神様?
おっす。自分は火の聖霊皇って呼ばれてる存在っす。四大元素の火司る聖霊皇で"母ちゃん"の作った星にある"ヴォルケイノガフ山"と呼ばれる山の中に住んでるっす。あ、ちなみに自分は普段は体を人間サイズに縮小し、人間と竜の間のような竜人のような姿をとってるっす。見た目は緋色の髪と所々紅い鱗のある体に赤黒い色の角が生え燃えるような瞳の青年っすね。
なに?口調がむかつく?しょうがないっす。口癖ってのは中々取れないもんなんすよ。
何はともあれ、自分は他の聖霊皇である"あいつら"とちょっとだけ違って人間とある程度の共存をしてるっすよ。自分の住んでるところはちょっと大きめの島なんスけど、海側には人間の住む集落なんかがたくさんあるみたいっす。人間達は自分を「神様」と呼んで崇めてるみたいで、毎年毎年決まった時期には酒と果物なんかのお供え物がされてるっす。でも何だか複雑な気持ちっすよ…神様なのは"母ちゃん"なのに…
あ、そうそう。紹介を忘れてましたが自分の眷属を紹介するっすよ。
まず1人目は、ドラゴンっす。黒曜石みたいな色の鱗に溶岩の如く光る目玉を持った飛竜で一番最初の眷属っす。龍王ってアダ名があるらしいけど本人は「ご主人こそが龍王にふさわしい」って言って呼ばれるのをあまり好んでないっス。体長1000m級の超巨大な竜っスけど自分からすればまだまだ子供もいいとこっスね。
2人めはイフリート。火の妖精王っす。でも妖精王の筈なのに8mはあろう身長(本人曰くこれでもかなりサイズを頑張って縮めてるのだとか…確か元の姿だと10倍はあるそうっす)、大きな二本の角、筋肉モリモリマッチョマンの変t…ゲフン。コワモテ…見た目はどう見ても「魔王」とかそんな感じっすね…本人は結構シャイで人見知りな所があるからあんまり喋らないんすけど、それがなお一層ラスボス感を強めてるんすよ…
3人めはキュクロプス。目ん玉一つしかないけど矢鱈頭の良いおっさん。ものづくりが得意で、眷属達の武器や山の中の俺らの住む通称"神殿"はキュクロプスが一から作ったっす。
4人めはアグニ。めっちゃ美人でおっとりとしたお姉さんな自分の眷属っす。アグニは"火天"ってやつらしくてフェニックスとも言われるそう。それに関連して元の姿は巨大な鳳凰見たいな姿っス。名前の通りやっぱり不死身なんだそう。
5人めはヘスファイトス。キュクロプスと仲の良い眷属で色々作るキュクロプスに対してこっちは武器とか防具を作るのが好きみたいっすね。滅多に工房から出なくて、ここ20年くらい顔を見てないと思うっすよ。
さて、紹介はこのくらいにしておいて。実は自分、最近困ったことがあるんすよ。何故か貢物の中に「女の子」が混じってるんですよ。
初めは「あれ?つまみ食いでもしてたのかな?」とか思ってたんですけどその子達矢鱈派手な格好してるしスゲえ怯えてるしかと思えば気絶しちゃうしで…どうしたもんかと思ったらアグニが来て。
「あら、ご主人さま。この子"生贄"にされたみたいよ?」
「ほぇ?今なんて?」
「だから"生贄"よ、"生贄"」
「はぁ⁉︎い、生贄⁉︎なんでそんな可哀想なことするんすか!まったく。どこのどいつだよ…生贄なんで要求してねぇよ…」
「ご主人さま?じゃあこの子どうします?」
「取り敢えず"神殿"空き部屋いっぱいあるだろうからアグニの眷属達のいる区画の空き部屋に連れてって世話を見てあげてくださいっす。対応はその子が起きてから考えるっスよ」
「はぁ〜い、わかりました」
そのあと暫くして女の子が起きたとアグニから連絡があったっス。部屋に入るとアグニが女の子となんか楽しそうに話しててちょっと羨ましいとか思ったのは自分だけの秘密っす。
「あら?ご主人さま。いらしてたんですね」
「え?アグニさんのご主人様って…」
「ええ、そうよ。あなた達の言う神様で火の聖霊皇であらせられる私のご主人さまよ」
「………………むきゅぅ…」
なんかわけのわからない言葉を発したのち女の子はまた気を失ってしまったっす…まぁでもアグニがそれまで話を聞いていてくれたおかげで事のあらましが見えてきたっすよ。
いかがでしたでしょうか?
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