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6月12日(火) 底野正念、使用済み体操服が欲しい

 6月12日、火曜日。

 昨日の水泳の授業での秀さんのスクール水着姿は良かったなあ、きっと写真販売会で秀さんの写真が売られるはずだ、買わないと…と俺、底野正念はニヤつきながら学校へ行くため家を出て電車に乗って高校付近の駅で降りる。

「何ニヤついてるんですか気色悪いですね警察呼ばれたいんですか」

「おはよう秀さん」

 早速秀さんに罵倒されてしまった。少し興奮する。やっぱ俺もマゾなのかな。

 そのまま学校まで二人で歩く。

「糞姉のやつ、金切良平に泳ぎを教えて好感度稼ごうって魂胆らしいけど、私逆効果だと思うのよね。女に泳ぎ教えてもらうなんてプライドがボロボロになるんじゃない?」

「うーん、どうだろうね。まあ、確かに恥ずかしいかな。まあ、自分のためにしてくれるんだから俺はそれでも嬉しいけどね」

「ふぅん…」

 それにしても秀さん、姉のデートの心配をするなんて、どういう風の吹き回しだろうか。

「ところで秀さん、昨日の俺のシンクロ、見てくれた?」

「見てないわ。ちょっと人と話しててね」

 そ、そんな…昨日先生に怒られるの上等でクラスの男子達とシンクロをしたというのに、秀さんは見てくれなかったと言うのか、悲しい。

「そっか残念。それにしても秀さんは泳ぎもうまかったね。まるで人魚のようだったよ」

「あなた人魚を見た事があるの?」

「ないけどね」

 いや本当に秀さんの泳ぐ姿は綺麗だった。

 それにしても、優さんはプールでデートかぁ…

「秀さん、俺にも泳ぎを」

「教える必要ないでしょう?」

「あはは…」

 発言を最後までさせてもらえなかった、残念だ。



 学校について、いつものように授業を受けて、放課後には部室でネットゲーム。今日は俺と秀さんの経験者組と、その他の初心者組に分かれてFPSをやることに。

「あー、早く俺達もプールで泳ぎたいぜ。4、5組のプールは木曜日なんだよ」

 アホみたいに敵陣に突っ込んで1人も殺せないまま7回も死んでしまった稲船の番長がそう言いながら、部室の床で平泳ぎのポーズを取る。

「秀さん、すごく泳ぎがうまかったよ」

「へえ、そうなのか。まあ、俺には敵わないだろうけどな。塩素拾いの女王と呼ばれていたからな」

 俺が秀さんの泳ぎを褒めると、負けじと番長が自慢しだす。

 良い子はプールの固形塩素を勝手に取らないように。

「そうそう、プールと言えば、先月黒須と父高プールで遊んだんだよなあ、あの時は怪忍クナイのヒーローショーやってたけど、今はどんなイベントやってるんだろ、調べてみよっと」

 番長は言うや否やFPSを放棄してインターネットで父高プールを検索する。棒立ちになった番長のキャラを容赦なく秀さんはヘッドショット。

「ふーん、今週末は野球選手が水泳大会やるのか」

 野球選手、という単語に秀さんの体がピクッ、と動き秀さんのキャラも止まってしまう。なぎささんの操るキャラはその隙を逃さずに秀さんは初キルされてしまった。

「そういえば父高プールの近くは、確かガープの2軍の寮があるんだっけ?だったら若手とか、リハビリがてら怪我してた主力とかが来るのかもな」

「そ、それより私はどこにいるんですか…?」

 初心者ながらセンスある動きを見せるなぎささんと、戦場から遠く離れた所で迷子になっている要さんも口を開く。

「そうそう、後は水着美少女コンテストもやるらしいぞ。商品は父高のフリーパスに、野球選手の使用済みユニフォームに…」

 野球選手の使用済みユニフォーム、という単語でまた秀さんの体がピクッと動く。

 しかしまあ、野球ファンが選手の使用済みユニフォームを欲しがるのはなんらおかしいことじゃないだろうけど、ちょっと変態っぽいよね。これが男のユニフォームじゃなくて女性の使用済みユニフォームだったらどうよ、ヤバいよね。そんな事を考えてるうちに何だか俺も秀さんの使用済みの体操服が欲しくなってきた、くそ、俺は変態じゃないんだ、本当なんだ…

 横の席でパソコンを操作している秀さんのキャラが動いてないので彼女の方を見ると、何やらインターネットで調べものをしているようだ。

「何調べてるの?」

「…っ!な、何でもありません」

 秀さんはそう言って再びFPSをプレイしだすが、もう遅い。ばっちりと父高プールへのアクセスを調べていたところを見てしまった。



 今週末は、プールで決まり


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