木の神殿?
うわぁぁぁぁぁあ!!
すっかり投稿忘れてしもうたわぁ!!
うぅ…申し訳ありません、遅れ馳せながら投稿いたします…
〜勇者side〜
アルマとの話を終えた勇者一行は最後の目的地である、「木の神殿」へと向かった。
木の神殿は、他の二つの神殿とは決定的に違うところがあった。それは神殿全てが「木製」なのである。木目の綺麗に整った一枚板だけが用いられた神殿は、「神殿」というよりは、鳥居こそないものの「神社」のような形をしていた。
見事なまでの権現造の神社は、他の神殿に負けない大きさで、尚且つ元の日本では不可能であろうほど太く大きな木が用いられていた。
「こ、これは…?」
「神社…だよね?」
「ああ、神社だな…」
「神社だねー…」
勇者一行はつい最近までいた日本の神社とほぼ同じ建造物に、言葉を失うほど驚いていた。
「と、とりあえず…入るか?」
「そ、そうね、とりあえず入りましょう」
神社のような神殿へと入ると、入り口は階段になっており、下足入れと思われる棚には靴が入っていた。
「これ、脱ぐのよね?」
「たぶん…そうだとおもうよ?」
異世界で感じる日本に戸惑っているものの、勇者一行は下足入れに靴を仕舞い、神殿へと上がっていった。
神殿の扉を開き中へ入ると、肌に張り付くような厳かさをピリピリと感じる。見事な畳が敷かれた神殿内は、神殿の奥から優しく吹くそよ風に乗ってい草のいい香りが爽やかに漂う。
そよ風の吹いてくる神殿の奥は一段上がって神官たちのみが入れる空間、そして更に奥にはまた一段上がって、新緑のような明るい緑色の龍の像が鎮座していた。
威圧感はなく、どこか優しい母に包まれたような落ち着いた感情にしてくれる雰囲気を放つ像からは、先程から感じているそよ風が吹いていた。
「……すごい」
「…ああ…すごいな」
「…」
「…やさしい香り…」
先の二つの神殿とは全く異なる雰囲気とその優しくも厳かな空間に勇者一行は圧倒されたのだった。
〜大地side〜
俺たちが最後に向かったウイドル教の「木の神殿」は俺たちが召喚されてくる前に居た、日本の神社そのものだった。
(どうなっているんだ?まさか、俺たち以外にも日本から召喚された人がいたとでもいうのか?)
俺が考え始めようとしたその時、扉の奥から優しいそよ風が吹いてきて懐かしい匂いが俺たちを包み込む。
まるで母さんに抱かれたかのような暖かいような優しいような感覚が過ぎ去ると、目の前には一面に広がる畳張の床。その奥には緑色の龍の像が大きな丸太に巻きつく形で鎮座していた。
俺たちがその像に見とれていると、奥から巫女服の黒髪の女の子が歩いてくる。
(アルマさんが巫女服のような物を着ていたからあまり驚きはないが…こちらは正真正銘巫女服のようだな。ん?あの女の子…)
「…ねぇ、大地。あの子もしかして…」
「…ああ、だろうな」
俺が異変に気づくと同時に薫も気がついたらしい。美沙とさとみさんは未だ龍の像に見惚れているようだ…
「あの…すみません、参詣の方ですか?」
やや控えめにそう聞いてきた少女の耳は『尖っていた』。
(やはり、この子はエルフだったか…)
「はい、こちらの手紙を読んでいただけると要件が伝わるのですが…」
「わかりました、お預かりしますので少々お待ちくださいね?」
そう微笑んで少女はまたすぐに神殿の奥へと向かっていった。
「大地、エルフって金髪じゃないの?」
先程からツッコミたくてウズウズしていた薫がそう言ってくる。
「いや、なにも金髪と決まった訳じゃないだろう…まぁ、エルフといえば金髪、みたいなイメージはあるけどな」
よく見てみると、巫女服姿の女の子はみんな黒髪ロングである。神官さんの中には金髪の人もいるが、そちらもほぼ黒髪の人ばかりだ。
(街で見たエルフの人々は殆ど全員金髪だった…それ以外の人でも銀色っぽかったりピンクブロンドだったりで、黒髪は居なかったはず…何故だ?)
暫く考えてみるも筋の通った答えが出るはずもなく時間が過ぎる。
すると少女が神主と思われる立派な狩衣を纏った黒髪のエルフの男性だった。
「勇者様一行とは存じておりませんでした故、無礼を働いたことお許しください」
「い、いえ頭を上げてください。俺らはそんなに畏まられる様な人間じゃありませんから…」
何とか神主さんを説得して顔を上げて普通に対応してもらうことが出来た…
紹介状程度の手紙だったはずなのに…行く先々で頭を下げられる。
あの皇帝め、いったいどんな内容の手紙を書きやがったんだか…
「こほん…では、改めまして。ようこそ、ウイドル教の神殿へ。私はこの神殿の神主でエルフのハールフォーク、気軽にハールとお呼びください。そして勇者様方をはじめにご案内しました同じくエルフのクレアです。クレア、ご挨拶を…」
「はい、ただいまハール様よりご紹介いただきました当神殿の巫女を務めておりますエルフのクレアと申します」
二人から丁寧な挨拶と自己紹介を受けてこちらも自己紹介を返す。
「自分はこの世界に召喚された勇者でダイチ・シガといいます」
「同じく、カオル・ササキです」
「わたしはサトミ・サクラバです」
「私はシガ・ミサです!」
「これは丁寧にありがとうございます。それではこちらのクレアより皆様をご案内させていただきます」
「よろしくお願いいたします」
ハールさんから俺たちの案内を任されたクレアさんは緊張した面持ちで見事なまでに直角のお辞儀をする。
おっと、その前にアレを聞かないとな…
「その前に、一つだけ質問があるのですが、エルフの方って金髪…じゃないんですか?街で見た方々は殆ど皆さん金髪でしたが見たところ神殿の方々は黒髪が殆どみたいですし」
「ああ、その事ですか。初めて来られる方は皆さんこれに驚かれるんですよ?」
ハールさんは「やっぱりか」といったような苦笑いの混じった顔をすると説明してくれた。
「我々ウイドル教は元々エルフ達が生まれたズィール島で各々の氏族達が勝手に進行していたのが始まりでした。それを纏めたのがウイドル教の始まりです。開祖は我々エルフの祖であるハイエルフ様と鬼族の族長であったとされています」
「…鬼族ですか?」
「はい、何も木の神の眷属と言い伝えられており、鬼族の長は木の神と土の神を親に持つと伝えられています。その鬼族が我々エルフにウイドル教の今の正き形態を伝えてくださったのだとか…それに敬意を表して我々神職に着く者は髪を黒く染めるのです」
なるほど、染めていたのか…
疑問が解けてスッキリしたところでクレアさんに神殿を案内してもらうとする事になった。
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