病は気から?
美奈子は、詳しく話し始めた。
「はじめに判明したのは、江藤 美鈴。
彼女は、筋力がどんどん低下していく原因不明な病気にかかっていました。
その為に段々と疲れやすくなり、歩けなくなり、動けなくなっていきました。
最終的に、呼吸が出来なくなって最後に心臓が止まる病気でした。
呼吸が出来なくなってから人工呼吸器をつけながら、始めたVMGの【シウテクトリ】 によって、始めてから2週間で自発呼吸が始まり、2ヶ月で動けるようになって3ヶ月目には、車椅子で動けるレベルまで回復しました。
そこまでは、VMGとの関与は考えられていなかったのですが、他にも不思議な回復したプレイヤーが出てきました。
末期癌のプレイヤーが12名いたのですが、その12名の癌が縮小して切除可能になり回復しました。
その他にも6名の初期癌の患者の癌がなくなったなど、報告があがってきたのです。
癌に関しては調査と解析が終わっていて、VMGをプレイしてから免疫力が著しく向上して癌を淘汰した結論が出ています。
その他の病気の治癒例は、まだわかっていませんが、VMGが脳になんらかの作用を及ぼし肉体が変化する症状が、数件報告されていて、江藤美鈴の全回復迄のVMGでのゲーム内での行動を調査報告して、一旦このプロジェクトを終了する予定よ」
電子工学には詳しいが、生物学には詳しくない一新は、理解しきれなかった。
だが、それ故に正解を導き出した。
「簡単に言うと、VMGの【シウテクトリ】 をプレイするとゲーム中のアヴァターが現実になるって事かな?」
「え?あ!そう言う事なの?」
脳に作用した原因など、何故?どうして?を考えていた美奈子には、盲点な結論だった。
「それなら、全てに辻褄があうかもしれない」
美奈子が考え込む。
一新も、とある事が気になっていた。
ツヌグイは、チートキャラである。
チートキャラが現実で再現?ありえないな。
考え過ぎな自分の考えを否定した。
「では、美鈴さんが全回復するまでの過程を、VMGの【シウテクトリ】を通して観察して分析するのがプロジェクトの仕上げという事で良いのかな?」
「そうなりますね」
「でわ、私の視点で分析してきます。分析結果を毎日、朝8:00に執務室に送る感じで良いですか?」
「べ、別行動ですか....わかりました」
一緒にゲームが出来ると思っていた美奈子が、暗くなる。
「美鈴さんのキャラネームってなんでしょうか?」
「【王様の盃】のギルドマスターでシリウスと言います。今どこにいるかは、わからないですが今日は【王様の盃】が保有している【ロディニア城】の攻城戦があるので来る可能性が高いです」
「あ!」
「どうしました?」
「いえ、なんでもありません」
既にシリウスに出会ってる事は、話さなかった。
話すと単独行動で会いに行けないと考えるツヌグイであった。
攻城戦は、月に一度行われるイベントで、ゲーム中の全ての城で第2日曜日の20:00から21:00に行われて、城内がPKエリアに変更されて21:00ちょうどに、城内に1番プレイヤーが多いギルドが、その城の保有ギルドとなる。
城には、20:00から21:00の間は、1回しか入れない条件と保有ギルドは2回入れるハンデがあり、いちどギルドが保有すると、保有ギルドの戦力が2倍になるため城主ギルドの交代は、なかなか行われない。
【王様の盃】は、ゲーム中で第3位の規模だが、1位と2位のギルドは、城を2個保持しているため自分の城の保持で精一杯となる。
その為、【ロディニア城】は、長い間【王様の盃】のホームグラウンドになっていた。
城を保有した際のギルドの特権は、城内でのアイテムの売買の5%が、ギルドに支払われる。
城に必ずある闘技場の設定を変更できる事となっている。
美奈子と別れることになる。
「何かわかったら、朝に連絡入れます」
「また、明日ね!」
ケイトは、移動門で移動をする。
ツヌグイは、生産系職業のが多いモクラの街の見学を始める。