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俺らはあの日、聖霊皇になった。  作者: スペアリブ
水の聖霊皇編
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視察

眷属が増え海中をご機嫌で散歩していたある日、ふと自分の体が大きくなっているような気がした。

力を収縮させて15mほどに縮めている筈の体が30mほどになっていた。どういう事かと思い元のサイズに戻ると前まで少し遠くにあったはずの尻尾が遠くにちょこんと見えるだけになっていた。

丁度2倍くらいだろうか、なぜ体が大きくなったのか考えているとウンディーネがきて俺にこう告げた。


「ああ、聖霊皇様ご成長なさったのですね。おめでとうございます。おそらく御身体が大きくなられたのは眷属である私や妖精達が力をつけてきたからだと思います。聖霊皇は眷属の成長によっても力を得られます。それだけでなく、聖霊皇様という存在は随時司る水より魔力を得られます」


なるほど、眷属もまた俺の力の一部か。ならばこれからもますます星を生命で満ち溢れさせなくてはな。

これからもよろしく頼むよ、ウンディーネ。


「はい、よろしくお願いいたします」


そんな事を話していると、俺の寝床にしているこの星で最も深い海底の岩場に青く灯る結晶が沢山出来てることに気づく。


「それは"水の魔結晶"ですね。深海の純粋な水が強い魔力に長い時間触れ続けることで出来る魔力の塊です。聖霊皇様の寝床にある程の大きさではありませんが私の寝床にもありますよ?」


魔力の結晶か、まだまだこの世界は俺の知らない「水」があるようで少し悔しい。

どうやら魔結晶は司る力の一端が宿る場合があるらしい。俺の力の一端が下手な生き物に与えられては危険だから回収してまとめておく。


だがこの時俺は気付けなかった。回収中の魔結晶の一つがぶつかった拍子に海流に飲まれて何処かへ行ったことに…


そのあと、ウンディーネに誘われて眷属セイレーンの歌を聴きに行く事にした。彼女は夜によく珊瑚礁の海の底で歌ってるのだという。

「〜♪〜♪〜♪」澄んだ綺麗な歌声が夜の閑かな海に響き渡る。いい声だ。近づいて行くと周りにはたくさんの妖精や精霊、俺の眷属たちや海の生き物たちが集まってきていた。


「ご静聴ありがとうございました」

歌が終わり彼女の元へと行く。

「素晴らしい歌声だったよ、また聴きに来てもいいかな?」と問うと。

「聖霊皇様、是非もありません。どうぞまたいらしてくださいね。」

と笑顔で応えてくれた、また聴きに来ようかね。


これを機に他の眷属たちはどうしてるか見に行く事にした。ウンディーネは今日は妖精達を集めて何か仕事があるらしいので一人だ。

今日は寝床からほど近いクラーケンの住処に行ってみる。

音もなく暗く冷たい深海だが俺からすれば閑かで寝心地の良さそうな所である。

クラーケンはどうやら俺が来たことを察したようで出迎えてくれた。


「聖霊皇様、ようこそぼくの住処へ。あんまりおもてなしもできませんがゆっくりしていってくださいね〜」


クラーケンはそう言うと海底を2本の触腕で綺麗に掃除してくれた。ありがたく座らせてもらい、共に少し眠るとしよう。


2日目今日はポセイドンに会いに行く。彼は海のあらゆることを知るために常に移動している。

だが水のある所は全てを俺の領分だ。だからどこにいるかなど手に取るようにわかる。どうやら今ポセイドンはここから遥かに南の海の沖にいるようだな、さて何か新しいことでも見つけたかな?

聖霊皇の力で水のある場所ならどこへでも移動できるという能力を使い南の海へと移動する。

ポセイドンは別種のクジラと会話をしているあたり異文化交流のようなものなのだろう、邪魔をしてはいけないだろうから終わるまで南の海を散策するとしよう。

ポセイドンは俺がいるのを察していたようで話が終わるとすぐ様こちらへ向かってきた。


「申し訳ありません聖霊皇様、私事に興じていました故に貴方様にお気を使わせてしまいました」


ポセイドンは俺の元へ来るなり土下座(?)をして許しを乞うた。まぁ元より俺が急に来たのが原因だし別に気にしてはいないので許す。


「ありがとうございます。して、聖霊皇様本日はどの様なご用で?」

「いや、用と言うほどでもないが我が眷属達の様子を見にな」

「そうでございましたか、では先ほど知ったばかりの知識でごさいますが一つが披露させて頂きます」


そう言うとポセイドンは先ほどのクジラから得た情報を教えてくれた。

その内容は俺にとって驚愕の内容だった何と人間が現れ始めたという。時期はほんの最近で、洞穴で過ごすと言う。

おそらくまだ原始人程度なのだろう。それにしてもこの星は不可解だな、つい半年程前に生命が誕生したばかりのはずなのにもう人間が登場している…

何にしてもこれからが楽しみである。


ポセイドンに礼を言うと俺はウンディーネを呼び他の眷属達も集めた。人間への対応を協議するためだ。

俺はまず前提として"人間にはあまり深く関わってはいけない"という事を眷属達に伝えた。

眷属達ははじめ不思議そうな顔をしていたがポセイドンとウンディーネは知識を持った生き物の強さを知っているため素直に納得してくれた。


協議の結果"人間へは深く関わってはいけないがある程度までの馴れ合いは可とする"という曖昧なものだった。

始めは眷属達に人間の怖さを伝えた為完全接触禁止にしようという話になっていたがポセイドンがどうしてもと言うので上記の結果となったわけだ。


協力の最中にポセイドンより知ったのだが我々が感じている時間と生き物達が感じている時間では何千倍近い差があるそうだ、通りで人間がでてくるのが早いわけだ。時間の感覚が一番長いのは俺で次いでポセイドン、クラーケン、ウンディーネ、マーメイド、セイレーンとなる。もっともクラーケン以降は生き物達と殆ど変わらないらしいがな。ウンディーネ曰く俺がこの地に降り立ってから軽く5000年ほど経っているそうだ。


協議の後眷属達はまた各々の仕事へと戻っていった。俺はウンディーネと今後について話し合うことにしていた。ウンディーネはこれからも精霊、妖精を纏め水辺を守って行く事に、俺は生命が満ちてきた水へ俺へ流れてきた魔力を還元する為にしばらく寝床で寝る事になった。


感想、アドバイス、などありましたらよろしくお願いします。

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