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思い返すに、驚いたのは最初ぐらいだったはず。
何故なら、一目見てそれが自分にとっての何であるかを理解してしまったからだ。
それは、こちらの問いに対して、答え合わせをするかのように応じた。
そこからはとても早かった。
一つ一つ、できることを検証する。
検証の結果を踏まえ、できることを拡充する。
そして、望みを体現できるようにする。
気づけばそれは、まさしく自らの欲望をウツシ出したものとなり――
願望器へと昇華していった。
そして、もう戻れなくなった。
剥き出しとなった自身の本質は、肉の殻を解き放って自由を得た。
誰も、何者も、自分ですら止めることはできない。
ここに在るこの意思は仮初め。
我想うしかし我は無い。
真の自分はそれの中に在る。
真の自分はそれである。
では、描こうじゃないか。
心にウツシていたあの光景を。
焦がれていたあの世界を。
そのための出会いであり、そのための力。
誰が望んだかは知らないが、応えよう。
自分こそが最も自分に正直であることを証明してみせよう。
その先に破滅をもたらすと言うのであれば、それにも抗おうではないか。
もう戻れないのだ。
偽っていた、抑え込んでいた自分が、あんなにも生き生きと、この身体から剥離したのだ。
裁きが来るとしても、最後の一瞬まで自分の願いを叶えるために生きよう。
ここに在り、そこに在るのは、唯一つ。
己が望む世界を体現するために動く理。
自己のみを是とし中心とした価値観。
あぁ、ああ――――
身体が震える。
悦楽だ。
圧倒的な快楽。
これこそ、享楽。
もっと。もっとだ。
もっともっともっともっと、上手く、沢山、旨く、ゆっくりと、多くを、余すことなく。
貪らねば。
私の欲が、この世界を喰らいつくすまで――