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俺の幼馴染はロリっ子魔王!!いせがち!  作者: えれあ
第二章 異世界迷宮攻略編
33/37

一。青龍 サクラ・アニマの最後

「私は……まだ、死ねないっ!!」


暗闇に支配された空間に、メラメラと燃え盛る松明が一つ。

その炎が、石で出来た壁を明るく照らしている。


そしてその松明が現場の惨状を、持ち主……地面に伏した女の危機を知らさんとばかりに激しく燃えていた。


女はボロボロだった。

露出の多い服を身に着けていたこともあり腕、腹、足は傷まみれ。

特筆すべきはその頭部から生えた4本の角のうち2本が根元から折れている。

それだけで女が人間でないことへの説明は足りるだろう。


相対するは紫紺の瞳。

松明で照らされているにも関わらず、その紫紺の瞳の、その瞳以外は見えない。


女は自動回復を保有している。……にも関わらずスキルが発動しない。

紫紺の瞳の持ち主は自動回復無効化のスキルを所持しているということ。

自動回復を保有する者は、居ないと言って良い程に希少スキルである。

その自動回復を無効化するスキルなど、使う場面はほとんどない。


しかし、そのスキルを所有するということは、それだけ自動回復を所有する者と戦ってきたというわけだ。

つまりそれだけ長い時を暮してきた。


……要するに紫紺の瞳の持ち主も人間ではない。

そして人知を超える程の強さを保持している。


「汝、述告する言霊。我、嘲笑を贈呈する。」


冷酷に言い放つ紫紺の瞳を、女は強く鋭く睨みつける。

常人なら動けなくなる程の眼圧にも、紫紺の瞳は一切の緊張も恐怖も抱いた様子は無い。

それどころか愉快だと言わんばかりに目を細める。


「調律の象徴である貴様が何故こんなことを……っ!」


「汝の供述は否定する。我、調律の象徴ならず。強者の一派なりと。」


それだけならば紫紺の瞳の持ち主は、女を殺す理由にはならない。

女は紫紺の瞳の持ち主の言う、強者の味方でも弱者の味方でもない。


ただし過去の出来事は取り除けるものではない。

変えられる物ではないのだ。


何年前だったろうか。まだエルドル王国はまだ誕生しておらず、小国が纏まり始めた頃の話である。

女は現代で言うエルドルの隣に位置する、ジパングンゲルの姫として生を持った。

そして事件が起こったのは、女が17の頃。

当時から魔王、勇者の対立は存在していた。

……がジパングンゲルに刃向うなど、自害するに等しいと言えるほどの戦力を保有していた為、ジパングンゲルの民はそんなもの無縁だと考えていた。


だが、そんな不可能を突破したとなればどうだろう?

自らの敵への牽制には十分である。

そう考えた魔王連合は魔王、幹部を総動員し、ジパングンゲルを攻めた。

街を炎で包み、当時の国王である女の父を殺害。女の母、兄は炎に飲まれ死去。

ジパングンゲルの戦士隊も壊滅という、まさに地獄絵図が完成していた


それを、自室のベランダから眺めていた女。

女は、直に自分の命もこの炎に飲まれて潰えるのだろう。

…そう、悲観的に考えてた。当然だ。何せ逃げ場は無いのだから。


死ぬのなら早く終わる方が良い。苦しむのは一瞬で良い。

……痛いのは怖い。


女は静かに目を閉じ、ベランダの欄干に足をかける。


そして自ら命を絶つべく、自室から飛び降りたのだ。


……そして目が覚めた時には、眼前に魔王、魔王連合幹部の首が並んでいた。

自らの服には大量の血液が付着していた。


女は混乱した。なぜ自殺したにも関わらず生きているのか。

何故眼前に魔王達の首が並んでいるのか。


目を閉じ、回想すると記憶が流れ込んでくる。


逃げ惑う魔王連合に高質量の魔法を連投する自分。

魔王の攻撃に、微塵も傷つくことなく攻撃を繰り出す自分。


「これをやったのは…私?」


▼△▼


勇者の力も無い、1人の少女が魔王連合を壊滅させた。

そんな奇跡のような話はそれから何年か語り継がれることとなる。

それは魔王連合もまた同じ。


やがて、その少女は伝承に伝承を重ねるうちに恐怖の存在となる。

上級悪魔を従える邪神。


そう思われても当然だ。彼女の容姿はそれから40年たっても変わることは無かった。

彼女は人間で無くなったのだ。


そういった経緯があれば当然、紫紺の瞳の持ち主が魔王連合に味方するのであれば、女を排除しようと考えるだろう。


「我、魔の者と契約した身。それ故、新たる力を保有する。……我は遂に神話級となる。」


そう言い放つ紫紺の瞳の持ち主に、女は歯ぎしりする。

女はこの紫紺の瞳の持ち主と戦闘した時、既に予測はしていた。

この紫紺の瞳の持ち主は聖獣の称号に纏まる存在ではない。

……聖獣に女が苦戦を強いられるわけが無いのだ。何故なら…


「汝……神話級亜人、青龍サクラ・マナ……哀れなり…」


女もまた、神話級の称号を保有する者であったからだ。


紫紺の瞳の持ち主は無感情に言い放ち、背後を振り返り暗闇へと帰っていく。その去り際。


「我、審判を下す。サクラ・アニマ、ここに永眠せよ」


女は覚悟を決める。全てを失ってもこの命は潰えさせない。


「私は……私は死なない!そして貴様の首を取る!必ずだ!神話級異形種・ユニコーン!」


紫紺の瞳の持ち主……ユニコーン。その進撃だけは必ず止める……その日まで……


「執行!」

二章開幕~ぱちぱち~

てことで二章のヒロイン枠(?)はサクラ・アニマちゃんです!

今、彼女ぶっ倒れてますが、それまでにとんでもない数の魔物と戦って、そのたびにデバフスキル付けられてぶっ倒れてます。ユニコーンとは死にかけの状態で戦い始めたわけですね。



さてさて、毎日投稿が終わりましたが、今後の投稿頻度についてお話しようかなと。

毎週土曜、午後22時20分ごろを予定しております。

書きだめが増えてきたら、投稿予定日以外にも投稿します。

テスト期間などで投稿出来ない際は一週間前までにお知らせします。


ちなみに、次回からは直樹君達のアインホルノ大迷宮攻略に入ります。

サクラ・アニマの登場はしばらく先になりそう…ちなみに名前のサクラはフランス語の神聖と言う意味のサクレ、アニマはイタリア語で魂と言う意味ですね。


ということで今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

次回でも会えたら嬉しいな…

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