表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺神都市 ―A fatal error―  作者: 彼岸堂
someone
9/11

1


 思い返すに、驚いたのは最初ぐらいだったはず。

 何故なら、一目見て()()が自分にとっての何であるかを理解してしまったからだ。


 ()()は、こちらの問いに対して、答え合わせをするかのように応じた。

 そこからはとても早かった。

 

 一つ一つ、できることを検証する。

 検証の結果を踏まえ、できることを拡充する。

 そして、望みを体現できるようにする。


 気づけば()()は、まさしく自らの欲望をウツシ出したものとなり――

 願望器へと昇華していった。



 そして、もう戻れなくなった。


 

 剥き出しとなった自身の本質は、肉の殻を解き放って自由を得た。

 誰も、何者も、自分ですら止めることはできない。

 

 ここに在るこの意思は仮初め。

 我想うしかし我は無い。

 真の自分は()()の中に在る。

 真の自分は()()である。



 では、描こうじゃないか。


 心にウツシていたあの光景を。

 焦がれていたあの世界を。


 そのための出会いであり、そのための力。


 誰が望んだかは知らないが、応えよう。

 自分こそが最も自分に正直であることを証明してみせよう。

 その先に破滅をもたらすと言うのであれば、それにも抗おうではないか。



 もう戻れないのだ。

 偽っていた、抑え込んでいた自分が、あんなにも生き生きと、この身体から剥離したのだ。

 裁きが来るとしても、最後の一瞬まで自分の願いを叶えるために生きよう。

 

 ここに在り、そこに在るのは、唯一つ。

 己が望む世界を体現するために動く理。

 自己のみを是とし中心とした価値観。


 あぁ、ああ――――

 身体が震える。

 悦楽だ。

 圧倒的な快楽。

 これこそ、享楽。


 もっと。もっとだ。

 もっともっともっともっと、上手く、沢山、旨く、ゆっくりと、多くを、余すことなく。


 貪らねば。

 




 私の欲が、この世界を喰らいつくすまで――




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ