三。再開
俺、加藤直樹は加藤家の長男としてこの世に生を持ち、ごくごく一般的な家庭で普通の暮らしをしていた16になりたての高校一年生である。
というより高校一年生であった。
幼いころより海が好きでよく父、勝久と釣りに行っていた。
小学校に上がると海の魚を直接見たいと思うようになりダイビングの練習を始める。
だがそんな彼に泳ぎの才は無かったので、スイミングスクールへと通う。
そんなある日、スイミングスクールで知り合ったのが彩である。
知り合ったというよりは直樹の憧れであった。
同い年にしてスイミングスクールの級の最上位「金」を手にしていたのだから。
それから2か月後、小学3年のクラス替えで2人は同じクラスになる。
そこで直樹は初めて彩が同じ学校の生徒であることを知り、2人はすぐに友人になる。
さてそんなこともあったが、加藤直樹は中学に上がる。
部活動は剣道部に入部するが、性に合わないと思い2年に上がるや否や退部。
2年では人気ゲーム、平原行動にドハマりし学校内で敵なしと称されるまでに上達する。
また交友関係もそういった友人が増え、中には常に眼帯を付けている奴もいた。ちなみに彼は目を負傷していたわけでは無い。
そんなこともあり、なんやかんやで高校生になった直樹であるが、現在魔王容疑をかけられていた。
うん。風評被害。
でもって地球人を見つけた者は、地球人を王城に連れて行かなければならないらしく、とりあえず俺も王城に向かうことにする。
道が分からないとおっさんに伝えると、おっさんがついてきてくれることになった。
さてぼちぼちおっさんと並び歩きながらふと思ったのだが、1つ思い当たらないことがある。
【王道美少女ヒロインの存在が無いこと】
1番大事な所だろぉ。なぁ…
それとも魔王はヒロインと戯れることすらも許して貰えないのか?
はぁ…世界はいつからこんなに廃れてしまったんだよ…
「どうした?浮かない顔して」
このおっさんと冒険するビジョンが頭に浮かぶ。
そう決まったわけじゃないけど転生して最初に出会った人と大冒険ってよくあるじゃん?
それだけは嫌だ。絶対嫌だ。
「…なんでもないっすよ。はぁ…」
しばらく歩くと巨大な城が見えてきた。
これぞ異次元って言うかやっぱりなんか迫力がある。
「…ここがエルドル王城。あとは自分で行けるか?」
「行けるわけね…行けるわけ無いじゃないですか」
「じゃあここで待ってろ。そこの衛兵に事情話してくるから」
「ありがとうございます」
いや、まぁおっさんと異世界生活は回避出来たんじゃね?
どっちみちぼっちだけどね。
あー、せめて彩だけでも居てくれればぼっちは回避できたろうに…
ボケ担当が居ないとツッコミは生きることができないのだ。
さて15分ほど待った。
待ち時間が長い。長すぎる…あとなかなか緊張する。
王と言えばやっぱり椅子にふんぞり返った小太りのサンタクロースだよなぁ…(偏見)
…ヘマしたら殺されるとか無いよね?
体感的には数時間前に1回死んでいるので色々と笑えない。
等と考えていると
「…わりぃわりぃ。あとはこの鎧の方に案内して貰ってくれ。」
おっさん、なんか俺とお別れできて凄い嬉しそうだね。
するとおっさんの背後からガシャガシャと音を立てながら金属の塊がこちらに歩いてきた。
「…お前が魔王だな。」
あのおっさんどんな伝え方したんだよ。
完全に向こうは敵意剥き出しでいつでも腰の剣を抜きそうだ。
「知りませんよ。一般人です」
「とぼけても無駄だ!一応拘束する!」
一応とは⁈
俺、別に何もしていないのに風評被害もいいところだ。
ただ文句言って殺されても嫌だし言われるがままに拘束されてあげよう。
「ん…閉まらない…はぁ?…壊れた!なんだよ!」
いや拘束下手くそかよ。金属の手錠壊すとかどうやったら出来るんだよ。
「もういい!私がお前の手を握っておく!」
この金属塊と手を繋ぐとか嫌なんだけど!色んな意味で!
すると金属塊がなにか言い出したと思うと…
「スキル!エンジェプト・ラージ!」
握られた手に鋭い痛みが走る。
「痛っ…!」
強いって!マジで痛いって!取れねぇって!
てかスキルって何ぃ?
「よし。行くぞ」
ちょっとドヤ顔になるなよ!
…「陛下…推定魔王をお連れしました。」
推定付けんな。
この金属塊、自分の発言に自信が無さすぎる。
てか王様、イケメンじゃん。年齢は30歳くらいだろうか?
と思っていると、足が滑る
「…うわぁっ…!!」
さっきの衛兵に背中を強く押された。盛大に転けた。
その様子を上から見ている王。ただその視線はどこか暖かくて懐かしいものを連想させる。
「…やっと……こほん。こやつが此度の魔王か?」
やはり王と言うだけあって威圧や威厳が周囲の人物とはけた違いだ。
これは怖い。
今にも首を切られそうだ。
「絶対ちがいます」
「なぜそう思う?」
「心当たりが一切ないからです。」
こちらの反応を探るように目を細める王。
「…ところで貴様の名前はなんだ?」
「加藤直樹です…」
「…っ。……ほう」
え、何その反応。怖いんですけど。
何か、俺の名前に恨みでもあるというのだろうか?
「貴様、坂本彩と言う奴を知っているな」
「え!彩!ここにいるんですか?」
知ってるってことはある程度の面識もあるってことだ。
きっとこの王城で保護されているということだろう
とにかく居るのなら一安心…
「おい。連れてこい」
手近の兵に命令すると兵士は音も立てずに退室して行った。
「つまり、加藤は坂本彩を知っているのだな?」
「…はい。幼い頃から」
「ほう…」
一体この王は何を考えてるんだろうか。
魔王なら即刻首を絶たれてもおかしくはない。それなのにそれをせず、さらに……
あれ?もう一人の地球人は勇者。
おっさんの言葉を思い出す。
つまり綾が勇者……?
「…連れて参りました。」
そこにはそれなりに豪華なドレスを見にまとい腰には細身ながらも立派な剣を携えた彩がたっていた
「彩!大丈夫なのか!心配したんだからな!」
すると彩は困った顔をして…
「誰ですか?この人」
そう言ったのだ。
どうもこんにちは!REIKAです!またの名はの挨拶はめんどくさいのでやめました。
今日はあんまり頭が回ってないので少し不格好な文章になってるかもしれません…気づいた時にでも直しておきます。あと今回は比較的短かったかもしれませんね。そこも申し訳ないです。彩のこのセリフで終わりたかったんですよね(笑)
さてこの話、3日目にしては中々のPV数を出しているみたいで…
本当にありがとうございます!
これからも超頑張りますね
2020年4月《明後日提出の課題に追われながら》