ラノベって時々エロいところあるんだ……
あの後、俺は一ノ瀬から作品名を教えてもらった。
そしてその小説を買うため近場の書店に行ってようやく俺は一ノ瀬が恥ずかしがっていた理由を悟った。
つまりだ……多少オタクということだ。
まぁ、確かに高校で美人で有名人の一ノ瀬がオタクで小説家ということが広まれば、それはもう恥ずかしいだろうな……
ちょっと同情した……
俺は一ノ瀬の書いたという小説………ラノベをしっかり全巻買った。
すごいことに既に二作目も出ていて完結していた。
一方はバトル小説、もう一方は異世界転生と呼ばれるジャンルのものだ。
明日から土日の休日ということもあり俺はそのラノベを手にとって読んでみることにした。
……………面白いな、これ。
読んでみるとこれは面白い。
一巻を読むとつい二巻目に手が伸びる。時々出てくる挿絵もとても上手い。
なるほどクラスのオタクがハマる理由もなんとなく分かった。
ちょっと引っかかる点があるとすれば少しエロい描写があった。
………これは、月曜日に一ノ瀬と顔を合わせづらくなるな……
と、俺がそんなことを考えながらラノベを読んでいると不意に俺のスマホが鳴った。
ん?誰だ、こんな夜遅くに……
気づけばもう時計は午前0時、日をまたいでいた。
花実『起きてる?』
智樹『起きてる』
花実『もしかして私のラノベ読んでた?』
鋭いな………
智樹『読んでたよ、面白いぞ』
花実『本当に!ありがとう!それでどう、付き合ってくれる?』
聞き方が駄目だよな……本当に。
智樹『付き合う、というよりかは手伝いならするよ』
花実『その手伝いが付き合うことなんだけど』
ああ〜結局そうなるんだぁ〜
はぁ……まあいいか。別に俺が直接出演するようなもんのじゃないしな。
智樹『分かった、手伝うよ』
花実『本当に!ありがとう!』
智樹『ただ………』
花実『ただ?』
智樹『ちょっとエロくない?』
あれ?返信返ってこなくなった……
すると画面が通話に変わる。
俺は恐る恐る通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『忘れて!!!!!…………ブチッ』
!?ビックリした……
耳が痛い………
どうやら俺は一ノ瀬を少し怒らせてしまったみたいだ。
いや……でも確かにエロい描写が時々出てくるんだよな………
まぁ、いいか。
俺は取り敢えず面倒くさそうな問題を棚に上げ再びラノベに手をまわした。
読んでくださりありがとうございます。
面白くなければそれでいいので素直な評価を入れてくださると嬉しいです。
面白かったらそれはそれで高い評価をつけてください!
文句のコメントでも……まあ素直に受け止めます。
では次の話で