プロローグ
初投稿となる為、色々至らない点あると思いますが、宜しくお願いします。
改造人間と聞けば、正義のヒーローを思い浮かべる人間が多いと思う。正義の為に悪の怪人と戦い、そして苦戦の末倒す。
だが、実際はそうでもない。
実際の改造人間は、上の命令があれば、何処の国であろうと破壊工作を行うし、女子供でも殺す。正義もクソもあった物ではない。
そんな改造人間事、俺は、とある実験が成功し生まれたらしいのだが、詳しい事は覚えていない。物心ついた時は実験室でモルモットであったし、特にその事についても疑問に思わない。なるようになればいいと、俺はそう思う。
他の改造人間達は、自分の異能を嫌悪し、自傷行為をしたり、自らの身体を異形へと変えた白衣の男達に恨みを持ち襲い掛かったりもしていたが、俺は特に何も思わないし、彼らを寧ろ好いている。
言う事を聞いて置けば、ある程度の不満は聞いてくれたし、身体に不調があれば治してくれた。そして、この狭い部屋から俺を作戦へと送り出してくれる。それだけで満足だった。
「コード444調子はどうだ?」
「ばっちりだぜ!」
「それは良かった。」
「おう!」
彼らと喋る時、俺は口調を変える。無愛想な喋り方をするのは、相手に警戒され安いと学んだからだ。
元気良く喋り、常に笑顔。これをしていれば、大抵の事はうまくいく。他の改造人間はそれがわからない様だ。
名乗り遅れたが、俺の名は、コード444『黒雷』と言う。
コードと言うのは、普通の人間で言う苗字な様な物で、由来は単純に俺が444番目の改造人間だかららしい。
『黒雷』は、普通の人間で言う下の名前だ。由来は俺の異能が黒い雷を無尽蔵に放出する化け物だかららしい。
彼らは俺に普通の名前をつけ様としたが、俺はコード444『黒雷』と言う名が気に入っているので、要らないと言った。暫く困っていたが、俺の意思を尊重し、彼らは俺をコード444『黒雷』と呼んでいる。
簡単だが、俺の登録ステータスを特別に公開しようと思う。
検体名 :『黒雷』
検体識別番号:444
身長 :192cm
体重 :83kg
分類 :特殊歩兵型
異能 :黒い雷を放出及び制御する。
容姿については、黒髪に金の眼で、夜行性の動物みたいだと彼らが言っていた様な記憶がある。顔は、他の改造人間から非常に整っていると褒められた。今思えば懐かしい。あいつはもう解体されたんだったな。
他にも彼らは、俺の誕生日も祝ってくれたし、危険な任務に行く時は、誰よりも心配しれくれた。
そんな彼らを、父と呼んでもいいだろうか。
だから、研究所が襲われている今父達を逃がす為に全力を掛ける。
「おっと、此処から先は通行止めだぜ?」
研究所を襲った人数は、解らないが彼方此方で戦闘している音が聞こえる。
恐らく他の改造人間達が、侵入者と戦っているんだろう。
「貴様は『黒雷』!」
侵入者は、俺の名前を知っているらしい。通り名としても『黒雷』は有名だった筈だから、容姿と名前位は割れてるんだろう。
「へえ?俺の名前を知ってくれてる何て感激だな!誰の知り合い?」
「軽口を!殺せ!戦友の敵だ!」
少しでも時間を稼ごうとしたが、地雷だったらしい。侵入者の男達は銃を構え俺に乱射する。
「名前は知ってても、俺に銃が通じないってのは知らないんだな!」
俺には銃が通じない。理由は『黒雷』が自動的に銃弾等を打ち落としているかららしいが、詳しい事は解らない。
「それじゃぁ、お返しだな!」
にやっと笑い『黒雷』を侵入者に放つ。
「ガガガギギ」
本物の雷をも超える電圧を受けた男達は変な声を出しながら黒焦げになり、その場に転げる。普通の人間は非情に脆い。
最も、改造人間ですら『黒雷』には絶えられず、黒焦げになってしまうのだが…。
「『黒雷』が出たぞ!人数こっちに回せ!」
侵入者達が続々と群がり、襲い掛かってくる。その数は20人程度だろうか。
「集まった所悪いけど、さよならだな!」
両手から黒雷を放ち、侵入者を黒焦げにする。それの繰り返しだ。
「ひゃっはー!楽しくなってきたなー!父さんがくれたバールを食らいなぁ!」
バールを取り出し、侵入者に肉薄する。これは、いつも拳を痛めて帰る俺に18歳の誕生日に彼らがくれた物だ。
特殊金属を配合して作られたこのバールは俺の膂力でも変形しない程の強度を誇る。
用途は戦車やそれに順ずる硬さを持つ車両等を粉砕するのに使うと言った所だ。
「オラオラァ!そんなんじゃ此処を通れねぇぞ!」
バールを振り回しながら『黒雷』を放つ。対人戦ではあまり意味が無いが、威圧的には映るだろう。
ドンッ
突然の爆風で、俺は壁に叩きつけられる。
「ってえな!」
怒声を上げながら、発射された方へと『黒雷』を飛ばす。
「ガガギギ」と、凡そ人が発する声ではない様な声と共に、何かが焼ける焦げくささがあったから、恐らくは仕留めたのだろう。
恐らくは、無誘導のランチャーか何かを俺に放ち、『黒雷』に弾頭が触れる事で爆発して俺は吹き飛んだのだろう。
普段は、広い戦場で戦っていたから、『黒雷』にそんな欠点が有るとは知らなかった。
更に無数の弾頭が此方に迫り、何とか回避を続けるが、爆風で飛び散る破片が皮膚を切る。
だが、一歩も引かない。俺は父達を逃がす。それまでは、引くわけには行かない。
『コード444『黒雷』聞こえるか』
父達の一人が俺に通信を入れてきた。
『感度良好!』
『そうか。我々は無事脱出できた。お前も速く――ドパンッ』
なにやら狙撃の音と共に通信は途絶え、俺の目の前には侵入者が再び集まりだした。
「はっ!どいつもこいつも死にたいらしいな!」
何とも言えない喪失感が俺を襲う。何故だか凄く寂しい気持ちに包まれる。何か、大事な物を失った様な気持ちだ。多分だが、父達は死んだのだろう。双思うと、無償に怒りが満ちてくる。
「死ねぇ!」
力の限り『黒雷』を放つ。無尽蔵の黒い雷を放出する化け物の名の通り、『黒雷』は枯渇する事などは無い。空気中の何とからしいが、詳しい事は解らない。何も考えず『黒雷』を放ち続けた結果、辺りはボロボロだ。
「崩れるぞ!」
侵入者の誰かがそういうと、大きな音を立てて瓦礫が殺到する。
「ん、迎えか」
何となく、そんな気がしたので言葉に出した。直後、視界が暗転する。終わったのだろうか。
そう思うと身体の力が抜ける。その心地良さから俺は意識を手放した。
有難うございました。
良ければ次回もお付合い下さい。
その他ご意見、誤字脱字等あれば、ご報告下さい。




