勇者の目利き
祝!総合評価800ポイント!!!
ありがとうございます!本当にありがとうございます!
全てはこの作品を一目でも読んで下さった貴方様のおかげです!
これからもどうかこの作品をよろしくお願いします!
そして、あまりの嬉しさに2日連続投稿です!
3日連続は厳しいですので、あしからず。
さてさて、長くなりましたが本編どうぞ!
〜大地 side〜
俺は今、ゴランさんと共に防具を見に来ていた。
「さぁ、ニイちゃん!この中から好きなのを選びな!!」
そう言ったゴランさんの指す先には、所狭しと様々な軽鎧、大鎧、甲冑、鎖帷子、プレートアーマーをはじめとした鎧類や、ローブや頭巾、グローブといったものまで幅広く取り揃えられていた。
流石は大商人。「殆どのものは手に入る」の言葉に偽りはなかった。
あったとしても、もっと種類が少ないだろうなんて甘い見積もりをしていた俺がバカらしくなるくらいには品揃え豊富だ。
だがここで、一つ問題が生まれた。
(俺、防具の選び方なんて知らねぇじゃん……)
当たり前と言えば、当たり前である。
元の世界では剣道をやってたとは言えど、剣道の防具で真剣から身を守れるとは思わないし、魔獣相手なら尚更である。
それに、ああいった防具をつけて冒険なんぞしようものなら動けなくなって即刻お陀仏……。なんて展開も想像に易い。
(となると選ぶべきは、「軽さ」と「動きやすさ」だな。軽いだけでも、動き易いだけでもダメ。両方を兼ね揃えてそうな物は……)
そう思って俺が周囲を見渡すと、いくつか該当しそうなものが見つかる。
(「革鎧」に「部分鎧」かな。)
服に近い感覚で装備できそうな革鎧もいいが、胸当てや籠手のように部分的に装備するような鎧も動きやすさでは良さそうである。
「ゴランさん、革鎧を見せて欲しいです」
「おう!革鎧だな、こっちに置いてある。付いてきな」
そしてゴランさんの後についていくと、革鎧が専門に展示されたコーナーへ着く。
そこには多種多様な革鎧があった。
革鎧の代表ともいえる鞣し革のレザーアーマーをはじめとし、膠を貼り重ねた軽鎧。革に鱗を貼り合わせて作られた鱗鎧、分厚い革を使った胸当てや胴、それに籠手といった部分鎧もある。
変わり種には虫型の魔獣の甲殻を使った鎧や、硬い毛皮をそのまま加工した鎧なんてものもある。
(いや、最後のやつってまんま見た目山賊しゃねぇか……)
そんなツッコミを心の中で入れながらちょうど良さそうなものがないかを一つ一つ見ていく。
すると、不意に後ろから肩をトントンとたたかれる。振り向くと、レントさんとジハッドのおっさんがいた。
「ダイチさん、僕と師匠もいくつか良さそうなのを見繕ってきますよ!」
「おう!鍛冶師の目を舐めんじゃねぇぞ!」
「ははっ!最高のをお願いしますよ」
「任せとけってんだ!」
「任せておいてくださいよ!」
そう言って俺に向かってガッツポーズのように拳を掲げると、2人は別々に別れて鎧を見に行った。
(さて、俺も良いのをを探しますか)
そうして俺も防具を手に取り見始めた。
しばらくして、いくつかの防具に目星をつけて一度それらをまとめて持ってきた。
1つ目の防具は、厚手の革をフード付きコートのように仕立てた灰褐色の革鎧だ。革の厚みが気になるかと思ったが、コートのような形状が幸いしてかとても着やすい仕上がりになっている。
ゴランさん曰くこの鎧は大蛇の魔獣の革から作られており、同種の革鎧よりも軽く切断に強いらしい。防水性、魔力耐性も高く並大抵ではこの革鎧を破ることはできないらしい。
2つ目の防具は、騎士らしさを感じられる白銀の軽鎧だ。見た目よりもかなり軽いが、ペラペラのアルミ製……という訳では無い。
なんでも、これは『刻印魔法』を施すことで鉄製の防具を軽量化する魔法を装着時にのみ装備者の魔力を用いて展開してくれるらしい。
このシリーズの防具は、比較的安価且つしっかりとした鉄製で刻印魔法を除けば修理も楽。使い込めば使い込むほど味の出る人気の一品だそうだ。
3つ目の防具は、艶のある黒い鱗鎧。見た目的には……勇者ってよりも、暗殺者って言うのが正しいかもしれない。
この鱗鎧はゴランさんの現在のイチオシで、滅多に手に入らない『黒いワイバーン』の革と鱗をふんだんに使った鎧だそうだ。
ワイバーンの素材はどれも鉄に勝る丈夫さと革の半分ほどという軽さを持ち合わせ、竜種である故に非常高い魔力耐性と耐火性を誇る。しかし、寒さに弱いらしくそこさえ注意すれば最高らしい。
防具の見た目的には個人的に一番気に入っているものだ。
俺が持ってきたのはこの3つだ。
そして、ここからはレントさんとジハッドのおっさんが持ってきてくれた防具。
まずはレントさんの選んだ防具から。
レントさんが選んでくれたのは、魔狼の毛皮を用いた革鎧。全体的に魔狼の毛皮があしらわれているため、見た目はかなりワイルドだ。
この鎧に限った事じゃないが、魔獣の素材を使った鎧は大体が普通の鎧よりも大幅に頑丈で、壊れた時に直しにくいという特徴を持つらしい。しかし、そんな魔獣の革鎧の中でもメンテナンスし易く直しやすいのがコレなんだとか。
魔狼の毛皮なので防寒性が高く、尚且つ魔獣のブレスも防いでくれるという話だ。
次にジハッドのおっさんの選んでくれた防具。
ジハッドのおっさんが選んでくれたのは…………なんていうか、『鉄の塊』って感じの鎧だ。
全身を覆う鎖帷子の形になるように、辞書のように分厚い鉄の板が頑丈そうな革と鎖で繋ぎ合わされている。見るからに防御力高そうだけど、重そうだ。というか重い。
…………おっさん、コレきたら動けないと思うんだけど?
え?なに?軽量化の魔法かかってるから大丈夫?それでもダメなら気合いで補え?
そんなん通用するの、おっさんとかドワーフだけだと思うよ?
固さは折り紙つき?地竜の噛みつきにも耐える?
ンなもん見りゃわかるよ。そうだろうね、だけど地竜と戦う前に地形に殺されるよ。
…………若干変な鎧はあったが、この5つの中から選ぼうと思う。
まずは1つ目の鎧を試着する。大蛇の革鎧だ。
「どうかなコレ?動き易いと思うんだけど……」
「はい!いいと思いますよ!」
「うむ。……ところでゴラン、コレ殴ってみても良いか?」
「ん?別に構わねぇけど、壊すなよ?」
「軽くだ、軽く」
そう言った瞬間にジハッドのおっさんは俺の腹部をめがけて拳を……って、ファ!?
急いで身を翻して躱す。あっぶねぇ……
「何しやがるおっさん!」
「ふむ、機動性は良いの。ほら、次だ次!」
……全く納得いかないけど、おっさんに促されるままに次の鎧を着る。
2つ目は騎士甲冑風の鎧。軽量化の魔法がしっかり発動してるからか、ほとんど重さを感じない。
「す、凄え!?軽いぞコレ!?」
「だろう?凄えだろ!?ウチの鎧の中ではかなりの人気商品だからな!」
あまりの軽さに驚いてピョンピョン飛び跳ねる俺に、ゴランさんが自慢するように言う。
……てかコレ本当にすごい。さっきの革鎧よりも軽いぞ。魔法って凄いな。
「どれ……よっ!」
そしてまたしても俺を殴ろうとするおっさん!今度は軽いけど、仮にも鉄製の全身鎧。思うように動けず一撃を貰ってしまう。
「うグッ!?…………あれ?」
「お?思ったよりも通らんかったな」
回避しようとして体勢を崩したところにくらったから少し痛いが、鎧がしっかり軽減してくれたのか思っていたほどでもない。
鎧ってこんなに凄いのか………おっさんのパンチは素人目にも凄い威力がありそうだったし、実際の衝撃も結構あったんだけど鎧のおかげか殆ど痛みもなく済んだ。
続いて3つ目の鎧、ワイバーンの黒い鱗鎧だ。見た目的には前の世界にあった『某狩人ゲームの鎧』に近い。コイツが一番気に入っているし、ゴランさんイチオシと言うこともあって期待は大きい。
「うん、これも安定して動き易いな。流石は会頭イチオシか」
「おうよ、ソイツはただ素材が良いだけでなくソイツを作った職人も一流の革職人だ。……見てみな、関節や腰のように可動部分には伸縮性のあるワイバーンの翼膜を使ってある」
ゴランさんの言うように見てみると、肘、膝、腰といった関節部には固いゴムのような質感の革でできている。
これがワイバーンの翼膜かぁ。なんだか思ったよりも知っている質感に近いのが残念だけど、それでも男のロマンからくる興奮はある。
それに、この鎧はどうやら本当に良いものらしくこれまでの2つの鎧と打って変わって着やすさやデザインが重視されているように思う。
「お?気づいたか?その鎧はワイバーンの素材がふんだんに使われているから、魔力を流すと並の鎧の何倍も丈夫になる。その分装飾や着やすさに力が入っているのさ」
俺が鎧の模様を見ているのに気づいてか、ゴランさんがそう言ってくる。
「なるほど、装飾が多いのは余裕があるからなんですね」
「まぁ、そういうのを入れるのは大体が貴族や騎士達の見栄が殆どだけどな」
まぁ、そんなもんだろうな。確かに見た目のカッコいい鎧の方がいいだろうけど、それで鎧自体の性能を損ねたんじゃ元の木阿弥だろうし。
そして4つ目、レントさんの選んでくれた鎧だ。魔狼の毛皮を用いた革鎧。デザイン的には黒いワイバーンの鎧と同じくらいカッコいいと思うが、実用性は如何程かな?
そう思って着始めたが、この鎧毛皮を用いているからかパーツが多くてちょっと着るのが面倒だ。肩部にある毛皮のゴワゴワとかも少し気になる。
だけどこの鎧、動き易い。パーツが多いからかその分駆動部が多く、選んでいた他の3つよりも動きを妨害される感覚が少ないのだ。
「ちょっと着るのが面倒だったけど、動きやすさはピカイチかもしれないな」
「でしょう?ダイチさんが先ほどボソボソと言ってた内容を少し聞いてたので、動き易いものにしてみました」
「あれ?俺独り言を言ってました?」
「はは、考えがほんの少し外に漏れてただけですよ」
レントさんはそう言って笑ってくれたから良かったが、不快に思われてたら嫌だな。今度から気をつけるか……。
それはさておいて……。
さて、どの鎧を選ぼうかな?
……え?まだおっさんの選んだのが残ってるって?何いってんだよ、あんなのは人間が着る物じゃないよ……。
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「さて、どれにするか選んだかい?」
ゴランさんがニヤニヤと含んだ笑みをしながら俺に聞いてくる。
「はい、俺はコイツにしようと思っています」
そう言って俺が取り出したのは…………
終わり方に『?』と思った方がいらっしゃるかと思うので一応の説明をば。
別にこれは話が途切れているわけでなく演出ですのでどうかスルーの方針でお願いします。
感想お待ちしております。




