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俺らはあの日、聖霊皇になった。  作者: スペアリブ
水の聖霊皇編 2
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国王との謁見

ゔぁぁぁ!間に合ったぁ!!

ストックが切れたのでかなりギリギリです…


という事で、しばらくストック溜めに走るので来週からの投稿が不安定になる…かも?


あぁ、早く親バカ共活躍させたいんだけどなぁ…




勇者一行は今、王城の執事に連れられ謁見の間へと向かうべく王城の中を歩いていた。


王城の中は、一言で言えば別世界だった。

見たこともないような白と黒の艶石で出来たタイル張りのモザイク床、一本一本に緻密な動植物の細工が施された柱、天井には赤、緑、青、黄の光が乱反射し白く混ざり合ったシャンデリアが辺りを照らす。

白い壁は見渡す限り汚れ1つなく、壁には黄金の額縁に入れられた、これまた見事な絵画が飾られていた。

廊下に飾られた調度品もまた、素人目には価値のつけ難いほど見事な品々でその物珍しさもさることながら、惜しげも無く金をふんだんに使った杯や一体どんな金属を使っているのかもわからぬ玉虫色に輝く鎧など、どれもが元の世界で見るような品々とは全く異なるものばかりだった。


(凄い……城の外観や城下町の様子からこの国がいかに発展しているかは分かっているつもりだったが、俺はまだまだこの世界を甘く見ていたようだ……)


大地は今、素直にそう思っていた。

周りの様子を見るに、おそらく薫達3人も同じような事を考えていたのだろう。さっきまでの驚きの表情から一変して彼女たちの顔は神妙になっており、自分たちがまだこの世界のことをほとんど何も知らないと思い知らされたような気持ちになっているはずだ。


その時、ふと執事が勇者一行に問う。


「勇者様方は、はるか遠方のガルアより『土の試練』の為この国を訪れられたと伺っておりますが、『土の試練』に関してはどの程度ご存知でいらっしゃいますか?」

「土の神が数年前に突如開いた洞窟のようなもの……とだけ伺っています」

「ふむ、大まか合っておりますな。それでは勇者様方は、魔獣との交戦経験は如何程に?」

「ガルアはあまり魔獣が出没しないので、数えるくらいしか経験が無いです」

「成る程、確かにガルアは島国故にあまり多くの魔獣が出る場所ではありませんでしたな。となれば、勇者様方は経験を積まれるために『土の試練』を訪れたのですな?」


執事は世間話をするような気軽さで勇者一行に次々と質問をしていく。

それにやや戸惑いながらも、緊張がほぐれて来たのか大地たちは少しずつ硬い口調を和らげていった。


「そうですね、目標の為には『土の試練』で経験を積まないといけないとアウグストゥス陛下から言われていまして……」

「そうですか、して、その目標とやらをこのしがない爺めにお教え頂けませんかな?」


執事は茶目っ気たっぷりにウインクなんぞをしながら聞く。

その仕草に思わず吹き出しそうになったのが若干名ほど居たが、なんとか堪えて微笑みながら執事の問いに答えた。




「実は、僕たちは別の世界から召喚されてこの世界に来ているんですよ。僕らの目標はその元の世界に帰るための手段を見つけることです」




事実、これは大地だけでなく勇者一行全員の本心であった。

今でこそこの世界を楽しんでいるが、やはり心の何処かでは元の世界への想いや残して来てしまった親兄弟が気になる気持ちが大きい。

アウグストゥス曰く「心配いらないさ」との事だが、アレがどれだけ本気で自分たちを帰そうと思っているのか全くわからない以上、自分たちの手で探す事も視野に入れているのだ。


「……ニイちゃん、バラしても良かったのか?」

「ダイチさん……良かったのですか?」


しかし、突然のカミングアウトに事情を知っていたジハッドやレントも驚きを隠せないようでいた。


「いいんだよおっさん、レントさん、それ以外に俺たちに目標らしい目標なんて無いし、こんな事で嘘をついても仕方ないからね」


そうあっけらかんと言う大地だったが、後ろの薫、美沙、さとみもその答えに満足気な表情を見せていることから、これが彼らの総意だと言うことはこれ以上何も言わずともわかることだった。


執事は、それを見て喜ばしいものを見たかのように微笑む。


「ダイチ様……とおっしゃいましたな。その絆、その信念、そしてその心意気。その若さにしてそこまで想える心に、爺めは感心いたしました。どうか、その心をこれから先も決して、決してお忘れる事の無いよう爺は祈っておりますぞ」


執事がそう言う頃には、一行の目の前には立派な木製の大扉がある場所まで来ていた。

扉の前には近衛兵と思われる2人の兵士が、短めの槍を持って立っていた。

執事が兵士達に一礼すると、兵士も答礼する。

すると執事はこちらに向き直った。


「爺めが案内いたしますのはここまでです。この奥に国王陛下がいらっしゃいます。しばらくすればこの扉がひとりでに開くと思いますので、そうしましたらばお入りください」

「丁寧な案内、感謝申し上げる」

「ありがとうございました!執事さん!」

「ありがとう、おじいちゃん」


執事はその言葉に対し一瞬笑顔を見せると、一行に恭しく一礼してそのままスッと壁に吸い込まれるように消えていった。


執事がいなくなると、先ほどまで後ろに控えていた衛兵の1人がこちらへと進んでくる。


「申し訳ありませんが、こちらで改めて御用件と紹介状を確認させて頂けないでしょうか?」

「うむ、了解した。……これを」


衛兵の言葉に従い、ジハッドは懐からアウグストゥスより預かったと思われる書状を取り出すと、衛兵に渡す。

衛兵はその書状に向かって何やら呪文を唱え、手持つ短槍を書状にかざす。すると書状につけられた家紋が光り始めた。


「………はい、確認が取れました。ようこそデルシアへ。国王陛下がお待ちでいらっしゃいます」


衛兵はそう言うと、腰から一つの小さなハンドベルを取り出す。

「リィィィィィンッ……」軽やかなその音色が響くとともに、正面の扉がゆっくりと開き始めた。

「ズゴゴゴッ……」という木製の扉にしては重厚な音を立てて扉が開いていく。






〜大地 side 〜






重厚な音とともに扉が開いた先には、俺がイメージしていたよりも何倍も煌びやかな部屋が広がっていた。

金や銀に輝く調度品もさることながら、大きなシャンデリア、贅沢な作り且つ座り心地の良さそうな玉座、どれを取っても間違いなくこれまで見て来たどの品よりも高価であろうことがわかる。


「国王陛下の御成りー!!」


衛兵がそう叫んだ先に出てきた国王陛下は、さっきまでいた執事さんにそっくりだった……




感想お待ちしております。

誤字報告などもありましたらぜひともお願いします。

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