異世界?
今回からしばらく勇者sideの話が続く感じになります。
〜勇者side〜
俺らが召喚されたのはどうやら地下の様なところだったらしい、扉を出てすぐに長い螺旋階段が続いていた。
螺旋階段の所々には淡い青色に光る結晶が置かれており、俺らが本当に異世界へと飛んだのだと自覚させていく。
「おじさん、質問してもいいかな?」
「はい、なんなりとどうぞ」
「この結晶?何で光ってるの?」
どうやら美沙がこの結晶の灯りが気になったのか質問をしていた。
「はい、これは『魔結晶』と呼ばれる物にございます。強い魔力の塊でして、ごく稀に鉱山などから採れるのでございます」
「魔力?まさか、魔法があるの?」
「はい、ございますとも。こう見えましても私めは魔法師でして、多少ながら魔法を扱えます」
おっさんの言葉に驚き、目を輝かす3人。
俺はなんとなくこの展開が読めていた。「俺らを呼んだ」という時点で魔法があるということの裏付けでもあるだろう。
第一に、こういうのは魔法のある世界ってヤツがテンプレだろうしな。
「あのぉ、魔法って私たちも使えるんでしょうか?」
さとみさんがおずおずとした様子で質問する。
「何を仰いますやら、もちろんですよ。勇者様方の方が私めよりもずっと素質が高いでしょうに、内に秘めた魔力量でわかりますとも」
「ちょっと待ってくれ!内に秘めた魔力ってそんなんわかるもんなのか?」
「ええ、普通の魔法師では判らぬやもしれませんが、私めはそれなりに力のある魔法師でございますゆえに」
「じゃあおっs…ええっと…」
「はっはっはっ、申し遅れて居りましたな。私めはソルトと申します。気軽にソルトとお呼びください」
「それじゃあソルトさん、ソルトさんはもしかして所謂"宮廷魔法師"ってヤツなんですか?」
「おお、さすがは勇者様。よくご存知で、おっしゃる通り私めはこれでも宮廷魔法師の筆頭をさせていただいております」
このおっさん、ただハゲ散らかしたおっさんじゃ無かったのか…これからは敬っとこ。
そうこう話しているうちにどうやら俺たちは外に出た様だ。
扉を出た先は石造りの渡り廊下が続き、左右には色とりどりの花の咲き乱れる庭園がある。その先には美しい白い壁に、トルコ石のような青色の屋根のついた大きな城が見える。
見た目からして文明的には大体中世ヨーロッパだろうか?
そんな事を考えながら先に進むと立派な装飾の施された軽鎧を身に纏い、手には槍、腰に長剣を差した騎士が2人、渡り廊下と王城を繋ぐと思われる3mほどの門を守っていた。
「「ソルト殿!お勤めご苦労様です!」」
「ええ、お二人ともご苦労様」
ソルトが2人の騎士と挨拶を交わすと1人の騎士が「開門!」と叫び、次第に門が開いていく。
「ささ、お通りください」
そう騎士たちに促されるとソルトはまた歩みを進めていく。
門の先は別世界といっても良い光景だった。
圧倒された…このひと言に尽きるだろう。
煌びやかな装飾の施された城内は、門から入ったばかりの玄関口でさえも帝国の力を示さんとばかりにその豪華絢爛な様相を余す事なく俺たちに見せつけてくる。
「うわぁ〜!キレイ!」
「すっごいねぇ!」
「ほんとうに…キレイ…」
驚き、感嘆の声を上げる三人の様子をソルトさんは微笑ましげに、そして誇らしげに聞いている。
「さて、それでは勇者様方、皇帝閣下を紹介いたしますので大客間へとご案内します。こちらですよ」
俺たちはソルトさんの後を追い大客間へと向かうのだった。
大客間と呼ばれた部屋で俺たちはソルトさんと共に侍女さん達からもてなしを受けて国王を待っていた。
あたりまえな話だが、皇帝は仕事に追われているために簡単には時間が取れないためにすこし待っていてほしい。との事だった。
「ソルトさん、帝国の名前とか教えてもらえませんか?」
「ええ、良いですとも。ここはガルア帝国。およそ500年の歴史を誇る国なのでございます」
「ガルア帝国ですか…他にも国はあるのですか?」
「もちろんですとも、もっともガルアは島国でして他国というのは全て海の外になりますがね。海を渡りますとグレート大陸と呼ばれる大きな陸地がありまして、帝国と貿易しているのはそんな国々となりますな」
「では次に、私達に、何をしてほしいのですか?」
「それにつきましては皇帝閣下からお話しがございまs…「私を呼んだかな!」閣下ぁ!」
話の最中に突然大きく扉が打ち開かれると、パッと見30代前半のような男が緋色のマントを羽織り見事なポーズを決めながらこちらにウインクをかましている。
正直とてもウザい、顔がウザい。
「あの〜もしかして皇帝かっk「そのとおり!私がこのガルア帝国皇帝だ!」ですか…」
ダメだこの人、俺の苦手なヤツだわ…
俺はこの先の行く末に大きな不安を覚えた…
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