エピローグ
約三年間の旅の果て、俺こと戦部亨はついに魔王を倒した。
魔物や魔王軍と戦いを繰り広げ、とうとう俺は念願の魔王討伐を達成したのだ。
長かった……
振り返れば色々なことがあった。
学校へ向かう途中、光に包まれて異世界に召喚されたのが今から三年前――
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
俺を異世界に召喚したのは魔王軍に国を滅ぼされた亡国の姫君。
元の場所に戻してくれと俺は抗議した。
「その方法はありません。勇者様、わたしの身体なら好きにしていいので父と母の仇を、国を取り戻してください」
姫は細い体を震わせながら目に涙を浮かべて懇願した。
「姫様、駄目です! くっ……勇者、私の身体なら満足するまで好きにするがいい。だから姫様には手を出すな」
姫の護衛の女騎士は俺のことを軽蔑の目で睨みながら言った。
「それじゃ、遠慮なく」
俺は女騎士の身体を足腰が立たなくなるまで好きにすることにした。
三日後――
「勇者……許してくれ。もうこれ以上は無理だ……」
最初の威勢はどこにやら、女騎士の目に力はなく弱音を吐いている。
「どうした、もう限界か。なら姫様にも頑張ってもらわないといけないなぁ」
「くっ……この外道めっ! 姫様には手を出すなっ!」
俺がニヤリと笑って言うと女騎士の目に力が戻る。
こうして俺はさらに女騎士の肉体を酷使するのであった。
一週間後――
「もういいだろう」
俺はボロボロになった女騎士に向かって言った。
好きにしていいと言うので俺は女騎士に剣術を叩き込んだ。
勘違いしている人がいると困るので説明するが俺はやましいことは何もしていない。
女剣士に剣の稽古をつけてやっただけだ。
ちなみに自分で言うのも何だが、俺は古武術の達人で剣の腕も一流である。
稽古の甲斐あって女騎士の剣の腕はかなり上達した。
姫は回復魔法で女騎士を治療しながら俺に質問する。
「勇者様、これはどういうことでしょうか?」
「魔王を倒すんだろう? お前らにも手伝ってもらわないと」
帰る方法がないなら仕方がない。
俺は魔王を討伐することにしたのであった。
しかし、俺一人の力で魔王を倒せるかどうかは分からない。
それで俺は女騎士にも頑張ってもらうことにしたのであった。
こうして俺と姫と女騎士は魔王を倒すための旅をすることになった。
旅の途中、オークに捕まっていたハーフエルフの少女を助けた。
エルフとは耳の長い人種でハーフエルフは人間とエルフの混血のことである。
俺はオークを倒してハーフエルフの少女を檻から出してやった。
「家まで送ろう」
俺がそう言うとハーフエルフの少女は首を横に振った。
なんでもハーフエルフの少女は混血だったため里を追い出されたそうだ。
このまま置いていくことも出来ず連れていくことに。
ハーフエルフの少女は俺のことを「ご主人様」と呼んで慕った。
さらに旅を続けていると、魔女っ娘が道に倒れていた。
話を聞くと転移魔法の実験に失敗して家に帰る方法がなくなり、空腹で倒れてしまったらしい。
俺が食べ物を与えてやると「トール様、あなたは命の恩人です。お礼に何か差し上げたいのですが私に差し上げられるのはこの身体しか……」と言って服を脱ごうとしたので、お礼なら元の世界に帰るための転移魔法を考えてくれと伝えた。
こうして魔女っ娘も俺たちの旅に同行することに。
俺たちは魔王軍に占領された村を解放しながら旅を続けた。
そしてとうとう姫の国を支配していた魔王四天王の一人を倒し、国を取り戻した。
姫は父と母の仇を討てたことを喜び、涙を流した。
しかし喜んでばかりはいられない。
戦いが終わった訳ではなく、魔王によって国を滅ぼされた国や支配された国はいくつも存在している。
姫は決意を新たに、魔王軍への反撃を宣言した。
戻ってきた人々によって国は徐々に元の姿を取り戻してゆく。
兵を募り、軍備を増強して魔王との戦いに備える。
俺は勇者として祭り上げられ、兵を率いて最前線で戦いを繰り広げた。
魔王軍四天王も更に二人倒した。
残る魔王四天王は一人だ。
しかし、あと少しというところで問題が発生した。
それは食料だ。兵がたくさんいるということはそれだけ兵糧が必要になる。
総合的な兵力は互角。しかし戦いが長引けば長引くほどこちらが不利になってゆく。
俺たちは兵力が衰える前に最後の決戦に臨むことに。
作戦はこうだ。
魔王のいる城近くまで兵を送り、城から魔王軍を引きずり出す。おそらく兵を指揮するのは魔王ではなく、最後の四天王だろう。
皆が戦っている間に守りの薄くなった魔王城に俺が単身乗り込み、魔王を倒す計画である。
作戦は実行され、敵兵力をおびき出す陽動は成功した。
あとは俺が魔王を倒すだけである。
世界の命運を託された俺は激闘の末、魔王を討ち取り勝利を収めた。
こうして人間と魔族の間で講和条約が締結された。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
そして冒頭に戻る。
人類に平和が訪れてからしばらくして、元の世界に戻る方法が見つかった。
魔女っ娘が勇者召喚の魔法陣を解析して元の世界に戻る魔法陣を開発したのだ。
俺は早速元の世界に帰ることにした。
姫、女騎士、ハーフエルフの少女、魔女っ娘は俺を引き止めたが俺の気持ちは変わらなかった。
「それじゃ、皆元気でな」
俺は魔法陣の上に立ちながら皆に声をかけた。
「勇者様……やはり帰ってしまわれるのですね」
姫が残念そうに言った。
姫からは自分と結婚してこれからもこの世界に留まってもらえないかとお願いされていたのだが、俺は丁重にお断りしていた。
「すまない。元の世界で妹が帰りを待ってるんでな」
こうして俺は勇者として異世界を救い、皆に見送られて元の世界へと帰還した。




