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二十二。前夜祭

 なんてことを考えながら帰宅すると見覚えのあるキラキラな封筒が俺の部屋のポストに入っていた。

反射的に手紙を取ろうとポストの中をがさごそやっていると、彩が後ろからひょっこり覗き込んできた。


「これってヴィルさんのとこのじゃない?」



「だな~。どうしたんだろ」


そういいながらとりあえず部屋の鍵を開け部屋の中に入ると何故か彩、エア、アルリエも一緒に部屋に入ってきた。

ここは俺の部屋なのに躊躇は無いのだろうか。



「なんで?みたいな顔してるけどボクもこの部屋の住人だよ?」


ボソッと呟くアルリエのセリフを華麗に躱し部屋の椅子に腰かけて封筒を開く。

カサカサと音を立て手紙を開く。


彩とエアは俺のベッドを占領し、アルリエは自分のベッドに腰掛けている。


手紙にはヴィルセディスのはんが押してある。


「えっとなになに…『舞踏会開催の件について。もし暇なのであれば前日入りしても構わない』だってよ」


読み終えた俺は手紙を封筒に仕舞う。


「そこまで大事なお話でもなさそうだね」


丁度考えてたことをアルリエが代弁する。


「でもこれならギルドでお仕事探ししなくてもいいんじゃないでしょうか?」


「確かに!残りの3日は服の準備してればいいし」


そうだ。そうなのだ。エアの言うとおりこれでギルドでよく分からない仕事なんてことしなくても大丈夫。

もう舞踏会まで3日しかないわけだし。


なんてことを目を瞑ってうんうんと頷きながら考えていると、俺のベッドから彩とエアの二人の姿は消えていて…


「それじゃぁ夕食の時にね~」


なんて言い残し、自室に帰って行った。


2人が自室に帰り、しんとした空気が部屋に広がる。

なんだか気まずいので質問を切り出す。


「なぁアルリエ?」


「なんだい、直樹?」


暇そうにベッドに座り本を読んでいるアルリエに声をかける。


話のネタを考えてみると案外簡単に出てくるものだ。

今回はとりあえず、ここらで俺たちの目的を告げておこうと思う


魔王と戦うなんて嫌だ。と言われてしまえばそれで終わりなわけだしな。

後々、こういうことを聞いてもアルリエも断れなくなるだろう。

素直な気持ちが知りたい。


そういった趣旨のことを伝えると


「そんなこと知ってるさ」


と、さも当然かのように言った。


「あれ?俺、言ったっけ?」


「いや、そうじゃなくてさ。ボクはエアラリスと違って王国騎士団イージスグングニルからこっちに移されたわけだからね。当然聞かされているよ。レベルやスキルが上がってるのも元々冒険者だったわけじゃなくて訓練の結果だね。」


「あー、大体分かったわ」


それでアルリエはヴィルセディスからの推薦ってことでこのギルドに来たってことか。


ただ一つだけ気になることがある。


「その王国騎士団がイージスグングニルとやらが魔王倒した方が良いんじゃねぇの?俺よりつえーんじゃね?」


「それは無理な話だよ。幹部級以上の魔王連合は勇者とされた者にしか攻撃出来ないんだ。理不尽だよね」


それはまた…


「まったくだ。……クソ理不尽だな」


 そんなひとときの対話を終え、いつも通りの食事と入浴を終え今日の1日を終える。


▼△▼


 ふと気が付くと旅館の前の大通りに1人で立っていた。


空には月があり、そこから地に照らされる月光は何にも遮られずただ閑散とした街並みを演出していた。

人の気配も無く、ただぽつんとその場に立ってるa


「なんで俺、こんなとこに?…さっぱりわけわかんねぇとにかく部屋に…」


帰ろうと思い体の向きを変えようと思った時、全身の体毛が逆立つのを感じる。

これはまるで…


「ルデア・ディザステロの…」


八っとなり気配のする方向を見る。

……がそこには誰もいなかった。

怖くなって部屋に戻ろうと向き直ると…


「リアのオニイサン、みつけましたぁ」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!…あ?」


 ふと気が付くとそこにリアと名乗った少女の姿は無くいつもの布団の中だった。


▼△▼


「んー、つまり直樹は夢の中で幼女に襲われるくらいロリコンってこと?エア、気をつけなね」


「ちげーよ!エアは可愛いけどそうじゃなくて、あのリアって名乗った奴は雰囲気とか色々やばかったんだよ」


 早速朝食の席で、今朝の夢の話を持ち出すとこれでもかと弄られることとなった。

ルデアといい、リアといいこの旅館の前は不吉すぎないか。

とにかくルデアはぱっと見で羽、角、ペストマスクの長身スーツ男と言う不気味でしかない容姿だが、リアはあの気配さえ無ければ普通の少女なんだよな…

この二つの出来事が今後どう降りかかってくるのかは分からないが注意しておいた方が良いのは間違いない。



 そんなことがあったり、あとは服の仕立てなんかをしていると舞踏会前日になった。




「なんかこの城見ると魔王扱いされたの思い出して悲しくなるな。」


そういうボクらは丁度王城前に来ている。

直樹も彩もエアもそれぞれ思うところがある顔をしている。


「直樹も大変なんですね…」


「ホント、あの時の直樹は面白かったね~!」


「あっれ~?「誰ですか?この人」の彩さんがなんか言ってらぁ~」


挑発に挑発を重ねて喧嘩を始める2人。

ここが王城の前なのが分かっていないのだろうか。この2人は。


「この二人が勇者だなんて不思議ですね…」


なんて今更なことを言ってくるエアラリス。


「それが運命なんだよ」


とさらっと受け流しておく。

それにしても


「ほんとにこんな人たちと魔王なんて倒せるのかなぁ…」


と言うとエアが珍しく表情を変え


「こんな?こんなって、エアも含まれるんですか?あの2人と同じなんですか?!」


とわなわなとしていた。


 こんな4人がまさか魔王を倒すなんてこのときはちっとも……なんて戦力的にも知力的にも言えない状況で、ただただ先行きが不安になるアルリエだった。





おひさしぶりこんぶ!

最近ちまちまと6話まで加筆修正してました。設定もほんの少し変わったりしてるので

7話以降と内容にずれがあるかもしれませんが、これからぼちぼち7話以降も直していきます。

あとこの小説のキャラ制作がなかなかに楽しいんですよね。

読者の皆さんもよければアイデア下さい。図々しいお願いですが(笑)

Twitterで#いせがちのタグつけて投稿してもらえれば全部確認します。感想とかもこのタグ使ってもらえれば。


にしても最近アライブを読むようになりまして。そこで主人公が勇者兼魔王の話があってですね。……やらかしてまいました。

あと興味本位での主人公の直樹の名前で検索してみると、まさかの加藤直樹さんは実在している方でした。本当に申し訳ないです。名前変更も視野に入れてるのでいつも読んでくださってる方は把握よろです。下の名前は変えるつもりはないのであんまり変わらないかなぁ…


(ここからネタバレあり。嫌な人はとばしてね)





次回とその次の予告



楽しい舞踏会の始まり…と思いきや、ヴィルセディスはなにやらたくらんでいるようで?


直樹、死す!


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