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俺らはあの日、聖霊皇になった。  作者: スペアリブ
水の聖霊皇編 2
64/79

転移!

な、なんとか間に合った!

最近スランプ気味でなかなか筆が乗りませんが、ペース保って投稿していければと思ってます!


そしてようやくコイツら(勇者)転移させられたよ……長かった、まだまだこれからですけどね。



それでは本編どうぞ!



太陽が傾き始め、空が朱色に染まり始めた頃、ようやく俺たちは転移門のある宿場町についた。


外側を大きな石壁で隔てているような街であったが、これまで立ち寄った村々とは違い、港町に劣らないほど大きい。そして何より、外壁の外からでも分かるほどに活気のある街のようだ。


「ほれ、あそこに見えるだろう。アレが『ポート』だ」


ジハッドのおっさんが指差したのは街の中と外を隔てる門の向こう側、街の中心部にそびえ立つ『巨大な門』だった。

その異様とも言える大きさは、周囲のどの建物よりも大きく、外壁からも顔をのぞかせるほどだった。


「あれが……『ポート』?」

「すっごいおっきい!?」

「おうおう!そうだろう?何せ『ポート』ってのは龍が通っても余裕があるんだからな!」


龍がどのくらい大きいのか俺たちは知らないが、ポートの大きさや周りの建物の大きさからしても、かなり大きいことに間違いはないだろう。



それからほどなくして俺たちは外壁の門に設けられた検問所を通っていた。


「本日はどのような要件で?」

「ああ、ガルアから来たモンだが、要件はこの手紙を……」

「では、拝見致します。……拝見させて頂きました。ようこそ、サウスポートへ」


そんな軽いやり取りの後、俺たちは街の中心部の『ポート』へ向かう。

近づけば近づくほど、『ポート』がどれほど大きいのかがありありとわかる。手前まで来ると、見上げるほどに大きいのだ。


「これからの予定を説明するぞ!今日はもう転移はやってないだろうから、予定通りに明日の朝一だ。今日のところは予約を取って宿に行く!俺はこれからポートの予約へ向かうから、バカ弟子!お前はいつもの宿に行っとけ!」


ジハッドのおっさんは言い終えるや否や軽い身のこなしで馬車から降りると、一人『ポート』の元へと向かった。


「はい師匠!それじゃあ、皆さん。師匠行きつけの宿に向かいましょう!」

「へぇ、おっさんの行きつけの宿なんだ」

「はい!そこはここらでは一番古い宿で、だいぶ値が張るんですけど、サービスも料理も一級品なんですよ!きっと皆さんにも気に入っていただける筈です!」

「それは楽しみね!あのジハッドさんのお気に入りなら期待できるわ」

「そうですね。ジハッドさん、そういうのにうるさそうですもんね」


そんなこんなでレントさんと5人でワイワイ話しながら馬車に揺られること数分、目当ての宿が近づいて来た。

木造の素朴な外見の宿は、一見古臭く見えるが手入れが行き届いていて綺麗だ。


宿の前まで来ると、こちらに手を振る女の人を見つけ、レントさんはそれに応じるように手を振る。


「おーい!おーい!こちらですよぉー!」

「ご無沙汰してます、女将さん!本日はお世話になります!」


(……女将さん?)


それを見た俺たちの頭には『?』が浮かんだ。

何故ならレントさんが挨拶した女将さんは、どう見ても『小学生くらいの幼女』だったからだ。

やや日焼けたような小麦色の肌に、俺の腰丈より少し高いくらいだろう背丈、ぷっくりとした柔らかそうな肌。まさしく『幼女』だろう。


「久しぶりだねぇ、レントさん。ありゃ?ジハッドさんはどうしたんだい?」

「ああ、師匠は『ポート』に予約を取りに行ってます。すぐ来ると思うんで、料理の準備をよろしくお願いしますね」

「ああ!任せときな!ダンナには腕によりをかけるように言ってあるからね!」


なんだか俺たち抜きでトントン拍子に進んで行く話についていけずにいると、レントさんが思い出したように振り向いた。


「あ、そうでした。女将さん!ガルアから来た方々で、明日試練の街に行く皆さんです!」

「ど、どうも、初めまして」


なんだか突然話を振られたせいでぎこちない挨拶になってしまった……


「おお!そうかいそうかい!アンタ達が試練の街に行くのかい。がんばりなよ!」

「あ、ありがとうございます!」

「ところで、女将さん。1つ聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」


もう聞きたくて仕方ないといった様子の薫が率直に女将さんに質問する。




「失礼ですけど……女将さん、おいくつですか?」




一瞬、レントさんと女将さんの時が止まったような静けさが走るが、合点がいったような女将さんの仕草の後、すぐにそれも霧散した。


「ああ、もしかしてアンタ達。ドワーフを詳しく知らないんだね?たまに居るんだよそういう子も」

「いやぁ、すみません女将さん。僕からあらかじめ言っておけば良かったですね」


そうして女将さんがドワーフ族について語ってくれた。


「いいかい、ドワーフ族の女ってのはね人族でいう10歳くらいの段階で成長が止まっちまうのさ。偶にそれ以上に育つ奴もいるけどほとんどはアタシらぐらいで一生を過ごす。ドワーフの一生は長いし、女はこんな容姿だからドワーフの女と話すときは気をつけるんだよ?子供扱いされると機嫌悪くしちゃう子も多いからね」


ドワーフ族……まさかのロリBBA族だったのか……夢が膨r、ゲフンゲフン。対応に気を付けなくちゃいけないな。


見れば後ろでは薫や美沙達が驚きで固まっているのが分かる。


「そ、そうだったんですか。不躾な質問をしてすみませんでした」

「何のなんの、いいってことよ。ささっ、立ち話はこの辺にして宿にお入り」


女将さんに俺が謝るも、優しく俺たちを迎え入れてくれた。

肝っ玉母さんって感じだな。ドワーフ族の女の人ってみんなこんな感じなんだろうか?


宿に入ると、温かみのある木造で、ろうそくと魔道具の優しい明るさに包まれていた。まだ宿に入っただけだというにもかかわらず心が癒されて行くように感じる。


「レントさん、ご予約のお部屋は二階の階段よりの2部屋ですよ。鍵はこれです。お夕食はジハッドさんが戻った頃に致しましょうか。お風呂はいつも通りで早めに入ってくださいね」

「わかりました。みなさん、まずは部屋に荷物を置い来てください。その頃には師匠も帰ってくると思うので、それから夕食にしましょう」


俺たちはレントさんに従い、まずは借りた部屋へ行くことにした。

ちなみに部屋割りは俺とレントさんとおっさんで一部屋、美沙と薫、さとみ達で一部屋である。



部屋に荷物を置いてすぐに俺とレントさんは宿の一階にある食堂に来ていた。


「温かみがあってとても落ち着く宿ですね」

「そうだろう?気に入ってもらえて僕も嬉しいよ。ここの宿の料理は親父さんが作っているんだけど、これがまた美味しいんだよ」


なんて2人で話していると、宿の玄関が開く音がした。


「おう!いつも世話になってるな!ジハッドだ!」

「あらジハッドさんいらっしゃい!お連れさん方はもう到着なさってますよ」


そんな会話が聞こえてきた。


「おっと、師匠が来たね。すまないダイチくん、僕は師匠を部屋に案内して来るよ。キミはカオルさん達が来たら席に案内してあげてほしい」

「わかりましたレントさん!いってらっしゃい」



それから程なくして食堂に全員が揃った。

テーブルにはパンとサラダ、それからシチューといった料理が並び、質素ながらもとてもいい匂いが食堂に漂っている。


「さて、今日はご苦労だった。明日はいよいよ転移だ、朝早い時間の転移に予約できたから今日はゆっくり休んで英気を養って欲しい。それでは頂こう」


ジハッドのおっさんがそう締めくくると、みんなが一斉に料理を食べ始めた。


「おお、これだ。このシチューが美味いんだ」

「そうですね師匠。やはり親父さんのシチューは最高です」

「おいし~い!ミサ、今までこんなシチュー食べた事ない!」

「本当に美味しいわね。野菜が甘くて美味しいわ」

「このパンもふっくらサクサクで、シチューによく合いますよ」


みんな思い思いに料理を味わっているが、俺から言えるこの料理への感想は一つだ。


『美味い』


月並みべったべたなセリフかもしれないが、そうとしか言えないのだ。このシチュー1つを取っても、高そうな肉が入っているわけでもないのに濃厚な生クリームのようなクリーミーな旨みが口いっぱいに広がる。

だからこそ、これしか言えない。


その後、俺たちは時間を忘れたかのように食事に没頭し、宿のお風呂に入ってみんな早めに寝たのだった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






翌朝、まだ薄暗い時間帯から俺たちは旅支度をしていた。

窓から覗く外は冷え込んでいるのか朝靄がかかっている。


「さ、みんなこれを持ってお行き」

「なんですか、これは?」


旅支度を整えた俺たちに女将さんが、ひとりに一つずつ小さな包を渡してくれた。


「ウチの宿特製のお弁当だよ。中身は開けてのお楽しみさ」

「わぁ、ありがとう女将さん!」

「おお、これは有難い。すまねぇな女将さんよ」

「何言ってんだいジハッドさん、こんなの毎度の事じゃないか」

「親父さんにもお礼を言って置いてくれや」

「本当にありがとうございます!」

「イイってことだよ!それよりもアンタ達、土の試練頑張るんだよ!」


そう言うと女将さんは俺たちひとりひとりの背中をバシバシと叩いて激励してくれた。


「みなさん、馬車を持ってきました。足元に気をつけてお乗りください!」

「それでは女将!本当に世話になった!」

「ありがとうございました!」

「気をつけてね!必ず元気で帰ってくるんだよ!」


こうして俺たち一行は、女将さんに見送られながら街の中心にある『ポート』へと向かって行った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






程なくして『ポート』に着くと、そこには既にある程度の馬車の列が出来ていた。

『ポート』は大きめの馬車が横に6台並ぶくらいには広く、馬車の列は初めに並んでいたのだろう、その6台に習うように並んでいた。

それに倣って列に並んでいると、すぐに検問の兵士達が馬車へとやってくる。


「書状か予約札をお見せください」

「これだ、書状もいるか?」

「いえ、確認が取れましたので結構です。本日のポートの開門時間は魔石が多く支給されましたので10分となっております。列に並んでお待ちください」

「おう、ご苦労様」


ジハッドのおっさんが代表して手続きを終えると、いよいよ『ポート』が開く。


「さて、ニィちゃん達。よぉく見ておきな!」


ジハッドのおっさんがそう言ったその瞬間だった。



ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!



地響きにも似た腹の底に響くような低い音が聞こえ、『ポート』が徐々に開いていく。中からは温かな虹色の輝きが溢れ、その先は見えない。


「レント!馬車を出せ!飛ぶぞ!」

「はい!師匠!」


『ポート』が開くのに合わせて並んでいた馬車が一斉に進み始めた。




そして俺たちは、『ポート』を潜った。




〜side out〜






〜???side 〜




「HQ!HQ!こちらコードネームフレイム!ターゲットはポートで移動した模様!現在地はフクオカポート!」

「こちらHQ、把握した。魔力追跡の結果、転移先はチバポートだと思われる。引き続き追跡せよ」

「こちらフレイム!了解っス!……ところでHQ」

「こちらHQ、なんだフレイム?」

「コードネームツリーに聞いたんスけど、HQも熱操れるんスか?」

「それがどうしたというんだフレイム?」

「……………」

「フレイム?どうした?フレイム?」

「オレッチいいとこナシじゃ無いっすか!?なんなんすか!アクアもHQも揃って自分のアイデンティティ奪わないで欲しいっす!」

「い、いや、お前は俺たちと違ってもっと色々できるんだろ?」

「ああ、このサーモグラフィーみたいな視界っスか?こんなんあんまり役立たないっス!だいたいなんすかコレ!自分はプレ○ターっスか!?」

「(ま、不味い、逆鱗に触れたか…?)」

「もう!とにかく今は任務を続けるっス」


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