表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/37

二。異世界転生

_____貴方が私を助けてくれたんだね



 鶯のさえずりを聞くが如し。

その美麗なる声に俺は覚醒させられる。


 気がつくとそこは病院の天井……ということでもなく中世のヨーロッパのような町が広がっていた。橙色のレンガ、賑わう商店街。豪勢な建物。遠くには列車。

不可解な物も交じっていたが、その景色を日本で比喩することは出来ない。



 ここは夢だろうか。それとも俗に言うあの世というやつかも?


 その証拠に俺は空を飛んでいて……


「え?空ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!おぢるぅぅぅ!」



 数秒後見事に足から川にダイブ。


 足の裏、膝にとてつもない痛みを感じながら俺は暗い暗い水に沈んでいく。

が、両手を大きく回し水面まで浮上する。


「ぷはぁっ!死ぬかと思った!」


 必死で平泳ぎもどきで岸まで泳いで上がりあたりを見渡すとやはり日本ではないと思える街があった。

痛みを感じるということは夢ではない。


 お決まりのほっぺをつねられることも無く、ただ1人寂しく生存確認をする。


 状況の整理がつかないままなんとなく川沿いの階段を上っていく。



 てか水ってある程度の高さから落ちたらコンクリに落ちるのと同じくらいヤバいって聞いた事あるんだけど。…まぁ、それはともかく


 …結論。ここはどこなのだろうか。

堤防をあがり街を見渡してみると、やはり中世のヨーロッパみたいな街並みが広がっていた。

中世というと少しおかしいかもしれない。なんていうんだろうか。明治時代の日本。


 なんだ日本でも表せるものがあるじゃないかと一瞬考えたが、あくまでそれは教科書に載っている西洋人街のお話であって、日本家屋なんて一切見当たらない。


 なんとなく階段を上って大通りに出るが、街の人の訝しむ目が俺に刺さる。辛い。

川に落ちた俺は当然びしょびしょなわけだしな。

そもそも空から降ってきた人に対して警戒しない方がおかしい。


 よってこの街の人々は正常な人であることが分かる。

なんて能天気なことを考えている時間は全くない…と思う。


「一旦、状況を整理しよう。」




「…俺はさっき死んだ」


 そうだ。そうなのだ。多分トラックに引かれて俺は死んだ。

彩も事故に…あ、彩のことを探さないと。

彩も事故にあったならここに来てるだろうし。


 とりあえず彩を探したいという思いと、状況整理しなければという考えで混乱するがどちらも同時にしてしまおうと考え彩を探すべく歩き出す。と同時に引き続き状況整理する。


 もしかすると、救急車で運ばれた俺は日本の医療では治療できないからと海外の病院へ……


…じゃあなんで俺はあんな所にいたんだ?

気が付いたとき俺は空を飛んでいた。


もしかすると後遺症とかでおかしな行動をとるようになったとか……

それは無いか。というか不可能だ。


考えてもさっぱりわからない。

こんなことを考えていても事態は多分変わらない。


 ところでここはどこの国だろうか。

通行人は日本人に見えるが、その街並みが日本だという考えを否定している。


国が分かる看板も特に無いし…


 誰かここの人に聞いてみようと傍にあった果物店のおっさんにでも聞くとしよう。

例外なく見た目だけは日本人系だが、場所が場所なので世界共通語の英語を使うことにする。


「Excuse me?」


英語、学んでてほんとに良かったぁと今更しみじみ思う。

確かに英語は嫌いな教科だが正直、中学英語を完璧にしておけば最悪大丈夫だと思う。

高校の英語教師も、高校の英語は中学の応用って言ってたしな。


すると


「あぁ?何言ってんだ?」



はい新事実。なんとこのおじさん、英語が分からないどころか日本語を使うみたいです。


ということは、やはりここは日本?

ただしこの街並みがやはりその考えを否定する。


念のため国名は聞いた方が良い。


「あ、すみません。えっとここはどこかお聞きしても構いませんか?」


「あぁ余所者か。ここはエルドル王国。この大陸最大の国だな。知らねぇか?」


エルドラドなら聞いたことある。スペインのもしかしたらあるかもしれない黄金郷。

ただ、エルドラドは空想上の話であって存在を証明することは出来ない。

 とはいえここはエルドルらしい。

そんな国が存在しているかは分からないけど多分ない。

地理は結構好きな方なので名前を言われたら大体どの大陸に位置しているかは分かる。


知ってる歌全部言ってみてと言われても、あまり思い出せないように国名全部言えと言われても言うことはできないが。


「…。…まさかとは思うがお前地球から来たのか?」


うわ。どうやらこのおっさんは厨二病らしい

となるとエルドルもそういう設定なのだろうか?


「確かに地球人ですけど」


するとおっさんは考えごとを始めた。


このおっさんを見ていると、昔……といっても2年位前にダークファントムを操る友達が居たのを思い出し笑みがこぼれそうになる。


「…あぁ、道理で見ないナリをしてると思った」


そういうおっさんの服装はまるで異世界転生物の小説に出てきそうな服を身に纏っている。

なんだか強そうだ。


いや、そのおっさんに限らず通行人もみんなおっさん系のファッションをしている。



「……」


「…ヴィルセディス様が言っていた魔王って…ほんとにこいつなのか…?」


おっさんの口から飛び出した言葉に耳を疑う。

いくら厨二病でも設定おかしいだろ。通りすがりの道を尋ねたい青年を魔王に仕立て上げるとかどんな神経してんの。

こういう人と長話するのは俺の自己教育によろしくない。



「じゃあこれで…」


とりあえずコイツとは話してられない。

話してる俺が疲れてしまう。


「待て。話を聞け。この国のやつに人目につきすぎるとお前は殺される。間違いなくだ。なにしろ魔王なんだからな。」


厨二病との会話はこういうところが大変だ。

勝手に俺の命が危険なことにされてるし。


まぁ、本当かは分からないが一応ここがどこなのかは教えてくれたわけだし、恩はある。

信じてあげ……るために周りの人に聞いてみよう


試しに傍を歩き去ろうとしていたお姉さんを呼び止める


「俺、地球人っす。別に普t…」


「…嘘は辞めといた方がいいよ?」


そう言うと突然形相を変え、腰からダガーナイフを取り出した。

あー、これ絶対あかんやつ。殺されるやつ。

すぐに焦りながらもブンブンと手を振って、


「あ、嘘です!嘘です!」


「あ、そう…今後はそんな嘘はダメだからね?」


「はい…」



もしかするとおっさんが厨二病ではないかもしれない可能性が浮上。

そうだ。

ここは未知数なのだ。

どんな世界かはちっともわからない。

さっきのおっさんに話を聞こう




「…とりあえず、なんで地球人が魔王なのか教えてください」


「ここじゃ人目がつく。中に入れ」


良くも悪くもない普通の商人って感じの家に通される。

果物のフルーティーな香りが鼻孔をくすぐる。



「…で、なんで俺が魔王なんですか?」


「実はな…」



この後1時間くらい語られたのだが簡単にまとめると、

地球から127代目魔王と魔王に立ち向かえる勇者が来ると王国直属の陰陽師みたいなやつが言ったらしい

それで勇者は既に確保済みだから消去法で俺が魔王だろうと。

目覚める前に頭に響いた言葉も関係あるのかなぁ…なんて思ったり。


とにかく分かるのは俺は命を狙われていること

そしてもう1人の地球人がいること。

ただの厨二病なんて思ってたけど多分そうじゃない。これは『ガチ』だと思う。

ただし俺が魔王なのはおかしな話だけど。


さぁて、どうすっかねぇー




どうも。1部の人にはにちりんとうで通ってるREIKAです!なんか後書きってあんまり書かないイメージがありますけど私は書こうかなぁと思ってます。実は今回、完成間近で保存せずに充電切れたのでゼロから書き直しました…とほほ…

今週は学校無いので毎日投稿いたします。

あと、よければ評価、ブックマーク等、よろしくお願いします!



2020/11/5  1話、2話の大幅な手直しを行いました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ