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俺らはあの日、聖霊皇になった。  作者: スペアリブ
水の聖霊皇編 2
52/79

出立〜前編〜

ものすごく暑い日が続いてますね…

暑さに弱い私にはかなり辛いものがあります…


そしてこんな時に無くなるストック…


忙しさも相まってしばらくは定期投稿できないです…申し訳ありません。



それでは本編どうぞ!



あれから3ヶ月ほどの時間が流れた。

勇者達四人はガルア帝国の重鎮である騎士団長ゴードンと魔術師団長ソルトの2人からビシビシと鍛えられ、たった3ヶ月で鍛えられたとは思えない程の成長を遂げていた。


今、勇者達は謁見の間にてガルア皇帝アウグストゥスから激励と旅の内容についての説明を受けていた。


「勇者くん達!良くぞ…良くぞここまでの厳しい道程を耐えきった!!私には初めて会ったキミたちの何倍も今のキミたちの方が輝いて見えるよ!」


心から嬉しそうにそういうアウグストゥスの目は少し潤んでいるようにも見えた。


「さて、堅苦しい挨拶に激励はここまでとしよう。それじゃあこれからキミたちに向かってもらう旅の概要を説明するとしようか」


そういうとアウグストゥスはパチンと指を1つ鳴らす。

するとどこに控えていたのか黒子のようなものを着た人物が現れて大きく広げられた地図を持ってくる。


「この地図を見てもらいたい。キミたちや僕がいるのがここの端にあるこの島国だ。キミたちが倒すべき目標である水の魔王がいると思われるのが…この海域だ」


そう言って指し示したのはガルア帝国のある島国と大陸の間の海域だった。


「この海域の南側が奴の住処だと思われる。しかしこの3ヶ月超えたキミたちでもまだ魔王討伐は厳しいだろう。何故だかわかるかね?」

「俺たちにはまだ圧倒的に経験が足りない…そうだろ?アスおじさん」

「ふぐぅッ!?…そ、その通りさ、大地くん…」


サラッとアウグストゥスの精神に深手を負わせると大地は少し満足したかのような顔をする。


「それではプランを話そう。キミたちはこれからこの海域の安全な北側を通って一度大陸に上がって欲しい、大陸に上がってすぐにある港町には『ポート』と呼ばれる古代の遺跡があってこれを利用して大陸中央の我が国の友好国である『デルシア王国』その町の1つである『試練の町』へ向かってくれ」


アウグストゥスは真剣な表情で地図を指し示しながら丁寧に勇者達に説明していく。


「その『試練の町』には、土の神が作ったと言われる『土の試練』と呼ばれる洞窟へ行き、そこで鍛えてくるんだ。かの国の国王へは既に連絡がいっているから、楽しんでくるといい!」


皇帝アウグストゥスは無駄に芝居掛かったように両腕を広げ、ウザ…爽やかにそう言う。

すると美沙が手を上げてアウグストゥスに質問する。


「そういえばアスおじさん、船旅ってどのくらいかかるの?」

「んぐッ……っなに、船旅自体は我が国自慢の『魔導船』を使ってもらうから大陸までなら2日で着く。そこからの道程も『ポート』を利用すれば一瞬さ!」

「ならその『ポート』っていうのはどんなものなの?アスおじさん」

「ぐぁッ…キミたち、僕に恨みでもあるのかい?…『ポート』っていうのは、世界中のいたるところに存在する門の形をした謎の遺跡さ。今発見されているのが47個あるらしいが、そのどれもがそれぞれにつながっていてつながって欲しい門をイメージして魔力を注げばその場所にいけるらしいのさ。『ポート』には必ずそのポート専属の魔術師がいてキミたちを転送してくれる筈さ」


そこまで言い終わるとアウグストゥスは勇者達を見渡して言う。


「さて、他に質問はあるかな?遠慮なく言ってくれたまえ、大事な旅だからね」

「なら俺から、2つ質問がある。1つ目は俺たちがこれからいくデルシア王国がどんなところなのか。2つ目は『土の試練』とはなにか。これを聞きたい」


大地が質問するとアウグストゥスは少し考えるように両腕を組むと少しの間をおいて話しだす。


「ふむ、そうだね。まずは1つ目の質問から答えようか。先ほど地図を見てもらった通り、『デルシア王国』はこの世界で最も大きな大陸。『グレート大陸』の中心に位置する国さ。歴史も古く、学者達の中には『デルシア王国のあった場所に世界で最初の集落があった』なんて説を唱える者もいるくらいだからね。さらに詳しく知りたければこれを見てくれたまえ」


そう言ってアウグストゥスはまたパチンと指を鳴らす。

すると先ほど同様に黒子が出てきて『デルシア王国記』と書かれた歴史書を大地に手渡す。

中をパラパラと斜め読みしてみると先ほどアウグストゥスが話した内容と似たような内容が記述されていた。


「納得してくれたかな?では、2つ目の質問に移ろうか」


そしてアウグストゥスはまたパチンと指を鳴らす。

すると今度は黒子ではなく老齢のドワーフの男が入ってくる。老齢とは言ったものの、150cmほどの身長から見て取れる腕や胸、脚には、はち切れんばかりの筋肉がついているのがわかる。


「おう、アス坊。俺に用事だって?」


ドワーフは入ってくるなり後ろに控えた黒子が差し出した椅子にドカッと座る。すると頑丈そうな椅子の軋む音とドワーフがどこからか取り出した酒瓶を開けるギュポンッという音が響く。


「ジハ爺、アス坊はやめてくれって言ってるじゃないか。僕はもう立派な大人さ!」

「ヘッ、言ってろアス坊。俺から見りゃテメェごときまだまだガキンチョもいいとこよ」

「そりゃあジハ爺と比べれば誰だって子供同然だろうさ…あれ?ジハ爺今年で何歳になるんだっけ?」

「まだたったの380だボケ!まだまだ俺ぁ現役バリバリの年だろうが」


勇者達は、唐突に始まったドワーフとアウグストゥスの会話に半ば呆然となる。


「まったく、ジハ爺はいつになっても変わらないなぁ…」

「うるせぇアス坊。で、今日は何の用事だったんだ?」

「ああ、そうだ!久々の会話に夢中になってしまった!悪かったねダイチくん達!紹介しよう、彼はジハッド。この国一のドワーフの大親方で『土の試練』に関してもよく知っている人物さ」


アウグストゥスが連れてきたジハッドという老齢のドワーフは持ってきた酒を一口あおると勇者達に向き直る。


「俺がこの国の鍛冶場全ての大親方ジハッドだ。なんでぇオメェら、土の試練に行くのか…ってニィちゃん、お前さんあん時のニィちゃんだろ?」

「ま、まさかこの剣を売ってくれたおっさんか!?」


ジハッドと大地は互いに指差す。


「おお!やっぱりそうだ!どうだいその後の調子は?ちゃんと女を守れているか?別嬪さんばっか連れやがって、この色男め!」

「ちょっ!痛ぇし酒くせぇよおっさん!それよかおっさんよ。この剣金貨30枚もするって聞いてさ!良かったのか?俺に銀貨3枚なんかで売って…」

「ガハハハッ!ったりめぇよ!良い剣は良い剣士に使ってもらってナンボ!それに、あのままじゃいずれは何処ぞのボンボンの蔵の肥やしになっちまってたろうよ」


笑いながらバンバンと音がなるほど大地の背を叩きつつジハッドは嬉しそうに酒をあおり始める。


「ところでジハ爺、ジハ爺にはダイチくん達をデルシア王国の土の試練まで案内してもらおうと思ってさ」

「ふむ、なるほどな。このニィちゃん達ならええじゃろう。ワシの見込みもあるしな」


ジハッドはニカッと笑いながら大地を見る。


「で、アス坊。出発はいつなんでぇ?」

「ああ、出発は明日を予定しているんだ。ジハ爺もそれでいいだろう?」

「アス坊テメェそういうのは先に許可を取ってから話やがれ!…まぁいいがな」

「ダイチくん達、ジハ爺はこんな呑んだくれでも昔は竜をも狩るほどの冒険者だったんだ。これを機に、いろいろ教えてもらうといい」

「呑んだくれとはなんだ!呑んだくれとは!…ったく、小僧っ子共といい近頃の若ぇのは礼儀ってモンを知らんのか」


赤ら顔でブツブツと文句を垂れるジハッドであったが、少しすると文句をやめて立ち上がる。


「そんじゃあ俺は明日の出発に向けて準備してくる。集合場所と時間は?」

「ガルア第3港に10時で頼むよジハ爺。魔導船を用意してあるから普段よりも快適なのは保証してあげよう」

「フンッ、あのアス坊が随分とエラくなったモンだな。わかった、じゃあ明日な!ニィちゃん達!」


ジハッドはまた酒をあおり「ガハハハ!」と愉快そうに笑いながら帰っていった。


「な、なんだか…」

「嵐のような人でした…」

「ミサもそう思うの…」

「おっさん…」


酷く疲れた勇者一行を残したまま…



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