最強のPT(パーティー)
【天空の黄昏】のタワー型ダンジョンがある雲の上まで、弾丸のように飛んでいき、塔が建っている土台の土地の側面に、右足で蹴りを入れてめり込ませる。
次は左足で蹴りをいれてめり込ませる。
右足を抜いて、また再度蹴りをいれてめり込ませる。
繰り返して、横の壁に足跡をつけながら登っていき塔の土台になっている空中都市っぽい所に上がった。
周りを見ると、空中都市っぽいけど、あちこち、崩れていて廃都市で誰もいな感じである。
塔は、頂上が見えないほど上に伸びており、見た目だと直径500mほどに見える。
塔の入り口まで行くと、過去に行ったことがある階に転移できるダンジョン用の転移門があって、門が開いている。
中に入ると、直径400m程の円形の広場のようになっており、中心に螺旋階段があった。
天井までは、10mほどある感じだ。
階段を登ろうとすると、階段が突然消えて、広場に身長2mぐらいの人型の炎の塊が10体現れた。
「再出現かな?美鈴が、倒して先に進んだのかな?」
軽い気持ちで剣を振るって人型の炎を攻撃する。
まったく効かない。
「物理攻撃は、無効なのかな?」
人型の炎は、デスファイヤーエレメントと言うモンスターであった。
物理攻撃と炎属性攻撃無効であり、推定レベルは80である。経験値は、高いがドロップアイテムが無い。
ツヌグイの職業は、黒魔術師である。
魔法使いが、火水風土などの属性に対して、闇属性と基本のステータス偽装や筋力アップなどの補助魔法しか使えない。
攻略サイトで、覚えてきた闇魔法を思い出そうとするが、思い出せない。
人型の炎に囲まれて、タコ殴りにされてたが、炎系攻撃に対する防御力が9999の為に、生命力は、1減って自然回復で1回復を繰り返して減ることはない。
防御力は、その系統の防御力100で半分になる。
200で半分の半分。300で半分の半分の半分。
100おきに1/2づつ軽減されていくが0にはならない。
ソヌグイは、物理攻撃含む全属性が最高値の為にダメージ2以上与えられるモンスターは、稀であると考える。
「倒さないと、階段が出ない仕様っぽいが、倒す手段が見つからない」
悩んでいるうちに、装備の耐久力なくなり、剣もローブも仮面も破壊されてしまった。
急いで破壊不可能な初期装備のローブを装備する。
コンソール画面を視界の空中に出すとヘルプコマンドで初心者用基本操作を開く。
隠し魔法以外の黒魔法がリストに載っているのを確認して、リストに載っている最大級の範囲魔法を唱える。
「即死乱舞」
人型の炎が消えて、階段が現れる。
「うむ....チートし過ぎて楽しくない気がする....」
虚しさが残る戦いとなった。
MPも魔力が9999の為に、減ってもすぐに自然回復して、まったく減っていない。
即死魔法は、成功率が低いのだが、知力が9999のツヌグイでは、ほぼ100%まで上昇していた。
階段登ると、また同じような部屋だが、前に倒した人がいて、まだ再出現していないので壁側に階段がまだある。
階段を登ろうとした瞬間に、階段が消えて全長5mの大型の蟻が5匹現れる。
「即死乱舞」
蟻が倒されて、瓶に入った蟻酸が5個ドロップして階段が現れる。
「うむ....チートし過ぎて楽しくない気がする....」
大型の蟻は、ジャイアントアントという推定レベルは88である。
ポーションの材料であるアイテムの蟻酸をドロップする。
ドロップ確率は、10%だが、幸運値が9999のツヌグイだと、数値が100で1%上昇の計算の為に、99.99%上昇で、100%ドロップになってしまう。
出現率0.001%以下のアイテムのみ出現しない場合がある事になるとんでもないチートキャラになっている。
出たアイテム拾って階段を登っていくと、また同じ広場になていた。
再出現する前に上がってしまおうと、急いで中央の階段を駆け上がる。
どうにか、再出現前に上の階へ移動できた。
【天空の黄昏】のモンスターを倒した後の再出現時間は、66分である。
そのまま、モンスターに遭遇せずに16階まで来ると、戦闘の音が聞こえる。
キン!
カン!
ドカン!
緑の髪に緑の瞳の女の子が、白いドラゴン2匹と戦っていた。
耳がとがっているエルフ装備で、剣を2本を両手に持って、補助魔法重複してかけられているのか、全身が何色かのオーラを表示する視覚効果で光っている。
高級そうな赤い布の鎧と真っ赤なマントを装備した美鈴が苦戦している。
白竜は、推定レベル120であり、吐息などの攻撃はないが、無尽蔵の体力と長い尻尾、爪、噛みつきなどの物理攻撃特化型のモンスターで体長は8m程である。
最大の特徴は、鱗による魔法無効である。
物理攻撃で少しずつ削っていくのが攻略方法である。
2匹の攻撃を器用に2本の剣で受け流してカウンターのように白竜を少しずつ斬っていく美鈴を見て、カッコいいなぁと見惚れるツヌグイだった。
「ツヌグイさん?」
戦闘中に視界に入った初期装備のローブだけ装備したツヌグイを見て驚く。
「戦闘中に話すと危ないので倒して良いですか?」
「ええ?まだ少ししか体力削れてないですよ」
シリウスからPTの申し込みが来たので、ツヌグイが承認する。
アイテムから予備の斬馬刀を取り出して、白竜に斬りかかる。
爪で攻撃されるが、余裕を持って回避して、一匹の首を跳ねる。
白竜が消えて竜の皮の鎧がドロップする。
「嘘!?」
シリウスが驚く。
「即死乱舞」
呪文を唱える。
だが白竜は、噛みつき攻撃をしてきて、魔法詠唱後の硬直時間補正で動けなくなっていたので、体を口に咥えられた。
「ツヌグイさん!魔法は効かないですよ!」
シリウスが、2本の剣で戦士系スキルのワーイルドウインドウを発動させた。
ワイルドウインドウは、自分が一歩も動かないで剣が届く範囲に斬撃のエフェクトが出て、24回分範囲に入った敵を魔法のように斬撃するスキルで、剣よりも槍などで使うと攻撃範囲が広いので極悪なスキルになる。
シリウスの場合は、二刀流の為に倍の48回斬るエフェクトが出る。
顔面に食らった白竜が、口を開けて吠える。
口が開いたので私が解放された。
つかさず、着地と同時に白竜の顔面真っ二つにする。
白竜が消えて、竜の皮の小手がドロップする。
「一撃?!ソヌグイさん過去に狂戦士やった事あるの?」
狂戦士のスキルに背水攻撃があり、相手と自分の99%の体力を奪うが、回避されると自分が死亡するという技がある。
シリウスには、そう見えたのだった。
「いえ、初心者みたいな感じです」
「この短時間で【ゲネスブルク】攻略してきた事自体が驚きですが、今の攻撃もビックリしました。ツヌグイさんってGMかしら?」
今いる【天空の黄昏】に来るには、【ゲネスブルク】と言う塔タワーダンジョンの頂上にある特殊転移門ポータルの【天空への門】をくぐらないと到着しないにもかかわらず、先ほど別れてすぐに戻ってきたので驚いていているようだ。
「GMじゃないですが、GMって結構ゲームにいるんですか?」
「どおやって来たかは、自分で考えてみるかしら。
きっと何か裏技があるのね?
GMは、稀にプレイヤーに混じっていてNPCと同じで頭の上にGMの表示が出ているのですぐわかりますよ。
不正の報告があると、その対象プレイヤーを陰ながら観察する感じで登場しますよ」
今の所、周囲観察用邪道表示には、GMは表示されて時がないにで、疑われていないようだ。
それよりも、対人恐怖症の一新だったが、ツヌグイだと全然大丈夫な事に、違和感を覚える。
自分が自分でないような感じだ。
美奈子ともインターフォン越しだと普通に話せたので、自分では、あまり気にしていないようだが、思った以上に自分の外見を気にしていたのかもしれない。
「ツヌグイさんも経験値稼ぎで来たのかしら?」
「いえ、17階の首なしブラックドラゴンナイトのドロップアイテム狙いで来ました」
「え?先月の更新で、出現が各階ランダムになったので17階の敵は、ランダムよ」
「おお!困ったな。【不可侵の盾】って他に取得しやすいところあります?」
「レアアイテムですね。このダンジョンのナイト系の盾持ちなら落とす可能性があるので、一緒に攻略します?」
「良いんですか?」
「一緒に行きたいかな。
ツヌグイさん強いですし、PT組むと経験値が2割アップしたものを配分なので効率がいいわ」
「そう言う事なら喜んで!」
即席に、このゲームで最強と言われるPTが組まれたのであった。
シリウスのキャラクター情報は、闘技場大会の個人戦で9回優勝しているチャンピオンである。
初期は戦士を限界突破でレベル135まで上げた後に
魔法使いに転生して魔法使いもレベ上99迄上げた後に
盗賊に転生して、現在レベル112の多重転生に限界突破してるキャラクターである。
転生でステータスが半分になるが、そこからまた、通常通りの上げ幅でステータスのレベル上げを行えるので、転生を繰り返せばステータスはドンドン上がっていくのがこのゲームであった。
特殊技能は転生後にレベルが下がるなどのマイナス要素がなく、転生によって使えるスキルはドンドン増加していく。
ツヌグイのキャラクター情報は、黒魔術師で、黒魔術師のスキルは、本来レベル1上げると1入るスキルポイントを割り振って上昇させていくのだが、全て最大値(max)である。
他の基本パラメータも全て最大値(9999)である。
レベルだけ、経験値に見合った物になっており現在レベル86であり、【景】の中のゲームプログラム自体を改造して、見かけはレベル86の平均値のパラメータに見える。極悪チートキャラである。
「17階に行きますか?」
「ちょっと休憩が欲しいかな?ツヌグイさんさっきダメージ食らわなかった?HPが全然減ってないけど?」
「回復アイテム使いました」
「ツヌグイさんってアイテムマイスターでしょ?」
【シウテクトリ】のゲームのプレイヤーの強さは大きく分けて3種類の方法で強くなる。
ステータスによる強さ以外にレベル補正でもモンスターや対人でレベル差によって、攻撃力や防御補正に入る。
レベル差が1で1%ほど補正が入る為に、ステータスが同じでもレベル99とレベル50では、50%の補正が入り、剣の勝負でレベル99魔法使いでもレベル50の剣士に勝利するほどの差となる。
転生でもステータスが半分になるが繰り返すとステータスがドンドン上がっていく。
これが限界突破や転生による強くなる方法。
単純明解な求めるストレートな強さである。
装備による強化も著しく、各装備にランダムで様々な効果が付属する。通常アイテムでゼロだが、マジックアイテムで1から3個まで、レアアイテムで4-5個、ユニークアイテムで6個、レアユニークアイテムで無制限に付属している。
各種の種類によって付属する効果は様々で、単体効果ではマジックアイテムに付属するものが1番変化量が高い為、マジックアイテムでも稀にレアアイテムよりも強い装備になる場合もある。
これが、装備による強くなる方法。
生産職がハマる原因となっている。
最後は、プレイヤー自身の強さによる強化。
運動神経が良いプレイヤーの方が、同じステータスでもステータスの上昇率が高くなり、実際のステータスが同じでも反射速度が早ければ回避率や命中率が上がる。
これが、肉体により強くなる方法。
これにより、筋トレするプレイヤーも結構多い。
アイテムマイスターは、装備にこだわり、装備の組み合わせで信じられない強さを発揮する人である。
「そ、そんな感じです!」
「やっぱり!今度、装備依頼しようかしら」
よくわかってないツヌグイは、適当に返事をして17階へ移動する。