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十。新たなる勢力

………なんて言ったけどさ。


「こんなことになるとか聞いてねぇよぉぉぉ!」


絶賛、俺たち3人はクリスタルのように綺麗な鱗で覆われた生物から全力で逃げていた。


ことの発端は5分前。汽車から降りて森に入り散策していた時の話だ。


「お。なんかキラキラな石が落ちてるぞ」


それはパッと見た感じ宝石の原石みたいだった。

直ぐにカバンに仕舞おうとしてしゃがむとなんとも言い難い匂いが鼻をくすぐる。

これはあれだね。食べた物の最終進化系。


見なかった事にしようと急いでその場を離れようとしたところ何かの視線を感じた。


ちなみに、エアと彩は後ろの方で話しながら笑っている。

ここに来た理由を忘れたのだろうか。


じゃぁこの視線の正体は……?


呆れて正面に振り返ると目が合った。

何かと目が合った。

何と目が合った?


「グルルル……」


?!

………おっとっと…これはまずい。

異形種と呼ばれる通常とは違う姿の魔物。

こいつはなんというか二足歩行の恐竜のような見た目をしている。

まさかここで会うとかどれだけついてないんだよ。


「彩、エア。やばいぞ。こいつから逃げるからこいつから目を逸らさないように。」


こういう時、背中を見せてはいけないってのは定番だ。

熊やイノシシと会った時の対処法と言う本に書いていた。

はたしてこの異形種が熊やイノシシと同じ習性なのかは不明だがやらないよりはマシだろう。


「あ、確かにまずそうですね…」


「何から逃げるの?」


のみこみが早いエアに対して未だにその異形種の存在に気づかない彩。

じりじりと2対の足を使い忍び寄ってくる異形種。

とにかくここは逃げるしか無さそうだ。


「俺がゴーって言ったらさっきの駅まで逃げるぞ。」


「うっ、うっわ、何あれ?」


ここで彩も気づいたみたいだ。遅い。

ぐるると唸りながらこちらを睨みつけてくる異形種。

まるで映画の中にいるようだ。


とはいえ、恐怖の震えは止まらないが


「3、2、1、ゴー!」


2人は一目散に逃げ出した。

それと同時に異形種もこちらに走ってきやがった。

俺はと言うと、ここに突っ立ってる。

もちろん策はある。


「リコルド・クラフト」


今日の朝に、暇だったので仕込みあげてきた

頭に思い浮かべた物を実体化させる魔法。


俺はリコルド・クラフトを使い、とある液体を生み出す。

もちろんただの液体ではなく…


あと約10メートル。

9、8………4


「今だ!」


「……グゥォォォォ!!」


俺特性の強塩酸を異形種の目にぶっかける。

よし。俺も逃げるぞ。

2人に出遅れて俺も走り出す。


とりあえず足止めには成功したみたいだ。

足音は聞こえない。

奴の咆哮は痛いくらいに聞こえるけど。

ただその距離も遠ざかっている。


ところでここは駅から約3キロくらい離れている。


……そして後ろから木が揺れる音が聞こえる。


やばいな。もう動き出しそうだ。

やっぱり異形種相手に塩酸で目潰しは無理だったか


ちなみに俺の50メートル走の記録は7.3。まぁ普通くらいだろう。

それに対して向こうは80メートル程の距離を約6秒で詰めてきた。

普通に走ってもまず助からない。


あとは体力が少ないことを願う。


などと考えているうちに彩とエアにかなり追いついてきたぞ。

そもそも2人との距離はそこまで離れてないけれど


走る2人のすぐ後ろについて行こう。要するに殿(しんがり)ってわけだ。

まぁ、護衛目的というかそんな感じ。


そこで冒頭部分に繋がる。


「…グゥルルル…っ」


ズシンズシンと言う音が近づいている。

ちっ……もう来やがった。

多分このまま逃げても追いつかれる。


何かリコルド・クラフトで作れるものはないか?

焦りで混乱した頭では何もいい案が浮かばない。

こうなったら…


「彩、エア!もう、こいつと戦うぞ!」


せめて俺たちを追ってこなくするだけでいい。

それだけでも出来れば……


「そう言うと思ってたよ!私はいつでもおっけーだから」


「エアも準備は出来ています。いつでも構いません」


よし。流石だ。

素早く脳内で作戦を立てる。2人が出来るだけ危ない目に合わない方法……


…そうか!これならいける


「俺をおとりに彩は後ろからこいつの足を切り落とせ!エアは援護を!」


「……いえ!おとりにはエアがなります!2人で後ろから倒してください!…ライトニング!」


俺が反抗するより早くエアは光魔法を使い異形種を引き付ける。

そんなことして、もし俺たちが失敗でもしたら…


「大丈夫です。エアは2人を信用していますから。」


そう言ってエア俺の方へと振り返り笑顔を浮かべた。



確かに彩と2人で片足ずつ狙った方が間違いない。

絶対に成功させるぞ。


既に異形種の後ろの彩に俺も大きく旋回して素早く合流する。

幸い、異形種はエアの魔法に釘付けだ。


彩と目だけで合図し2人同時に剣を抜き膝を後ろから鋭くぶった斬る。


即座に腕に痛みが走るが気にしてられない

確かな手応え。

今斬った傷口から吹き出る鮮血。



そして異形種は倒れたのだった。


「あれ?これだけで倒れるの?思ってたより雑魚だねー」


……確かに彩の言う通りだ。

異形種は目を剥き完全に事切れている。

図体はでかいくせに。


別に倒すつもりは無かったのだがこうなったならなにか売れそうなものでも……


かなり逃げていたエアが旋回して戻ってきた。

全身で呼吸している。そりゃ疲れるよな……


「はぁはぁ…クリスタルスケイルの鱗はこれだけの大きさならひと欠片3万Gで売れますよ!」


疲れで真っ赤になりながらアイスの時くらいの極上の笑みを振りまくエア。

嬉しそうでなによりだ。


別に金額に目が眩んだとかそういうことではない。

まぁ、手土産ゼロも勿体ないし。

……全部剥ごう。1枚も残さずだ。


そうして俺が剥がし始めると2人も無言で作業に取り掛かった。


ちなみに全て剥がし追えるのに30分もかからなかった。

数は多くても一枚一枚は剥がしやすかった。

鱗は本物のクリスタルを少し平らにしたような見た目でかなり綺麗だ。




それからかなりの重量の鱗をリュックにパンパンに詰め込み、王都に戻った。

……さて、お楽しみの換金の時間だ。


ギルドに着いて、まずはクリスタルなんちゃらの討伐報告をする。


「……クリスタルスケイルをアルク大森林で?」


不思議そうに……というか何かから怯えたようにギルドの職員さんが聞いてきた。


「はい。……そうですけど?」


「……そうですか。いえ、なんでもありません。では鱗と鼻の角は取ってきましたか?」


ん?最後のはなんだ?鼻の角?

記憶を探ってみると確かに鼻の上に角があった。

取ろうと引っ張ってみたが取れなかったので諦めていた。


「……鼻の角、取るの忘れました。」


すると職員さんはなにやら残念そうに


「あの角を1億Gで買いたいと言う方が来ていて……いえ、無いなら大丈夫です。鱗だけでも買い取りましょう」


やらかした……本当にやらかした。どうにか引っこ抜いてきたらよかった…

例えるなら宝くじを友達に渡したのだがそれが1億円当たっていた時くらいの後悔だ。


てか

「クリスタルなんちゃらってそんなに希少なんですか?」


「デイノスケイプの突然変異ですから。約5000体に1体、いるかなぁ……ぐらいです。」


くそ……写メ撮っておくんだった。あ、この世界にスマホは無いのか。

まぁ、とりあえずこの鱗だけでも買ってもらおうかな。


「じゃあ鱗のだけ……よいしょ…」


リュックの中にみっしり詰まった鱗をひとつずつ用意してもらったカゴの中に入れていく。

その数600個。


「これで全部です。いくらくらいになりそうですか?」


俺の横で彩とエアがにこにこしながら様子を見守る。


「1200万Gで買い取ります。鱗の付け根がほとんど汚れているので。」


……ひとつ2万か……まぁ、それでも充分か。

なにしろ素人なんだし鱗採集が少し雑なのも仕方ないと思う。


「ではそれで。」


……今回の報酬を手に昨日の宿泊所に戻った。


なんやかんやとレベルも6上がったし初日にしてはかなりの成績だろう。

かなり、お金に余裕が出来たので明日はエアの装備を揃えることにしよう。



〜魔王連合(彩)


「ご機嫌麗しゅう。魔王様。」


優雅に歩きながらこちらに向かってくる妖艶な美貌。腰まで届く、黒く美しい髪。

そして……


「ちっ……私の敵か……」


こいつ胸がある。

即座に私の敵と判断した。世界から消えておしまいなさい。


「魔王様。幼く愛らしい顔が歪んでおりますよ?」


こいつ絶対、今私のことをロリ扱いした!自分の主をロリ扱いした!


「ぐぎぎぎ……」


この性格ゴミのデカ乳野郎こそがこの世で最も優れた陰陽師にして魔王軍の2。

ルシフェル・フォビーテ


陰陽師の力が無ければすぐに解雇していた。


「ルシフェル殿、魔王様を弄るのはまた今度に。今日は重要な報告があるのでしょう?」


おい。コールも余計なこと言うなよ。今度なんて来ませーん。ざまぁ!


するとコールが無言の笑顔をこちらに向けてきた。

そう言えばコールは人の心が読めるんだった。


でも陰陽師のルシフェルだけは何故か読めないとか言ってたっけ


「はぁ……さっさと重要な話して帰って。」


するとルシフェルはにやりと不吉な笑みを浮かべ


「魔王様……とりあえず死んで頂きましょう」


そう言うと私に向かって謎の光線を発射したのだ。

どうもこんばんは!

昨日は投稿出来なくて申し訳ないです!

ちょっとTwitterで色々ありまして……

ごめんなさい!


さてこの話も10話目!よく続いた!

あとPV数も1779回!(5月3日7時46分現在)

本当にありがとうございます!

これからも頑張るのでこれからもよろしくお願いいたします!


2020年5月3日 Twitterで投稿した事がバズって泣きそうになりながら

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