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見つけた薬は本当は……

初めまして!あすかです。右も左もわからない新参者ですがよろしくお願いします。

私は、朝起きて鏡の中を覗き込んだ。


いつ見ても不細工。

まるで鏡に映っている私まで自分の顔に失笑しているみたい。


私はセーラー服に着替えて自分の部屋から出ると母親に挨拶した。

母親の顔は美人だった。


何でこんな美人の母から私みたいな不細工が生まれてきたのか原因不明。

父親は8年前に病気で他界。


写真で見る限り、父の顔も普通より少し上だった。



そういえば、家って私の小さな頃の写真がないのよね。

母の小さな頃の写真もない。

これって、何かの偶然?


「こら、鈴。ぼーっとしていないで早くご飯食べなさい」


そんなのだから、中学の勉強にもついてけないのよ、などと関係ないことまで言う。

「はーい」


私はしぶしぶ、白いご飯の入った茶碗を持って座る。

「母さん、今日は仕事で忙しいから、鈴は適当にご飯でも済ませて、早く寝なさい」


「うん、わかった」


母は、ご飯を食べる私に向かって、鍵はいつものところだから!と言って出勤してしまった。


さて、探すなら今の内かな……?

私は母の小さな頃のアルバムを見つけるため、朝の貴重な時間を使って家探しし始めた。




僕はいつも通り先生の授業を聞くふりをして後ろの席から窓側の一番前の席の子をじっと見つめていた。


その子は遠野といった。


いつも一心に先生の授業を聞いているのだが今日は何だかそわそわしている様子だった。



いつも、幼い頃から胸に淡い恋心を秘め僕は彼女だけを見て来たが、こんなに落ち着かないのも珍しい。


休憩時間、遠野の鞄の隙間から見覚えのある瓶が見えた。


放課後、僕は嫌な予感を覚えながら女子に囲まれて、その子の背中を見送った。





私は学校からの帰り道、顔が二ヤツくのを止められなかった。


母のクローゼットから発見したこれらを早く試したい!!


私の通学用鞄の中には瓶がどっさりと入っていた。

その瓶の中にはタブレット型の薬がどっさりとあった。

そして、はがされたラベルもどっさりとあった。

そこには綺麗になる薬と、書いてあった。


朝発見して、瓶を漁って元通りに戻すのも面倒なので鞄の中に教材と一緒に詰め込んだのだ。

ラベルは元からはがしてあった。



やっとの思いで家について私服に着替える間も惜しんで、その薬を自室の鏡の前で飲んでみた。

暫く待ったが効果が出なかったので私はがっかりした。

他の便の薬も飲んでみたが、やっぱり効果は無かった。

私はがっかりしてベッドに倒れ込んだ。

そしてそのまま寝てしまった。



僕は必死に走っていた。

教室で待って、待ってと追いすがる彼女達を振りほどいて、遠野の後を追った。


遠野は、いや鈴は覚えていないのだろう。

そんな遠い昔の事だった。

あの日、運命が変わったんだ―――。


鈴の鍵がかかっていない家に乗り込む。

そして、あの日から上がっていない鈴の部屋の扉を開ける。

そこには、床に散乱しているラベルのはがされた瓶とベッドにこちら側に背を向けて寝ている鈴が目に入った。


恐る恐る、顔を覗いてみる。

僕は鈴の顔を見て確信した。


彼女は僕だけのものだ。

誰も鈴の美しさを知らなくてもいい。

僕だけが知っていればいいんだ。


僕は、床に転がっている瓶を開けて数条口に含み、水で煽って、


            鈴の唇に流し込んだ。





どういうこと……?!目を開けたらずっと思い人だった海藤君が私にキスをしている。

これは夢?

だって、海藤君はクラスの女子にモテてイケメンで……。


海藤君が唇を離す。至近距離で見つめ合う。


「やあ、僕の可愛い鈴」


「か、かいどう……くん?どうして……」


「覚えていないかな鈴?僕のこと」


「え……」



「可愛いよ、鈴」



海藤君が、海藤君が、海藤君が!

今今今!!


私は恥ずかしさに赤面した。


そんな私を見て海藤君がクスリと笑う。


「この調子じゃあ、薬の効果は効き目があったみたいだね」


「え、薬……」


そうだ、私は綺麗になる薬を飲んで、それから……。


「あ、薬、効果があったの?」


私は何の疑問もなく海藤君を受け入れていた。


「ああ、だけど、今は鏡を見ない方がいい。

             

                    この部屋鍵付いてる?」


「ええ、付いてるけど」


「じゃあ、君は僕が良いというまでこの部屋に鍵をかけて毎日この薬を飲むんだ。いきなり美人になって、皆を驚かせ


るんだ。そしたら、君と付き合ってあげる」


私はぱあっと心が軽くなるのがわかった。



でも……。


「どうして私の気持ちを知っているの?」


私は恥ずかしいけど思い切って訊いてみた。


「それは、秘密」


「ええー」


「じゃあ、いいかい?僕はこれで帰るけど、君は部屋から、一歩も出てはいけないよ」


「……そしたら、付き合って、くれるの?本当に?それだけで?」


海藤は最後に微笑を浮かべて帰って行った。






僕は嬉しかった。


あの薬は本当に効いていたんだ。


それは、幼い頃の話。


鈴とは一緒に毎日遊ぶ関係だった。


でもいつからか、鈴に気持ちが傾いていき、ある時おばさんに言ったのだ。



鈴を僕にください、と。


でもおばさんは首を横に振って、鈴が欲しかったらこの薬を誰にも気づかれずに毎日呑みなさい、と。


その間は外に出たらだめだと言われた。


僕は言う通りにした。


それだけ、鈴は魅力的な女の子だった。


半月位閉じこもって、僕は蝶がサナギから羽化するみたいにこの美しい体を手に入れた。


誰もが僕を誉めそやした。


しかし、鈴は―――。



今までと態度が変わらなかった。


僕は何か鈴の心を手に入れる知恵は無いかと、遠野家にお泊りしている時に、台所の戸棚にそれを発見した。



媚薬と、醜くなる薬。



僕はそれをおばさんに問い詰めた。


するとおばさんはあっさり白状し僕に真実を教えてくれたのだった。


おばさんも昔は不細工で、おじさんを手に入れるために偶然見つけた媚薬と綺麗になる薬と醜くなる薬で、おじさんの


周りの女を醜くし、自分は美しくなって、おじさんには媚薬を盛って手に入れたのだという。



それから、僕も鈴の食べ物にこっそりと醜くなる薬と媚薬を盛って美人だった鈴を醜くし、僕に惚れさせた。


何故か?


僕が部屋に籠っているうちに他の男にとられないためだ。


そして期を見て、美しくなる薬をおばさんから貰おうとしたが、僕に渡したので最後だという。


ああ、なんて哀れな鈴……!!


もう美しくなるのが叶わないなんて……。


でも僕がずっと面倒を見てあげるよ。


僕の、僕だけの鈴―――。






私はウェディングドレスを着てバージンロードを歩いている。


隣にいるのは海藤君。


皆私を見て何か言ってる。


放っておけばいい。


あの後、私は海藤君の忠告を利いてあの瓶の中身を残さず全て摂取した。


だから、


     だから




          私は可愛くなっているはずなの―――。



「鈴、綺麗だよ」


海藤君が私のドレス姿を見て微笑んでいる。


         そう、私は綺麗……。


                    ねえ、綺麗でしょ……?






媚薬:惚れ薬。即効性が高く、同じ相手に何回も使うと危険。


醜くなる薬:飲んだら少しずつ醜くなる。使い方は自由。


綺麗になる薬:飲んだら少しずつ美人になる。使い方は自由。









どうでしたか?楽しんで頂けたでしょうか?

少しでもあなたの胸に残ったら光栄です。

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