が通らないからね。それは向こうも同じ。
休止状態と言うのは幹部のみが持つ冬眠みたいなもので、休止状態に入ると次代の魔王が誕生するまで眠り、新しい魔王連合幹部として目覚めるらしい。
実物を見たことは無いので詳しいことは分からないけど。
…あ、そうそう。アリアを連れ戻さないと。
「アリア・ソフィア・RE・キャプチャー」
そうつぶやくと眼前に光の柱が誕生する。
さぁ、戻ってらっしゃい。
「こざかしい…ん…です?って、あれ?彩様?す、すみません!」
どもです~えれあだお☆(殴
お詫び:過去の話を見てたら彩が幼女になってなかったので修正しました。1章6話です。
で、ですね。ここからは読まなくても大丈夫な近況報告~
最近、アインホルノ大迷宮で出てくる魔物のデザインを考えてたんですよね、はい。
雑魚(と言っても一部隊級までいるよ)が16体、ボスがユニコーン入れて6体。
で、完成して思ったんですけど、雑魚がscpみたい…
ボスは中学時代に考えたイラストを使おうかなと。
(モン○トの轟絶キャラをオリジナルで考えてた。(ちょっとカ○ナみたいになってる))
…てことで今回も最後までありがとうございました!
来週も見てくれたら嬉しいです!




