十一。一角獣との誓い
「クリスタルスケイルがアルク大森林で見つかる……か。一角獣は何を考えているのやら」
そう愚痴をこぼすのはこの王国の騎士団団長ガラテオ・エーヴィッヒ。
空から地を照らす明かりが消えた頃、ギルドから速達の連絡が入った。
アルク大森林とその中央に位置するアインホルノ大迷宮に関しては一角獣と人類の間に契約が存在する。
その中で最重要視されているのがそこに存在する生態系について。
アルク大森林には動物を。
アインホルノ大迷宮には異型種を。
それが破られた時この契約は破棄される。
つまり宣戦布告という事になる。
過去に起こった84期人魔戦争の時もこのように異型種がアルク大森林に放たれたことが発端となった。
注意しなければならないのは一角獣は常に弱者の味方に立つという事。
即ち武器や人口で劣る魔王連合が弱者と見なされてもおかしくは無いわけだ。
一角獣にとっての個人の強さは努力のたまもの。
つまり産まれたばかりの赤ん坊100人と傭兵100人は同じ扱いを受けるということ。
赤ん坊が傭兵より弱いのは努力が足りないだけという考え方をしている。
つまりこの際一角獣は魔王側に付いたと捉えてもおかしくない。
気まぐれな神が創り出した気まぐれな神の化身。
神であろうと、なんであろうと魔王連合に付いた時点で我らの敵。
「……なんとしてでも我々が彼方を討伐する。」
待っていろよ。ユニコーン。
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「よっし!レッツショッピング!」
そう意気揚々と叫んだのは私の幼なじみらしい直樹。
なんと言うか今日も元気だなぁ。
さて、今日はエアの装備を新調するために買い物に来ている。
当の本人は遠慮しているが折角大金が手に入ったわけだし。
昨日の討伐報酬の半分は3人で山分けし、残りは生活費や武器の修理費の為に残している。
今日の買い物では残りの方の金から買うことになっている。
だからエアが遠慮しているわけだけど……
「はぁ。直樹はお人好しだねぇ」
「何も言ってないのに何故かディスられた?!」
エアはそのやり取りを見ながら笑いを噛み殺している。
一昨日は無表情のクールちゃんだと思ってたけど案外表情豊かなんだなぁとしみじみ思う。
昨日なんてホテルに帰った直後に走ってベッドの所へ行き満面の笑みで飛び跳ねていた。
まぁそれはともかく……
「あそこなんてどうかな?」
目線の先には結構良さそうな装備品店。
実は王国の上級騎士以上の装備を仕立てるのはこの店なのだ。
以前、私の装備を作ると言われた時にここに来たため覚えている。
多分直樹の装備もここで出来ているはずだ。
本人は知らないだろうけど
「えぇー…古臭いし安そうじゃね?」
あ?
……なんだか自分の装備を馬鹿にされたようでとても腹が立った。
ここは大事そうに自慢していた直樹の装備がここ製だって話しても別にいいか。
「直樹のそう……」
「ここってプリミアール装備店ですよね!あの一流の!」
……お?
「前から1度行ってみたかったんですよね!王国で最も優れた品質とデザインで装備は全て手作りで……あ、すみません。1人で少し熱くなってしまって……」
ほらほらぁと直樹をつつく。
ここは安物とか言ったことを謝らせねばならない。
……が、特に気にするでもなく首を傾げている。
これは悪人だ。多分魔王くらい性格が悪い。
過去の私はこんなのと仲良くしていたのか。
「まぁ、エアが良いならここにするか?」
「あ、いえ、でも……」
エアはなんだか申し訳なさそうに縮こまっている。
ここは私がフォローしないと…
「大丈夫。私達だって防具は奢ってもらった身だから。」
「それなら……えっと……はい。よろしくお願いします」
心なしか嬉しそうだ。
確かにここの防具や武器は値段も高いため中々一般家庭では絶対に手に入らない。
「入ってもいいか?」
唐突な直樹のひとことで全員は店の中に入った。
どうもこんにちは。REIKAです!
2日も更新無しと!本当に申し訳ない!
ちなみに今日は2話出すかもです!
魔王彩の方の話ですね。
デカ乳野郎ことルシフェルに彩はどう立ち向かうのか?的な?
2020年5月 朝の眠気に呻きながら