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俺らはあの日、聖霊皇になった。  作者: スペアリブ
火の聖霊皇編
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巫女の御披露目 2

土の聖霊皇にアルマをお披露目した火の聖霊皇はさらにほかの聖霊皇達にもアルマを自慢するべく、空を進んでいた。


「聖霊皇さま?次はどの聖霊皇様に会いに行くのですか?」

「そっすねぇ〜…次は水のに会いに行くッス」

「水の聖霊皇様…ですか…」

「ん?アルマちゃん、どうかしたっすか?」

「いえ…水の聖霊皇様はおとぎ話に出てくる水神さまだっておっしゃってたので…」

「げ…そういえばあいつ…」


火の聖霊皇はその時、水の聖霊皇が人間の間でどんな噂ばなしを立てられていたかを思い出す。


水の聖霊皇が前に人間の国を一つ滅ぼした事件は人間の間では数百年前に実際に起こった事としておとぎ話で語り継がれ、水の聖霊皇は人間からすれば恵みを与えるとともに畏怖恐怖の対象となっていた。


アルマも当然、そんなおとぎ話を聞いて育っている為、水の聖霊皇に会うというのは実はとても緊張していた(主に怒りに触れないかということで)そんなアルマの様子をみて火の聖霊皇は


「ま、まぁそんな事もあったっすけど基本あいつは優しいッスよ?あん時は人間側からちょっかいをかけて、そのちょっかいの対象があいつが一番大切にしている眷属達だったから"ちょっと国が滅んだ"だけで」


聖霊皇の感覚でいえば国が一つ滅び、大陸の一部が水没しかける大災害も「ちょっとした事故」くらいにしか感じてないのだった。


そうこうやりとりするうちに、最も深い海"バミューダ"の直上へと来た。

すると直ぐに海の中から1匹の大きな鯨が現れる。


「これはこれは、火の聖霊皇様でございますな。申し遅れました、私めは水の聖霊皇様の眷属"ポセイドン"と申します。主より貴方様をお連れするようにと命じられました。して、そちらのお嬢さんは?」

「ああ、これは自分の巫女のアルマちゃんッスよ」

「あ、あの…アルマです…」

「ふむ、何やら少々怖がらせてしまったようですね…申し訳ありません。それでは気を取り直して主の元へとお連れいたします。」


ポセイドンはそう言うとアルマ達を魔法で出したシャボン玉のような物に包み込みゆっくりと海底へと案内するのだった。


世界で最も深い海、バミューダ。

大陸から南に進んだ海のその海底は水の生き物達のまさに聖地だった。

青白い光を湛える魔結晶が辺りを幻想的に照らし出し、色とりどりの魚が泳ぎ、水の妖精や魔物、精霊が踊り、そしてその中心にはとぐろを巻いた1匹の…いや"一柱"の聖霊皇が静かにその様子を見守っていた。

そこは弱肉強食の世界とは思えぬほどに穏やかで深く冷たい海とは思えぬほどに暖かかった。

すると水の聖霊皇は顔を少し上げ


「ようこそ、水の聖霊皇の領域へ」


そう静かに言ったのであった。


「わざわざ火の聖霊皇がここへ来たということは何かあったのだろう?」

「そうっす、実はこの子を紹介に来たっす。"自分の巫女さん"っすよ」

「へぇ…お前が神様ねぇ…」

「そっすよ、自分が神様っす。さて、それじゃアルマちゃん、自己紹介おねがいするっすよ」

「あ…あの…ア、アルマと言います。水の聖霊皇様…よろしくお願いします」

「おい、火の。なんでこんなに怯えられなくちゃいかんのだ」

「どっかの誰かさんが勢いあまって国を簡単に滅ぼすもんだからどっかの誰かさんは神話やおとぎ話のメインだよ」

「なッ……」


言葉を失った水の聖霊皇に火の聖霊皇は淡々と言う。


「まったく、自分らの感覚ではちょっと前の小さな事故っすけど人間らだと大昔の大災害っすからねー、土のからも言われたでしょう?」

「まぁな…しかしそんな事になっていたとはな。」

「水のはあんまり表に出ない分、人間たちにはおとぎ話や物語のようなものでしか伝わって無いっすからね。」

「まぁいい、話を戻そう。アルマと言ったか?歓迎しよう…そう怯えずとも良い。俺が四大元素の水を司る"水の聖霊皇"だ。他の眷属は出払っていないがそのうち紹介するとしよう。」

「は、はい…よろしくお願いします…」


まだ少し怯えている様子のアルマを見て、顔には出さないが結構なショックをくらった水の聖霊皇は少し上を向き軽く息を吐くような仕草をすると、アルマと火の聖霊皇の周りを色とりどりの熱帯魚や小魚達が周りを泳ぎだす。


「うわぁー!すごいキレイ、かわいい!」


興奮した様子のアルマに満足した水の聖霊皇は


「怯えさせた詫びだ、ゆっくりと楽しんで行ってくれ。」


そう言うと静かにその様子を見守っていたのだった。

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