コーディネート
【シウテクトリ】にログインする。
ロディニア城に、姿を現す首なし白衣のツヌグイであった。
周囲を見渡すと、ほとんどが露店スキルで物を販売してる人である。
まばらに何人かのプレイヤーが、歩いていた。
「平日の昼間は、学生が多いのか?さすがに人が少ないな」
モクラの街の転移門を開いて移動する。
モクラの街は、生産系の人が多い。
生産系の職業は社会人が、多い傾向にあるので平日でも休みの人がいるためか多くのプレイヤーが歩いていた。
工房ギルドの【クリエイト】に所属してるアレキトを探すために、歩いている髭装備のドワーフに話しかけてみる。
「すみません、工房ギルドの【クリエイト】のアレキトさんに連絡できるかたを知りませんか?」
「うお!首なしは、インパクトあるね。【見えざるフェイス】ですか?アレキトならフレンドリストに入っているのでログインしているなら連絡つくから待ってて」
いきなり、当たりを引いたようで、すぐに連絡がつく。
迷路のような街並みだが、個人で店を設置できるシステムを利用して、アレキトがひらいているお店の場所を教えてもらう。マップハックを利用して最短で、店にたどり着く。
小さな家のような、お店であるが看板にユニークアイテム専門と書かれていた。
扉をあけると、アレキトが自分の作成した武器を眺めてニコニコしていた。
「約束通り、アイテムとお金が用意できたので、来ましたよ」
「誰だ?お前は?」
「ツヌグイですよ」
「あ!まえに会った声の綺麗なにーちゃんか?前と装備が違う上に、首なしだから全然わからんぞ?」
アレキトにアイテム取引ウインドを出して、【滅殺の長剣】を4本と【不可侵の盾】を50枚と【不可侵の盾】の売却値段の100倍の金額を入れて承認する。
「え?なんだ、この数と金額は!【不可侵の盾】を合成するアイテムは?」
自分自身にファッションセンスがないのを自覚しているツヌグイは、アレキトに装備チョイスを頼むことにした。
現在の装備を全て外して、下着姿のツヌグイになる。
その姿を見た瞬間に、アレキトが持っていた武器を床に落とす。
「生まれて初めてかもしれない。美しさに感動してしまった。にーちゃん女性だったんだな?人間か?」
「すみません、この姿に似合う装備をみつくろって、【不可侵の盾】で破壊不可能装備一式を作っていただけませんか?」
「喜んでやらせてもらうが、えらいどんぶり勘定だが、料金は、これ全部もらっていいのか?」
「残ったらすべて差し上げるのでよろしくお願いします」
「こりゃ、俺の一方的な得にしかならんな。よし!最高級の装備つくってやるぜ!」
アレキトが、生産用の合成ウインドとアイテムボックスを開いて、作業を開始した。
しばらくして、ツヌグイへアイテム取引ウインドが表示されて、ツヌグイ用の破壊不能装備が置かれてアレキトの承認がはいる。
「お!早い仕事ですね!」
「いやいや、なやんだよ!絶世の美女に、たのまれちゃったら、おじさんがんばっちゃったよ!虎の子のアイテムを放出したぜ」
ツヌグイが承認して、アレキトからアイテムの受け渡しが完了する。
早速装備していく、ツヌグイであった。
【滅殺の長剣】2本、【天使の羽衣】、【天使の羽】、【天使の輪】、【不死の指輪】、【雷鳴のブレスレット】を全て装備した。
「な!なんて凄いんだ!美術品のようだ」
アレキトが放心したような顔をしている。
そこには、天界から舞い降りた絶世の美女の女神が降臨していた。
自分の姿は見えないツグヌイは、困惑する。
「鏡などは、ありますか?」
「こっちに全身鏡があるぞ」
部屋の奥まで行ってツグヌイが自分の姿を見る。
「うあ!これが私か?」
少し自己陶酔してしまう。
「これ、おまけだ」
最後に飾りアイテムで鎧欄ではなくマント欄に装備するマント仕様の【純白のローブ】をもらう。
装備すると、巡礼中の聖者のような外見で全身と顔が隠れる。
【滅殺の長剣】は、2mほどの両手剣で攻撃力が高くないが、即死効果が1-2%あり射程が非常に長い。
【天使の羽衣】は、神聖系魔法以外の全ての魔法レジストが300%上昇。
【天使の羽】は、素早さ200%上昇。
【天使の輪】は、近距離ダメージの70%減少。
【不死の指輪】は、大ダメージを受けても即座に蘇生してHPの10%で復活する。HPが20%以下の際に攻撃を受けた場合は無効。
【雷鳴のブレスレット】は、全くステータスの変化はないが、アヴァターの全身が、微かに光って周りを照らす飾りアイテムである。
【純白のローブ】は、飾りアイテムで、マント装備なのだが全身を純白のローブを着ている様に見せるもので、DF10上昇のゴミ効果である。
天使シリーズ3点装備で、セットボーナスが発動して物理遠距離攻撃無効が付加された。
全てに破壊不能効果が追加されていた。
「ありがとうございます」
「ここまで破壊不能装備作ったの初めてだし、何故か成功率が高くて、材料が結構残った。有り難くもらっておくよ。ゲーム内でのご法度だが、現実で会うことは出来ないか?」
アレキトは、ツヌグイのファンになってしまった。
「考えておきます」
「お!期待してるぜ」
店を出てログアウトするツヌグイを確認した後に、アレキトもログアウトして、ツヌグイの情報を集めるアレキトであった。
ログアウトすると、美奈子がヘッドギアを被って寝ている一新に隠れてキスをしようとしていた。
ヘッドギアで美奈子に頭突きをしてしまう。
急いでヘッドギアを外す。
「どうしたんですか?」
「な、なんでもありません」
「ログイン中の私の姿は、どうなっていましたか?」
「ツヌグイさんのままでしたが、ログイン直後に神々しさが増した気がしました」
「使えるスキルが増えたせいかな?」
ツヌグイが魔法を唱える。
「瞬間移動」
一瞬で美奈子の背後に移動した。
「え?」
ツグヌイを見失って、困惑している美奈子を背後から眺めながら、一新が考える。
瞬間移動は、魔法使いのスキルで、見える範囲でレベル1なら10m以内、レベル10で100mほど好きなところへ、瞬間移動できる。
ログイン前までは使えなかったが使えるようになっていた。
「データ変更が適応されたなぁ」
美奈子が振り向いたと同時に、再度、魔法を唱える。
「影移動」
美奈子の天井からのライトの光で出来た、影へツヌグイが一瞬で移動する。
影移動は、黒魔術師のスキルで、見える人物の影に移動できるスキルで、移動後の硬直時間がレベル1で10秒ありレベル10で1秒になり、装備のスキル―ブースとでレベル11に上げると0.9秒になる。
レベル20まで上げると0.1秒になり、レベル21で0.09秒になる。
ツヌグイの硬直は、まったくなかった。
「スキルも99になったようだ。威力を考えると迂闊に魔法は使えなくなったな」
あとは、シリウスに直接会いに行こうと考える一新だった。




