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伏兵

一新はデータセンターに戻り、トイレを済まして毛布にくるまって、筐体に寝ながらヘッドギアをかぶる。


ツヌグイが1:55に47階にログインして現れる。

再出現(リポップ)した、アークウルフ30匹に囲まれた状態で始まる。


「これ、普通の人だと再ログインで助からなそうだな?」


アークウルフは、推定レベル99の電気を纏った全長3mほどの狼で、通電する武器で攻撃すると攻撃者がダメージを食らうカウンターモンスターである。

ツヌグイは、ダメージなど無視して、斬馬刀でバシバシ斬り刻む。


3分で全て処分して、30個の装備合成に使える帯電布がドロップする。

合成に成功すると1-5%の雷撃カウンターの効果が装備に付くアイテムである。


回収していると、シリウスがログインしてくる。

「あ!2:00ちょうどで、一緒に倒すかと思ったのに!ソロだと再ログインは危険ですよ」

「すみません」

「こちらも怒るところでは無かったですね。安全確保ありがとうございます」


初めは怒ったが、無傷のツヌグイを見て謝ってきた。

それを見たツヌグイは、『良え子じゃ』とか思っていた。


「さて!行きますか?」

「行きましょう!」

再度攻略スタートで48階へ登っていく。


数時間攻略して行く。


張り切って、97階まで来ると、やっと、首なしブラックドラゴンナイトが、出現するが上層階だけあって数が100程でマップを埋め尽くしている。


初めに唱えて、楽しく無かったので封印した黒魔法最大の範囲魔法を唱える。


即死乱舞(インスタントデスダンス)


全ての敵が消えて100個の【不可侵の盾】がドロップする。


「ええええええ!その魔法は、即死だけど10%ぐらいの成功率だと思ったんだけど100%?ドロップも100%って?どんな装備してるの!?」

「ひ、秘密です」


二人でアイテムを回収する。

「50個づつで良いですか?」

「本当に、無欲ですね。あげると帰るなら1個もあげない」

「え?」

「冗談よ、私の装備を用意してくれたら全部あげちゃう。あと今日は、とことん上層階行くのを付き合ってくれたらかな?」

「か、構いませんよ」


PT(パーティー)を組んでゲームする事に慣れていないツヌグイは、結構楽しかったので、一緒に行く事にする。

付き合ってくれる上に、出たアイテムをほとんどくれる、ツヌグイに対してシリウスは、複雑な心境になる。


「じゃぁ上を目指しますか?」

「ツヌグイさん、レベル99になってますよ、転生か限界突破なさったら?」

「どうやるんですか?」

「ステータス画面を目の前に出して、レベル99の表示を触ると選択肢が出ますよ」


「ステータス」

ツヌグイの目の前にステータス画面が表示される。

LV99を触ると、転生か限界突破か聞いて来るので転生を選択する。

今度は、剣系のスキルがある職業を選択しようと見る


戦士(ファイター)

闘士(ウォーリアー)

槍士(ランサー)

剣士(ソードマン)

聖戦士(ホーリーファイター)

狂戦士(バーサーカー)

女戦士(アマゾネス)

盗賊(シーフ)

暗殺者(アサシン)

蛮族(バーバリアン)


女性だったのでアマゾネスがあった。

手助けタイプで聖戦士を選ぶ。


ステータスは、固定で変動しないようにメモリー上で上書きデーターチートしているので、転生した瞬間にステータスが全て半分になり、わずかに体が重くなった気がしたが、すぐに全て9999になったようだ。


「シリウスさんは、転生しないのですか?」

「盗賊のレベル199で幻のスキルが表示に増えるって話があるので大変だけどレベル199まで上げてみようかと思ってます」

現実(リアル)に戻ったら私も調べて見ますね」


98階に上がると、シリウスとツヌグイそっくりなプレイヤーが10人ほど立っていた。


「ドッペルよ!不味いわね。

全く同じステータスで全く同じ装備よ。

ただ、馬鹿なので1vs2で一体づつ倒しますよ」


シリウスがツヌグイに斬りかかる。

「私!本人ですよ!」

「あらやだ!」

5人のツヌグイが「私!本人ですよ!」と叫びだした。

5人のシリウスが「あらやだ」言い始めた。


「「「「「これは、混乱するな?」」」」」

「「「「「どうしましょう」」」」」

誤差なく、動きも発言も真似してきた。


「シリウスさん、一回ログアウトお願いできますか?1分後すぐにログインしてください」

「何かアイテムでも使うんですか?」

「まぁそんな所です」


シリウスが一人消えた。

すぐさま、呪文を詠唱する。


「「「「「「即死乱舞(インスタントデスダンス)」」」」」」

偽のツヌグイも同時に詠唱する。


シリウスは、全て消えて、5個の真実の手鏡がドロップする。

5人のソヌグイは、健在であった。

防御力(レジスト)が高いので、即死効果が出なかったのだ。


「こいつは、不味いな隠しステータスをコピーしてやがる」


斬馬刀を構えて、斬りかかっていくが全く同じ動きで倒せない。

しかも、残り4人の偽ツヌグイも襲ってきた。


一撃もろに入ってしまった。

だが斬馬刀の攻撃力分のダメージぐらいしか減らずに、HP(ライフゲージ)がわずかに動いた程度だった。

ツヌグイのステータス的な攻撃力と防御力は、ほぼ同じなので、斬馬刀の攻撃値の装備分しかダメージが入らないという事のようだ。


「閃いた!」


斬馬刀で偽ツヌグイに斬られまくりながら計画を実行する。


真実の鏡を拾って偽ツヌグイを殴る。

耐久度がゼロになり真実の鏡が割れて消える。

偽ツヌグイが消えた。

真実の鏡をドロップする。


それを拾って偽ツヌグイを殴る。

耐久度がゼロになり真実の鏡が割れて消える。

偽ツヌグイが消えた。

真実の鏡をドロップする。


を繰り返して、全て倒すと階段が現れた。


ドッペルは、推定レベル100で、近寄ったプレイヤーと全く同じレベルとステータスと装備になる。

ドロップアイテムの真実の鏡は、使用すると相手を初期値に戻す効果があり、攻撃力1で耐久度1の武器でもある。


通常なら、レベル100のドッペル戻って、またツヌグイに化けるはずが、戻ったと同時に、真実の手鏡の攻撃力は1だが(ストレングス)9999で殴られて即死したのであった。


「想像通りでよかった。

真実の手鏡って武器扱いなんだな」


ログアウトしていたシリウスが戻ってくる。

「あ!本当に倒してる!どおやったの?」

「ひ、秘密です...」


ステータスチートしていても、無効効果を持つモンスターや、こちらのステータスを利用するモンスターや、こちらの攻撃を反射してくるモンスターもいるので、油断してると倒されることを手鏡で攻撃中に、斬馬刀でタコ殴りにされて、半分になったHP(ライフゲージ)を見て思うツヌグイだった。


2人は上の階へ移動する。

順調にモンスターを倒して、200階まで上がった時にGM(ゲームマスター)が現れた。

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