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9。アイスの価値

朝7時

ふぅ…あれから少しも寝れなかった。

特にルデアに対して行動を命令するのは、俺との前世の記憶のある彩だと言うことが俺の心を傷つけた。


……まぁ、まだ俺もレベル1だしな。

前向きに行こう。小説のお決まりならこの後、俺は仲間との冒険を通してどんどん強くなるはずだ。


……さて。彩達も起こしに行かねぇとな。

今日は小遣い稼ぎも兼ねてちょっくら魔物狩りだ。

早めに起きて支度しないと。


……既にあまり早くないと言うツッコミはいらない。


彩達の部屋は俺の隣なので別にそんなに面倒くさくもないし。

よっこらしょと立ち上がりまっすぐ廊下に出て彩達の部屋の前で止まると3回ノックした。


……反応無し。起こしに入りますか


「おはよぉ!2人とも!今日はい………」


わぁぁお。

…………え、聞いてないです。聞いてないです。

起きてたとか聞いてないです。

しかもこの状況とか聞いてないです。


絶賛、お2人さんはお着替え中だった。


ヤバい。殺される殺される。

冷や汗が頬を伝う。

考えろ。考えろ。俺。

なんとか生き延びる言い訳を……


「おはよー直樹。」


「おはようございます…ふぁ…」


2人とも寝ぼけた調子で。


ただただ、ぼーぜんとしている俺を置き去りに2人は上着に袖を通した。


「朝ごはん食べに行きましょ〜」


「……お、おう。」


ドアの前でぽかんとしている俺。

拍子抜けだ。

普通は見るな! とか言われて追い払われるやつだよね。なんでこのテンションなの?


いや、怒られないのは助かるけど逆にかなり焦るからね

別の意味で。うん。


△▼△


……案外普通な朝食を終え、魔物狩り支度を始めた。

朝食の時に魔物狩りに行こー!と彩とエアに伝えると


自分たちも誘おうとしていたが、直樹は昨日この世界に来たばかりで疲れているだろうから辞めておこうと話していたらしい。


ちなみに今日行く予定の場所はアルク大森林。


迷うと大変だが初心者でも倒しやすい魔物がほとんどなのでかなり人気な所となっている。


ちなみにそのアルク大森林の真ん中くらいの所にはアインホルノ大迷宮の入口がある。

アインホルノ大迷宮は神が作ったとされる神獣一角獣。通称ユニコーンが生息しているらしい。


他にも強力な魔獣が多く生息しておりレベル60以上の制限区域である。ちなみにこの迷宮への入口は特殊な結界で守られている。冒険者に渡されるあのカードをかざすと入れるようになるとか。


まぁ、俺らは地道に雑魚から倒して行く感じだな。この生まれも育ちもこの世界のエアでさえ、まだ冒険に出たことは無い。というかエアは回復班なので一人では冒険できない

つまりこれが俺たち全員の初めての思い出になる冒険だ。


などとウキウキと考え事をしていると軽快な音を立てて扉がノックされる

お、用意できたか。


急いで荷物を背負いドアを開ける。


ちなみに俺と彩の装備は毎度おなじみのヴィル王がくれた物。

ドゥールアイアンと呼ばれる、恐ろしく硬い金属で作られた特注の装備だ。しかもはたから見れば服と見た目があまり変わらない。


流石はヴィル王。彼が作った物では無いが手配してくれたのは彼なわけだし。


でもなんでそこまでしてくれるんだ?


ただ単に俺らが勇者だから……だよな。


「遅かったね。」


彩が堂々とクソみたいなことを言い放つ

いや、俺待ってたんだけど。

ま、いっか。


それから20分後。


俺達は汽車に乗りゆらゆらと揺れていた。

相変わらずこの世界での待ち時間はすることが無い。

生粋の現代っ子である俺にスマホは必要不可欠。

いつも暇になればなんとなくスマホを見ていたのでこういう時困る。


まぁ学校だとスマホ使えないし。

そう考えると学校も悪くない。

いや、俺は別に毎日友達に会えるし学校は好きだけども。


「聞くの遅れちったけど2人とも寝れた?」


エアは少し考え込み、彩は大きく伸びをしながら


「私はめっちゃ寝れたよ!」


「寝れたには寝れましたけど……」


ん?エアはなんか歯切れが悪いな。


「なんかあったか?」


エアは下を向いてこちらが聞いてて悲しくなるくらい落ち込んだ声で


「跳ぶのを忘れてただけです……」


跳ぶ?……跳ぶ?え、どゆこと?

そんな俺の疑問なんて頭の片隅にも無いようにエアはしょんぼりしている。

まぁいいか。エアにも色々あるのだろう。詮索はしない

それにしてもなかなか悲しそうだな…


しゃぁねぇか。


_____________________


昨日、あれからベッドの上で飛び跳ねようとしていたのだがなんだか恥ずかしくなってきて跳べすじまいだった。


今日の朝、朝食から帰ってから彩がトイレに行ったのでチャンスだと思ってベッドに手をかけたら布団とかが綺麗にされてたので跳ぶのが申し訳なくなってやめてしまった。


やっぱりあの時跳んでおけば良かった…




なんてことを思い出し悲しみに浸っていると頬に触れるものがあった。

横を見ると人間の手があった。

その手を辿って顔を上に上げていくと。


「ナオキ……何処に行ってたんですか?」


するとナオキは後ろに隠していた頬に触れたのと反対の手に持つ物を見せてきた。

えっとこれは…?


「お前のために今、買ってきたぞ!アイス」


「え、えっといいんですか?」


するとナオキは愛想の良い笑みを浮かべ


「もちろん」


と声高々に応えたのだった。


_____________________


1つ分かったことがある。

この世界のアイスの価値は日本の15倍は高いみたいだ。


まぁ、それでエアが笑顔になってくれるんならそれくらい惜しくはねぇけどな。


しばらく外を眺めていたら不意に肩を叩かれた。

すぐに振り返るとエアが笑顔で


「ナオキもいりますか?」


と無邪気に聞いてきたのだった。


大丈夫だよ。と答えた。

こう見るとやっぱり年相応な所もあるんだなぁなんて思いながら。


…お。駅がもう近いみたいだ。減速をはじめた。


「さ、荷物もって。俺達の初冒険の始まりだ!」



〜〜魔王連合(彩)


私には悩みがある。

それは何故か幼児体型になっていること。


コールに相談して身長をはかると130センチだった。

思ってた以上に小さくなってた……


「コールぅぅ!身長伸びる魔法とか無い?」


「大変申し訳ありません。そのような魔法は……これは私の過ち。全て私が責任を取ります。必ず魔王様の…」


と大袈裟に綺麗に土下座まで披露して言い放った。面白いからそのままにしておこう。


ところで……


「明日はルシが来るんだっけ…」

どうもこんにちは!

今回、遅くなったことをまず謝ります。

ごめんなさい!寝てました!


さてさて、今回はほっこりを目指して話を書いてみました!

あと良ければ評価してもらえたら嬉しいです!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!


2020年4月 寝起きの目を擦りながら

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