【景】のある場所
フードを被り白い仮面をして、ダンジョンを突き進む。
地下3階までは、結構、プレイヤーが多かったが、4階を超えた頃から、あまり見なくなり、倒されていないモンスターに襲われはじめたが、ステータスがチートのツヌグイなので、簡単に剣でバサバサ斬って進む。
各階にセーブポイントがあって、そこにセーブすると、次回からはダンジョンの入り口で好きな登録したポイントに戻れるようだ。
登録できる数も無制限のようなので、どんどん登録していくツヌグイだった。
5階に降りたところで、かなりのモンスター集団に襲われる。
「オークって奴か?」
豚のような大型人間を剣で真っ二つにしていく。
倒すと、身体が消えていき、ツヌグイの持っているGと経験値が増えていく。ドロップアイテムの肉の塊が残る。
奥の方から、から声が聞こえる。
「この数を一人で倒すか?高レベルなら下の階行けよ!迷惑だろう!」
「普通に来ただけで怒られるのは、気に食わないな」
「透明化で隠れてオークを集めて、初めて5階来た初心者をMPKしてたのに、妨害したんだよ。
結構なMP使ったんだから責任取れよ!」
MPKとは、弱いキャラクターにモンスターを擦りつけてモンスターに殺してもらう行為で、声の主は、隠姿系の魔法で姿を消しながらオークを5階入り口に集めたようだ。
バコン!
ツヌグイの剣が声の元だと思う所に投げられて壁に刺さった。
声が聞こえなくなって、声の主の装備品が地面に転がった。
MPKって思いっきり迷惑行為だし!
頭にきたから思わず投げたら当たって死亡したようだ。
壁に刺さった剣を抜く。
ペナルティーが1上がった。
ツヌグイは、レベル23程になっていたので、結構レベル高い人だったのかな?
更に奥へ進むツヌグイだった。
ツヌグイが地下21階のガーゴイルと戦って、レベル40になった頃、腹が減った。
「流石に、ここで飯食っても腹は膨れない。ログアウトするかな」
一旦、ログアウトする。
サーバー室の筐体で目がさめる。
時計は12:30を指していた。
「ゲーム内は、時計がないから時間感覚がわからないなぁ」
ゲーム内での時計アイテムを買う必要性を感じる。
データセンター内は、飲食不可の為、設置されている水飲み場以外に腹の虫に対抗出来る設備がない。
外に食べにいく事になる。
1番近い、お台場の駅へ歩いていき、奮発して喫茶店に入ってナポリタンスパゲティを食べていた。
窓から駅を一新が眺めていたら、美奈子が、駅から出てきてデータセンターへ歩いていく。
急いで支払いを済まして、美奈子の後を追尾する。
「下手するとストーカーだな」
美奈子は、予想通りデータセンターに入った。
美奈子が、昇降機に乗って移動する。
流石にこれ以上は、追尾がバレてしまうので何階で止まるか確認をする。
ビックスサーバーが地下7階だが、地下8階で止まった。
「データセンターとしては、地下7階までで、地下8階以降は、発電所と変電所のはずだが?」
行く階を間違っちゃったって言えば別に怪しまれないので、地下8階に一新が向かう。
エレベーターを降りると地下7階と同じ設計の通路がある。
「8階もデータセンタースペースだったのか?」
7階で言うとビックスサーバーがある場所へ行くと、指紋認証がある。
間違えたふりをして指紋認証してみると、何故か認証して開いて行く。
「あれ?ここ8階じゃなくて7階か?」
混乱する一新であった。
開いた扉の向こうは、見慣れたビックスサーバーが並んでいるわけではなく、【景】と書かれた大型パソコン群が並んでいた。
ビックスサーバーの直下に【景】があったのか!
一新は、驚く。
奥にある【景】の操作端末から、美奈子がこちらを見ようと、しているのが見えたので急いで外に出る。
「危なかった!」
非常階段で7階まで戻り、ビックスサーバーに入ったら個室に戻る。
「【景】の場所までわかったし、あとは【シウテクトリ】との関係性を調査だな」
少しづつ情報が集まってきて、にんまりする一新であった。
再度、【シウテクトリ】にログインして地下21階からゲームを再開した。
一方美奈子は、人の気配がしたので入り口をみると閉じる瞬間であった。
関係者以外が、入れないはずだが、何故開いたのか気になって調べに行くが誰もいなかった。
【景】が設置してある部屋の扉のアクセスログを調べると、美奈子の後に、山田一新が入室した事になっていた。
プロジェクト参加した為、【景】の入室認証に一新が登録されていたので開いた事になる。
「ええ?来たの?私がいたから出て行ったのかな?」
明日、朝に執務室で聞いてみようと思いながら、【景】の操作端末の横の個室に入る。
そこには、小型のVMGが置いてあった。
【景】の動作チェックの為に美奈子も実は、【シウテクトリ】をプレイしていた。
美奈子が専用小型ベットに横になりギアを被ると、一新が初めに来た街へ視界が変わる。