屋上に呼び出された
短かく区切った話となっています。
高校生活が始まってからおよそ一ヶ月が経ったある日の放課後。
俺はとある女子に屋上に呼び出されていた。
まぁ、それが誰なのかは後で説明するとして。
それより男子というのは女子に呼び出される=告白、みたいな考えになるのは普通だと思うんだけど……どうだろう。
まぁ、実際のところ俺も今から告白されるんじゃないかなぁってね……
そんな感じで俺がちょっとした期待を胸に抱きながら待っていると屋上の扉が開かれた。
「お待たせ」
透き通る声で俺に声を掛けてきた人。
彼女こそが俺を放課後に屋上に呼び出した張本人、白いツヤのある髪に整った顔。
高校でもそこそこ人気のある一年、一ノ瀬花実だ。
ちなみに俺とはクラスも違うから何の接点もない人です。
「いや、いいんだけど……何か用?」
と、自然な対応を心がけるが内心めっちゃ緊張してる。
「うん……実はね羽先くんに伝えたいことがあるの……」
おい……俺、マジで告白されるのか!?
あ、ちなみに俺の名前は羽先智樹。
女子に好かれるような顔も運動神経だってないごく普通の高校一年。
いや…………そんなのんきなこと言ってられない……
「あのね………」
うわぁ……すごく焦らしてくるな……
「私の主人公になって欲しいの!」
うおおおおぉぉ…………おぉ?
「はい?」
どういうこと?何か一ノ瀬はすごく顔赤くしてるけど……
これは告白………されたのか?
「主人公って?」
「う、うん……私、実は小説書いてるの」
「え〜っと、つまり俺にその小説の主人公になって欲しい、と?」
「うん!」
あ〜なるほど、俺は勘違いしてたわけだな。
勝手に盛り上がって勝手に冷めただけだ………
別に分かってたし!
俺なんかが学校でも人気の女の子に告白されるなんて勘違いも甚だしいわ!
はぁ、はぁ……少し落ち着こう。
「で、具体的に何するの?」
「私と付き合って欲しいの」
は?
「今なんて?」
「付き合って」
一ノ瀬は首を横に傾けニッコリ戸微笑む。
不意打ちもいいとこだよ……
一番危惧してた言葉が警戒心を解いた後にこうもあっさり言われるとは………
「ちょっといいか?」
「うん!」
「なんで俺?」
「私の書こうとしてる小説にピッタリだから!」
はぁ……喜んでいいのか、これ。
「つまり、イメージを掴むためってことか?」
「そうそう!どうかな?」
どうかなって……言われてもなぁ
「ちょっと急過ぎる」
「やっぱり、そうだよね………」
そんなあからさまにガッカリされても……
でも「私の書く小説」ってことは小説家なのかな……
「一ノ瀬って小説家なのか?」
「あ、それは………その」
「その?」
なんでそんなにモジモジしてるんだよ……
「ラノベって知ってる?」
ああ、あのマンガみたいに続く小説か。
「知ってるけど、そんなに恥ずかしがることか?」
すいません、俺はその手の知識が乏しいものでして……
「恥ずかしいよ!友達皆にも秘密にしてるし……」
まぁ、人それぞれってやつだな。
「今すぐに答えないといけないか?」
「なるべく早めがいいかな。新作案の催促されてるから……」
へぇ〜案外しっかり小説家してるんだな。
「わかったよ。なるべく早く決める」
「うん。お願い」
「それで参考までに一ノ瀬の書いた小説、読んでいいか?」
「ええっ!!」
ええ?
「駄目なのか?」
「駄目じゃないけど……」
いやいや……小説家って自分の作品読まれてなんぼだろ。
「分かった。後で作品名送るから!」
あの………なんで少し怒り気味なんですか?
読んでくださりありがとうございます。
面白くなければそれでいいので素直な評価を入れてくださると嬉しいです。
面白かったらそれはそれで高い評価をつけてください!
文句のコメントでも……まあ素直に受け止めます。
ではこれからもよろしくお願いします。