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5月12日、13日(土、日) 底野正念、彼岸秀、廃人への一歩

 5月12日、土曜日。

『ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ!』

「ひゃっ!?」

 朝の5時、私、彼岸秀がネットゲーム『聖トロール学園』をプレイしていると、隣の糞姉の部屋から爆音が鳴り響く。目覚まし時計だろう、それにしても大音量だな。ものすごくうるさい。徹夜でネットゲームをしている私の耳にはものすごい効果だ。

 30秒経っても鳴り止まやない。こんな大音量の目覚まし時計でも起きれないのかあのアホ。

 1分が経つが鳴り止まない。私は自分の部屋を出て糞姉の部屋のドアを開けようとするが鍵がかかっている。仕方がないのでドアを蹴り壊し、中にあった目覚まし時計を止める。

 部屋の中で聞くと一層うるさい。なんでこの爆音で糞姉は起きないのか。

 …仕方ない、起こしてやるか。

「おい、起きろ」

 私は幸せそうに寝ている糞姉の顔に思い切り平手打ちをかます。

「ふにゃあ!…ふぇ?秀?何?ていうか今何時?…って朝の5時じゃん、こんな時間に起こさないでよ」

「こんな時間にあんな大爆音の目覚まし鳴らさないで」

「…ああ!そうだった、金切君の朝のトレーニングにつきあうんだった。早く身支度すませないと、金切君が迎えにきちゃう」

 そう言って糞姉はシャワーを浴びに出ていく。まったくお騒がせな女だ。

 大体金切良平も金切良平だ。一日中トレーニングをするわけでもなし、こんな朝早くからする必要なんてないだろう。朝はゆっくり寝て昼にトレーニングすればいいのだ。

 私も催してきたのでトイレに向かう。その途中にある両親の寝室からは寝息が聞こえる。

 両親もあの大爆音でも目が覚めないのか。私もどちらかというと起きない方だ、遺伝なのだろう。私もあの両親の子供であることは間違いがないのだ。



『寝落ちした?』

 部屋に戻ると、ネットゲームのチャット欄にはそう書かれていた。

『別に、トイレよ』

『そっか、でもそろそろ秀さんも寝た方が良いんじゃないの?』

 チャットをしている相手はクラスメイトで、今はパーティーを組んでいる底野正念。このネットゲームではネカマプレイを楽しんでいる気持ち悪い男だ。

『あなたが寝たのを確認してから寝るわ』

 なんとなくだけど、こいつより先に寝落ちしたくないのだ。



 ◆ ◆ ◆



 5月13日、日曜日。

 気が付けば俺、底野正念はパソコン机に突っ伏して寝ていたようだ。時計を見ると昼の16時。

 パソコン上に表示されているネットゲームのチャット欄は午前8時で止まっている。どうやらこの時間に俺は寝落ちしたらしい。

 金曜日の放課後にカラオケに行って帰って午後11時。連休だしネットゲームでもするかとログインすると秀さんもログインしていたので成り行きでパーティープレイ。

 土曜日の午前5時くらいに、秀さんそろそろ寝たら?と言うと、

『あなたが寝たのを確認してから寝るわ』

 と返される。ついつい自分も二つ返事で、

『じゃあ俺も秀さんが寝たのを確認してから寝るよ』

 と言ってしまう。その後は不眠不休のネットゲームサドンデスマッチ。

 我ながら馬鹿な事をやったと思う。ネットゲームは好きだが廃人になるつもりはない。

 結局30時間近くも連続でプレイしていたことになる。

 本場の廃人に比べればまだまだかもしれないが、俺は普通の高校生でいたいのだ。

 画面には8時間近く棒立ちになったままの俺のキャラ。

 そして隣にはもう1人、秀さんのキャラが棒立ちになっていた。

 チャット欄を見るが、秀さんも午前8時で止まっている。ひょっとして同時に寝落ちしてしまったのだろうか。

『いやー、寝落ちしちゃった』

『寝落ちしていたみたいね』

 一応確認のためにそんなことをチャットを打つと、全く同じ時間に秀さんもチャットを打ってきた。ひょっとして同じ時間に寝落ちして、同じだけ寝て、同じ時間に起きたのか。

『無駄な争いをしちゃったね』

『そうね、でも経験値やらお金やらはかなり増えたわ。決して無駄じゃない』

 負けず嫌いな秀さんは廃人プレイを後悔したくないようだ。微笑ましい。

『俺は二度寝するよ。二日分寝ないとね。それじゃあおやすみ』

『おやすみ、また明日』

 そう言って俺達はログアウト。

 秀さんの方からまた明日、なんて言葉が出るとは思わなかったが、それよりも今は寝たい。

 ただでさえ硬い机に突っ伏すように寝ていたせいで首が痛いんだ。ふかふかのベッドで寝たいんだ。俺は自分のベッドにダイブして、惰眠をむさぼり始める。

 夢の中では俺と彼岸さんが冒険していた。夢でもネットゲームか、いよいよ廃人だな。




短くてごめんなさい><

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