表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/37

GM(ゲームマスター)

【シウテクトリ】のGM(ゲームマスター)の白鳥雅也は、悩んでいた。


今日の午前中に、プレイヤーからGM(ゲームマスター)宛に、多くの奇怪なメッセージが届く。


まとめると5種類


「天使を見た」

「プレイヤーが空を飛んだ」

「チートのような剣さばき」

「人間じゃない美しさ」

「新しいイベントですか?」


などである。


初期に、アスラというプレイヤーネームが上がっていたので調べても存在せず。


次に、ツヌグイというプレイヤーネームが上がっていたので調べると昨日に初ログインした初心者だった。


GM(ゲームマスター)は、テクノVMG社に雇われたバイトである。


様々なことを対応する数千人いるGM(ゲームマスター)であるが、イベントや不正監視や迷惑行為などの対応をする中で、白鳥の担当は、チートプレイヤーとバグなどの対応であった。


不正行為者(チーター)とは、データ改竄をしてゲームをしているプレイヤーである。

不正行為(チート)とは、データ改竄で作られたデータを含む装備やキャラクターの事である。


今までチートプレイヤーやバグプレイヤーは、デバック(リリース前のテスト)が、物凄い厳密で、お金をかけているテクノVMGのゲームであったために、皆無である。


その為に、白鳥の担当のGM(ゲームマスター)は少なく、今回の件は、白鳥だけが担当になった。


GM(ゲームマスター)と言っても、個人情報の保護などもあり、調べられるのは、対象プレイヤーのゲーム中の名前とレベルなどの基本ステータスと現在のゲーム中の居場所だけである。

あとは、実際にゲーム中で観察して、それを録画して証拠として記録し、上司に報告するのが今回の白鳥の仕事だった。


「アスラは、プレイヤーにいないので、偽装魔法のプレイヤーネームなのがわかったが、ツヌグイは、いるから、そこから調べようと思うがログイン2日目じゃなぁ。

この名前も偽装されていて、偶然に重なったのかなぁ?」


テクノVMGの本社は、渋谷のオフィースビルである。

その中のサポートセンターの一角にある、パテーションで区切られた仕事用の個人スペースで、監視用のパソコンを見ながら感想を述べる。


ツヌグイが、今何処にいるか調べて、ツヌグイがいる場所が【天空の黄昏】なのがわかった瞬間に、真剣眼差しになる。


「2日目で、この最終ダンジョンはありえない。

初の違法行為者(チーター)が出るのか?」


急いでテクノVMG本社のGM(ゲームマスター)用のVMG筐体がある部屋に移動する。


白鳥は、20歳の男子で帝国大学の2年生である。

茶髪の黒目で眼鏡をかけている。インテリ風でイケメンの部類に入る程の外見を持っていた。

【シウテクトリ】の面白さに惚れ込んでプレイしていたが、20歳には辛い料金設定の為にGM(ゲームマスター)のバイトになって、GM特権の一つに、バイト以外の時間は、無料でプレイする事ができるので、それを利用していた。


白鳥が、GMとしてログインする。

場所はGM特権でログイン時に何処でも指定できるので、【天空の黄昏】のダンジョンの100階に設定した。


100階に白鳥のアヴァターが現れる。


白鳥のキャラクターは、限界突破のレベル212の闘士(ウォーリアー)で、人種は人間である。

キャラクターネームは、ノバという。

人間だけが装備できる、ガーディアンシリーズの鎧と籠手と兜と靴と大型斧を持っていて、5種類揃っている為に、防御力が2倍になるボーナス効果が発動している。

外見は、ごっつい鎧で動く要塞のようになっている。


GMは、通常プレイヤーと同じでチートはしていない。

ただ、頭にNPC(ノンプレイヤーキャラクター)と同じくGM(ゲームマスター)と付くだけである。


GMの特権は、バイト代をもらえる事。

証拠があればプレイヤーをアカウント停止に出来る事。

好きな所にログイン出来る事。

ログイン後5分だけ、モンスター襲われない事とPKされない事。

プレイヤー名がわかれば、居場所と基本ステータスを覗ける事。

バイト以外の時間は、無償でゲームプレイ可能である事。


いい事づくめに見えるが、情報の漏洩禁止により、かなりの行動制限が入る。

GMバイト中は、ギルドに参加出来ない事と、イベント中は、楽しむ側ではなく、働く側である。

バグの調査に1日中、アイテムを捨てて、拾うだけの行動をする時もある。

チャット内容や、モンスターの狩り方にも特殊ルールが付加される。

結構辛いバイトだったりする。


100階に現れた白鳥(ノバ)は、モンスターが既に居ない事に驚く。

「もう100階突破したのか?」


GMと言っても【天空の黄昏】のダンジョンマスターよりも取得出来る情報が少なく、ツヌグイの場所は、このダンジョンであるが、どの階にいるかはわからなかった。


一回、ログアウトして、今度は200階にログインする。


推定レベル300のオクトパスゴーレムが1体いた。


オクトパスゴーレムは、全長9mほどの蛸が岩でできているだけだが、防御力が高く、破壊しても破壊されて砂になった後に、砂から岩へ戻って回復力も高い。

砂漠で出会ったら、まず倒せないモンスターと言われている。


「5分間は、俺ターンだから勘弁しろよ」

ログイン後に5分間モンスターに攻撃されないGM特権を利用する。

無抵抗のオクトパスゴーレムを持っている大型斧で斬りまくる。

4分30秒ほどでオクトパスゴーレムが倒されて消える。


「結構ギリギリだな。ここにモンスターがいるから、まだ此処に辿り着いていない。ここから下に降りていけば良いんだな?」


下の階へ行く階段を見て、そこへ行こうとすると下の階からプレイヤーがやってきた。


緑の髪に緑の瞳の女の子が階段を上がってきた。

耳がとがっているエルフ装備で、腰に剣を2本左右に装備していて、高級そうな赤い布の鎧と真っ赤なマントを装備していた。

ソロでは無いと思っていたが、一緒にいたのが有名な、シリウスだったので驚く。


その後に階段を登ってきたプレイヤーを見て、もっと驚く。

白髪で赤い瞳であり、ロングの髪がたなびいてキラキラ光る。

絶世の美女が現れる。


美女度が噂以上で、すぐにツヌグイ本人だと理解した。

そもそも、右手に軽々と斬馬刀を持って、黒魔術師の初期装備のローブしか装備してない時点で、【天空の黄昏】の200階を攻略する装備ではない。


ツヌグイは、非常識の塊のようなプレイヤーだった。


ツヌグイに、少し見とれてしまった瞬間に、ツヌグイ消えたと思ったら、ツヌグイの顔がノバの目の前にあった。


驚きと、美しさに、本当に、こんな女性が現実に存在するのかと思った瞬間に、腹部に深々と斬馬刀が刺さって自分のHP(ライフポイント)がゼロになったのを理解した。


同時に斬馬刀の武器耐久度がなくなり斬馬刀も砕けて消えていく。


「武器は、不正行為(チート)してないようだね」

とっさに白鳥(ノバ)が、言った瞬間にノバは、倒された事により神殿に転移(ザップ)された。


GM(ゲームマスター)やっていて、イベント以外で倒されたのが初めてであった事。

倒してきたプレイヤーが、絶世の美女であった事。

防御に自信があった自分を一撃で倒せるプレイヤーがいた事。

ツヌグイが、シリウスとPT(パーティー)を組んでいる可能性がある事。


様々な、出来事と情報がいっぺんに発生して大混乱する白鳥(ノバ)であった。


神殿の中で、一度ログアウトして、【天空の黄昏】200階へ場所を指定して、再度ログインする白鳥(ノバ)だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=331206317&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ