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二十七。俺はもう、死んでいる。

「だぁぁぁぁぁぁ!」


死ぬ、そう思った瞬間心強い壁が……いや、血を噴く壁なんてあるわけない。


「ガ、ガラテア団長!…どうして」


心強い壁はガラテアさんの背中だったのだ。

どうして俺なんかの為に…

ガラテア団長の全身に刃が刺さっている。


「いってぇ、いってぇよ。……加藤直樹。長くは言わん。……諦めるなよ。」


「そ、そんな、待ってください!俺より団長の存在の方が大事です!何死のうとしてんですか!……彩!エアを呼んでくれ!」


「う、うん」


こうなったら最終手段だ。

俺の力じゃもう剣を振れない。

だから…


「リコルド・クラフト」


本来、リコルドクラフトは簡単な物を作る魔法だ。

元素に近いもの、構造が簡単なもの、質量が小さいものほど簡単に生み出せる。


そして今作ったものは…なんと言うんだろうか。

ただ肩から腕に装着し、強制的に腕を動かす機械。…強制腕作動器と名付けよう。

実際にあるのかも知れないが、今作ったものは剣を振るための物。

当然速度が出るし、簡単に作れるわけじゃない。


使いたくないな……


ふぅ……覚悟を決めないとな。


「貧乏くじ引かされるとはなぁ」


何度目かになる踏込を入れ、アリアとの距離を一気に詰める。

途端にアリアはサイドスローに蹴りを入れてくる。

が、それを軋む骨の痛みを我慢し、躱す。


なんとか体制を立て直し剣を構える。


「アリア・ソフィア!しねぇぇぇぇぇ!!」


痛みを叫びで掻き消し強制腕作動器を作動させる。

堪えがたい痛みに誤って舌を噛み切ってしまった気がする。

全速力で振った剣はアリアの胴体を見事捉えその体を両断


……することは無く、俺の剣が半ばでへし折れていた。


「はい、ざぁぁぁんねん!あれだけ生存フラグ出しといてこれです!さっさと死ね

ぇ!」


あぁ、ごめん。本当にごめん。

でもな、これだけは言える。


俺が絶対皆を救って見せる。


そしてそのまま詠唱も何も無しにアリアは拳を構え、


その拳を放ったのか分からないまま俺は、ぐちゃぐちゃになって、

何も考えられなくなって、

もみくちゃになって、

バラバラになっ……




「……おき」


ん、んー。もう少しだけ。


「なおき!なおき!」


あぁ、聞こえてるっつの。

はよどっかいけや。


「もう7時45分よ!学校の用意しなさい!!」


「は?!……なんでもっと早く教えてくれんのや!」


遅刻だ遅刻。

朝ごはんカットで行こう。


速攻パジャマを脱ぎ捨て、シャツとズボンを履いてシャツを着て、ネクタイをしめ、カバンと冬服を持って部屋を出る。


そしてその足で洗面台へ。

水が温水になる前にばっちゃばちゃと顔を濡らす。

あまりの冷たさに顔がひりっとするが、ふかふかタオルを顔に押し当て誤魔化す。


さぁ、そこから冬服の袖に腕を通し、一階へ。

華麗に玄関まで行き、靴下を履いて靴を履く。


「いってらっしゃーい」


母の声に行ってくると返して、玄関の戸を開く。自転車の前かごにカバンを入れ、中から腕時計を取りだし腕に装着する。

今は…7時50分。


ガチャンと自転車のスタンドを上げると自転車に跨り、一気に漕ぎ始める。

さぁ、急げ急げー!

直進したり曲がったりしながらも、それからすぐに駅の駐輪場に到着する。

そのままスタンドを立て、通勤ラッシュでごった返したホームに駆け込み時計を見ると7時55分。

あと2分。なんとか間にあいそうだ。


カバンのポケットから電子マネーを取りだし、機械にかざす。


そのまま2番線に駆け込む。

俺が乗るのは背桜行きの囲碁志苫線である。


「2番線に囲碁志苫行き、特急リードが参ります。」


そう、これだこれ。

数秒後、2番線に特急リードが入ってくる。

その中に流されるように入っていく。


今日もぎちぎちな車両に頭痛がしてくる。

ツイッターを見ようにも手がカバンに届かないので、まぁいいかとボーっとする。


「次はー瀬桜、瀬桜。降り口は右側です。」


いつも思うのだが、どうして車掌さんの声は皆同じに聞こえるのだろうか。

なんて考えるが、まぁ考えても仕方ないと割り切り開いたドアから降りる。


さぁ、ここからは徒歩5分くらいなので、余裕で間に合いそうだ。


出口で再び電子マネーを機械に翳して駅を出る。

見慣れた瀬桜の景色。


俺が通うのは瀬桜第一高校。生徒は約800人程。

総合科と国際科に分かれ、国際科は毎年名門大学への合格者も多数輩出している。


「ねぇ、君、カトウナオキだよね。」


どこからか俺を呼ぶ声が聞こえたのでキョロキョロと辺りを見渡すと、建物脇の路地から手招きしてくる元気の良さそうな長身の女性が立っていた。

見たことの無い人の問いかけに答えるのも少々怖いのだが、まぁ大丈夫だろうとその路地へ向かった。


「確かに俺が加藤直樹ですけどー」


そう答えると女性はにこにこして…


「突然だけど昨日、誰と戦ったか覚えてる?」


と突拍子も無いことを聞いてくる女性。

俺は帰宅部みたいなものなんだぞ。

柔道部とか剣道部ならまだしも、こんな俺が誰かと戦うわけがない。

もちろん不良と言うわけでもない。


「あはは、ごめんごめん。説明不足だったね。……夢。そういえば分かるかな。」


夢?夢ね。夢ね。

そういえば夢ん中で戦ったような。

アリアとかいう少女を倒せて…なくて……え?


「こうしちゃいられんわぁ!」


あれは夢じゃない。夢じゃないんだ!


「思い出したみたいだね。良かった。」


このことを知ってるってことは、この女性はあっちの世界の何か知ってるってことだ。

ここから戻る方法を。

教えてくれるは……


「死ね」


無情に振り下ろされた腕に、俺の頭と体が別々に別れ宙を舞う。

視界がくるくると回る。一周ごとに首の無い体が見える。

どうやらその体からは血が噴き出しているようだ。


これ、俺なのか。


この女性……いや、この女が俺を殺したのか?

なんでなんでなんで?


「アタシはソロモン。君のナビゲーターさ。」


くるくる回る世界は徐々に降下を始める。


回って回って、くるくる回って………ぐちゃり。


ども、こんちくわ。

先程寝落ちして投稿が…遅れた…ごめんなさい。

今日は二本立てでお送りするということで


さて今回は先導者ソロモンが出ましたね。

イデア君達のメンバーのソロモンです。はい。

でもって1章の終わりまであと2話。これは2章に繋がるお話になりますね。

ちなみに予定では、毎章主要ヒロイン枠を登場させるつもりです。

……ということで今回も読んでいただきありがとうございました。

また次回で会いましょう

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