何が使えて、何が使えないか?
一新が朝起きると、横に美奈子が寝ていた。
「ん?」
一新が疑問に思うと、美奈子が起きる。
「昨日、襲いに来たんだけど、寝顔が素敵すぎて見てたらねてしまったわ!」
外見がツグヌイの時に言われてもなぁと思う一新であった。
朝食を美奈子と食べた後に、ゲーム内でシリウスとの17:00に待ち合わせをしているが、時間があるので、美奈子と服を近くの駅ビルに買いに行く事になった。
地下の駐車場へ足を運ぶと、美奈子の赤いポルシェ911(スポーツカー)が止まっていた。
「凄い車ですね」
「運転してみます?」
やはり一新も元は男性で、ペーパードライバーだが免許は持っていたので興味はあった。
「いいんですか?」
「良いですよ」
断らずに運転させてもらったツグヌイであった。
初めて乗る外車にドキドキするツグヌイであったが、ステータスチート状態の為、プロドライバー以上の運転が可能になる。
都心へ猛スピードで走るツヌグイであった。
ステータスが高いと、なんでも出来るんだなと考えながら、神速のシフトアップとシフトダウンを繰り返し爆走する。
「ちょっと!捕まるわよ!」
「自動速度測定器などの装置は、全部暗記してるから大丈夫です。ちゃんと減速しますよ」
未来予測プログラムを作成する際に、環境データを過去に見た際の記憶と、視覚から得られる情報をINT9999のステータスで思い出して分析しながら最短で目的地に向かう。
「そう言う問題じゃない!」
高速コーナーでの横の遠心力を感じながら美奈子が叫ぶ。
駅ビルの駐車場に横滑りしながら入庫していく。
「生きた心地がしなかったわ」
「すみません調子にのってしまいました」
「でも、少し楽しかったから許しちゃう」
美女二人が駅ビルに舞い降りた。
もうすぐ秋になるのに、露出度が高い白いボディコンワンピースの白髪で赤い瞳のロングの髪がたなびいてキラキラ光るツヌグイと、つば広帽子のタートルネックのレトロガール風の金髪で青い目をしたグラマラスな美奈子が歩いていく。
「な、モデルさん?」
「綺麗...」
すれ違う人々は足を止めて、二人に釘づけになっていく。
美奈子は、慣れた様子だが、ツグヌイは目立つ事に慣れていないので恥ずかしく感じて、視線がどうして地面をみて顔を伏せてしまう。
美奈子の友人が経営する婦人服売り場へ足を運ぶ。
「な!なにその美人さん!世界的なスター?」
店員の美津子がツグヌイの美貌オーラに驚く。
美津子は、美奈子の従妹で体格は似ているが、黒髪の黒目である。
「似てますね?姉妹ですか?」
「従妹の美津子です。美奈子!紹介して!」
美津子が興奮気味に、美奈子に迫る。
「ツグヌイと言います。よろしくお願いします」
「あら!実名じゃなくて芸名なの?どこの劇団の人なの?」
「美津子!服を買いにきたの!いい加減にしなさい!」
美奈子と美津子が喧嘩を始めたが、放置してツグヌイは、地味な服を選んでいく。
美奈子の反対を押し切って地味な服を買った後に、下着を美津子に頼む。
「す、すみませんが、下着を見繕って買ってきてもらえないでしょうか?」
「いいですよ!サイズをはかるので脱いで!」
興奮気味に試着室でツヌグイのサイズを美津子が、計測する。
「なんで、男物の下着を!ノーブラ!」
美津子が、鼻血出して試着室からでてくるを美奈子がうらやましそうに見ている。
服が大体そろった後に、靴と帽子とサングラスを買いマスクをすると、わずかにに人ごみにに溶け込めるほどに外見が目立たなくなったが、美人オーラ―は抜けずに、結構な人に振り向かれる。
この時、多くの人がSNSで隠し撮りをしており、ネットで拡散していることをツヌグイと美奈子はしらない。
昼のランチを食べて、美奈子の家に戻ったら、徒歩で二人でデータセンターへ戻る。
「デートみたいですね」
「え!そ、そうですね」
免疫がないツグヌイが動揺する。
「私のどこが良いのですか?」
自信がない一新が聞くと美奈子は即答する。
「山田一新さんが創りだしたビックス本社のシステムに惚れていますので、製作者に惚れるのはだめですか?」
「う、うれしいことですが、外見に自信がないです。山田一新の外見でも惚れますか?」
「惚れますよ」
ストレートな回答に喜びを隠せなくなる、一新だが、変な事をしたい気分になるが、今は女性であり、あるものが無い悲しい現実である。
せっかくのモテ期だが、女性の自分を呪う。
「とにかく、謎を解いて元の自分にもどります。それからおつきあいできますか?」
「喜んで!」
突然の告白に美奈子は真っ赤になる。
一新は、告白した自分に驚く。
これはツヌグイの為に性格が変わったのか?自分が自分でなくなる気がした。
一つ試したい事がひらめいた。
美奈子に対して、呪文を唱える。
「外見偽造ルクア!」
しかし、なにも起きなかった。
「ん?どうしたの?」
「外見偽造シリウス!」
突然、劇的に変化した。
美奈子は、緑の髪に緑の瞳の女の子のシリウスに外見が変わってしまった。
「えええ!」
身長が低くなってしまったため、服が脱げかかてしまう。
「すまない。服まで考えてなかった」
「どういうこと?」
「魔法解除」
元の姿に美奈子が戻る。
「納得!どうやら、私以外にも同じ状況の人が何名かいると思います。データセンターで調べましょう」
「理解しきれれない。どういうことからしら?」
「もう一つの実験をしたいので、私とビックスサーバーのVMG筐体まできてください」
ふたりで、ビックスサーバーを目指す。
ツヌグイの状態で、指紋認証や網膜スキャンを解除できた事に、さらに驚く一新であった。
「音声認証じゃなくて、よかったかもな」
ビックスサーバーのVMGの筐体があるところに到着すると、実験を開始する。
パソコンに座り、非常用IDでビックスサーバーにログインする。仮想のテクノVGM社のサーバーに裏からアクセスして、VMGゲームの【シウテクトリ】が動いているスーパコンの【景】にアクセスする。
ツヌグイのキャラクターデータを検索して見つけた後に、レベル以外のステータスがすべて上限値なのを確認する。
さらに、今回は、すべてのスキルが使用可能に変更してスキルのレベルは、通常時はレベル10までしかないが、データ上で入力可能数値MAXの99に設定
その後に、アヴァターの外見データを、変更しようとするができない...
エラーログを調べると『既に認識された事象は変更できません』とエラーログが残っている。
強制削除を試みたが、それもできない。
「データが壊れたのか?」
いったん(変更保存)セーブをして、魔法を唱える。
「瞬間移動」
何も起きなかった。
瞬間移動は、魔法使いのスキルで、見える範囲でレベル1なら10m以内、レベル10で100mほど好きなところへ、瞬間移動できる。
スキル99の場合は990mの範囲で好きなところに瞬間移動できるはずであった。
再度、魔法を唱える。
「影移動」
美奈子の天井からのライトの光で出来た、影へツヌグイが一瞬で移動する。
影移動は、黒魔術師のスキルで、見える人物の影に移動できるスキルで、移動後の硬直時間がレベル1で10秒ありレベル10で1秒になり、装備のスキル―ブースとでレベル11に上げると0.9秒になる。
レベル20まで上げると0.1秒になり、レベル21で0.09秒になる。
ツヌグイの硬直は、1秒ほどであった。
「ひゃ!」
一新が突然消えて背後に立たれた美奈子が驚く。
「1秒動けなかったので、スキルレベル10ほどだな、データーを改竄しても、前回ログアウトの状態のソヌグイと言うことだな」
一新は、納得したように次の実験を行う。
「美奈子さん、私がログインしている際に私の姿がどうなっているか確認してください。すぐログアウトしてきます」
「わかりました」
ツヌグイの行動を興味ぶかげに見ていた美奈子がこたえる。
一新はヘッドギヤを被り、VMG専用筐体に寝てログインを開始する。




